『体系 現代会計学』シリーズ全12巻を電子書籍化!|bookend版リリース情報

お知らせ

『体系 近代会計学』(全9巻・1959年)、『近代会計学体系』(全10巻・1968年』、『体系 近代会計学(全14巻・1979年)、そして、2010年から2014年にかけて刊行された『体系 現代会計学』(全12巻)。
これらは、各時代の会計研究の課題を展望し、成果を体系化したもので、同じ時代を生きた研究者や実務家、院生、学生等に学界の研究動向を共有させるとともに、各シリーズの時系列によって日本の会計学の軌跡を後世に伝えることを目的としたものです。

このたび、多数のリクエストにお応えして、『体系 現代会計学』(全12巻)のbookend版(電子書籍)をリリースいたしました。本シリーズは初めての電子書籍化となります。

※bookend版は、アイドック株式会社のシステムを利用して中央経済社が配信する電子書籍サービスです。閲覧には専用の電子書籍リーダー「bookend」アプリを入手する必要があります。また、固定レイアウト型であるため、パソコンやタブレットでの閲覧を推奨いたします。


『体系 現代会計学』(全12巻)
[総編集]主幹 斎藤 静樹/ 安藤 英義/伊藤 邦雄/大塚 宗春/北村 敬子/谷 武幸/平松 一夫

第1巻 企業会計の基礎概念
斎藤 静樹・徳賀 芳弘 責任編集

体系現代会計学第1巻企業会計の基礎概念 著者から
規範から実証へ舵を切ったといわれる会計研究においても、新たな基準が生み出す情報の有用性を、すでに有用性が確認されて市場に定着している基準との概念的な整合性から分析してきた成果が、市場データに基づく実証作業の仮説構築や結果の解釈に寄与する可能性は少なくないと思われる。方法を異にする研究のそうした補完関係を探るためにも、あらためて企業会計の基礎概念を検討し直す意味がある。
本書は10名を超える執筆者が各章を分担する編著書だが、執筆者は必ずしも同様の見解を共有しているわけではなく、十分に意見を交換・調整したうえで執筆に臨んだわけでもない。それぞれのメンバーの個性と造詣を活かし、豊かな知見と展望を読者に伝える結果になることを期待した。執筆者各位の高い貢献意欲によって、本書がこの分野の研究史に新たな一頁を加えることができるとすれば、編集の任に当たった者としてこれに過ぎる喜びはない。


第2巻 企業会計の計算構造
北村 敬子・新田 忠誓・柴 健次 責任編集

体系現代会計学第2巻企業会計の計算構造 著者から
本書は、ドイツと英米における計算構造の違いを明らかにするとともに、それぞれの歴史的展開を取り上げることを目的としている。
この観点から、本書は、第Ⅰ部計算構造の現在からはじまり、第Ⅱ部計算構造の歴史、第Ⅲ部計算構造の展開と、計算構造の現在、過去、未来の3部構成となっている。
これによって、読者は、現在の会計の計算構造を理解するとともに、それがこれまでどのような流れによって変わってきたのか、またそれらに内在する問題点はどこにあるのか、さらに、外貨換算と企業結合を取り上げて将来における展開を理解することができる。


第3巻 会計情報の有用性
伊藤 邦雄・桜井 久勝 責任編集

体系現代会計学第3巻会計情報の有用性 著者から
本書は、会計研究の歴史の中で規範的会計研究から転換した実証的会計研究というパラダイムに光をあてる。わが国では、アメリカと同等の意味でパラダイム転換が起こったとは言い難いが、わが国でもこうした実証研究が着実に広がっている。
本書では、こうした研究スタイルを早くから取ってきた精鋭の論者に日本のデータや事情をも交えながら「会計情報の有用性」を共通のメインテーマとして執筆してもらった。
比較的新しく生まれた会計研究が、従来とは異なるどのような風景を生みだすか、読者の皆様に堪能していただければ幸いである。


第4巻 会計基準のコンバージェンス
平松 一夫・辻山 栄子 責任編集

体系現代会計学第4巻会計基準のコンバージェンス 著者から
本書の企画を始めてから刊行にいたるまで、実に6年の歳月が経過している。会計基準のコンバージェンスをめぐるこの間の動きを振り返ると、2008年の米国におけるIFRSアドプション(採用)の機運の高まりと軌を一にしたわが国のIFRSアドプションの機運の高まりと、その後の両国における機運の後退へと、紆余曲折を経て今日に至っている。世界に目を転じても、この間の各国における会計基準のコンバージェンスへの動きは多種多様である。本書の刊行に予想外の年月が費やされたのは、そのような事情とも無関係ではない。
ますます活発になる経済のグローバル化のもとで、会計基準のコンバージェンスの問題は、これまでも、そしてこれからも、会計上の重要なテーマの一つであり続けるだろう。なぜ米国におけるIFRSアドプション(採用)の機運の高まりがやがて衰退することになったのか、そして今後の世界の会計基準のコンバージェンスはどのような方向に向かうのか。会計基準のコンバージェンスをめぐるそうした問題の多面的な理解に、本書が多少なりとも役立つことができれば幸いである。


第5巻 企業会計と法制度
安藤 英義・古賀 智敏・田中 建二 責任編集

体系現代会計学第5巻企業会計と法制度 著者から
法令に基づく企業会計(企業会計制度)について、広い範囲にわたって取り上げたのが本巻である。今日、企業会計制度は周知のように激しい変化の只中にある。企業会計制度の現況を、歴史的、制度比較的または理論的に明らかにすることに、本巻の存在意義はあるといえよう。
本巻は4部構成である。第Ⅰ部「商法・会社法と企業会計」は5章、第Ⅱ部「金融商品取引法と企業会計」は4章、第Ⅲ部「法人税法と企業会計」は4章、および第Ⅳ部「各種業法その他の規制と企業会計」は7章から成る。
各章について、まずテーマを決定した後、適任と思われる第一線の研究者に執筆を依頼した。お願いした各位には、気持ちよく執筆を引き受けて頂いた。その結果、各章の論文は、期待に違わぬ力作揃いとなった。


