【なんちゃってDXからの脱却】『企業会計』2021年4月号特集

企業会計

 『企業会計』2021年4月号の特集は【DXで「会計」はどう変わるか】です。
 コロナ禍で一層注目されるDX(Digital transformation)。テクノロジーを活用しての事業改革というのが大まかなイメージですが、前提にはどんな問題があり、具体的にどのようなアクションを取れば意味のあるDXにできるのか、というのはなかなか掴みづらいのではないでしょうか。本企画では「会計はどう変わるか」と銘打ち、文字どおりDXの波で訪れる変化と、具体的なアクションをまとめていただいています。どうせやるなら意義ある変革!
 この記事では、各記事のサマリー等を公開します。


①会計DXの歩み ――商用コンピュータ登場からAIまで
 坂上 学(法政大学教授)

 

 会計 DX は今に始まったことではなく、これまでにも常に起きてきたといっても過言ではない。商用の汎用コンピュータが登場した1960年代より、会計という営みは常にコンピュータ化(デジタル化)の対象であった。ERPシステムのように実際に実務のあり方に変容を迫られた経験もあるし、クラウド化やAIの導入についても然りである。会計DXが一過性のものとならないためには、データ標準が大きな鍵であることを最後に指摘しておきたい。


②Tech時代の価値創造と会計 ――会計利益の本来的な役立ちをめぐって
 田口聡志(同志社大学大学院教授)

 

 本稿は、新しいテクノロジーが企業会計に与える影響に関する最新の研究動向を、会計の基本的な構造の中で相対化することで、会計利益の本来的な役割は何かを見つめ直す。特に、会計責任や利益の管理職能という視点から、人とテクノロジーが共存する未来社会における会計のあり方を探る。


③監査DXは財務情報の信頼性にどう貢献するか
 瀧 博(立命館大学教授)

 

 会計と監査のデジタルトランスフォーメーションにより、会計や監査は、自動化・合理化され、また、監査のDXは着実に財務情報の信頼性の向上へ貢献する。これは、監査意見の立証構造やリスク・アプローチの観点からも理論的に明らかである。もっとも、わが国の企業の多くは、レガシーシステムを抱える一方でDXが遅れており、産業全体として現行の監査のDXに応えられる状況になっていない。会計士業界の働きかけが必要な時期に来ているのではないか。


④財務経