第6巻 財務報告のフロンティア
広瀬 義州・藤井 秀樹 責任編集

体系現代会計学第6巻財務報告のフロンティア 著者から
財務報告とは、企業がその経済活動および経済事象を財務諸表その他のメッセージを用いて表現し、これをステークホルダーに報告する行為である。
日本の場合、従来、会計の目的が処分可能利益計算にあったために、利益計算に触れるために制度に取り込めないものは無視する風潮があった。
しかし、英米では会計の目的が情報提供にあるために、財務報告が重視されてきた。財務報告を会計の最終章であると位置づけ、貨幣額で測定できる情報であると測定できない情報であると問わず、企業価値決定因子となる情報などをどのようにステークホルダーなどに見せればよいのかといった研究も盛んである。
本書では後者の立場から自由な意見を発信している。


第7巻 会計監査と企業統治
千代田 邦夫・鳥羽 至英 責任編集

体系現代会計学第7巻会計監査と企業統治 著者から
本書は「会計監査と企業統治」という基本テーマのもとに,これまでの会計プロフェッションが取り組んできた主たる活動の軌跡を過去回顧的に,また,現在の会計プロフェッションが直面している問題を未来展望的に捉え,それらを学術的に整理・総括することを目的としている。
本書には,新しい監査研究を促すような執筆者の記述が,その本人が気づいているかどうかは別として,たくさん埋め込まれているように思われる。是非,監査研究を志す若い研究者は,そのような目で,本書を丁寧に読破していただくことをお勧めしたい。


第8巻 会計と会計学の歴史
千葉 準一・中野 常男 責任編集

体系現代会計学第8巻会計と会計学の歴史 著者から
専門分野としての形成期から実務主導型の性格を色濃く有していた「会計」において,「会計の歴史を学ぶことが会計人にとって何の役に立つのか」という問いに答えることは,歴史研究一般よりも困難であろう。しかし,あえて記すとすれば,会計史の知識は,会計人にとって,その専門的知識に対置されるべき一般的知識としての「教養」であり,「コモン・センス」ということになろう。
歴史研究からは変化のみが恒常的であることが示される。会計史は,「会計」という人間の営む行為そのもののアイデンティティを時間軸に沿って再確認することであり,そのことにより,未来への展望を承けて過去を再解釈することを可能とするだけでなく,現在(と未来)の問題を考察するための視点を提供するものとなろう。


第9巻 政府と非営利組織の会計
大塚 宗春・黒川 行治 責任編集

体系現代会計学第9巻政府と非営利組織の会計 著者から
近年における政府と非営利組織の会計の発展には目覚しいものがある。世界的に見て大きな政府による深刻な財政悪化を契機として行政改革が進められているが、その前提となる財政の実態を適切に把握できているのかといった根本的な問題が問われている。
このような状況の下で、体系現代会計学シリーズのひとつの巻として「政府と非営利組織の会計」の刊行が計画されたことは、時代の要請にこたえたきわめて時宜に適したものであるといえよう。


第10巻 業績管理会計
谷 武幸・小林 啓孝・小倉 昇 責任編集

体系現代会計学第10巻業績管理会計 著者から
本巻では、戦略管理会計と日本的管理会計システムの2つを除いて、管理会計における最新の研究と研究蓄積を体系的にとりまとめることを意図している。これは、全体像を考えながら、管理会計研究の更なる発展を促す役割を持っている。しかしそれと同時に、本巻は、若手研究者が全体像を知った上で、管理会計の多様なトピックスの中から、テーマを選択したり、参考文献を検索したりするのに役立つことを意識して編集した。


第11巻 戦略管理会計
淺田 孝幸・伊藤 嘉博 責任編集

体系現代会計学第11巻戦略管理会計 著者から
本書は、伝統的な業積管理・意思決定の管理会計の枠組みから、戦略管理会計という新たな視角を意識して、そのなかで管理会計の論点を述べたものである。そして、我々のある意味では、試行の産物でもあることをここに陳述したことになる。
しかし、経営者から見ても、管理会計は戦略課題の解決に資するべきツールであると言えるだろう。リスクとリターンを具体的にかつオペレーショナルなものとして測定してその尺度で事業・プロジェクトや製品・サービスを評価し、意思決定に信頼できる情報を提供する唯一の公式的システムを我々は研究対象にしている。
この書が多くの方々に戦略管理会計とは何か、あるいは、戦略管理会計は何をその意義とするか、課題は提示していると思っている。


第12巻 日本企業の管理会計システム
廣本 敏郎・加登 豊・岡野 浩 責任編集

体系現代会計学第12巻日本企業の管理会計システム 著者から
本書は、次の3部構成となっている。
第Ⅰ部 日本的管理会計の特徴と進化
第Ⅱ部 日本的管理会計システムの要素
第Ⅲ部 日本的管理会計システムの更なる解明
特に第Ⅲ部は、本書の大きな特徴である。日本の若い世代の研究者に、日本企業の管理会計システムを更に研究し、世界に発信してもらいたいという、本書の3人の責任編集者および『体系現代会計学』(全12巻)の管理会計3巻の総編集者(谷武幸)の強い期待が背景にある。
日本的管理会計の研究は、現在沈滞化してしまったように見える。日本企業の管理会計はもっと世界に発信されるべき優れたシステムであること、そして、研究はまだまだ不十分であるということを、編者は信じている。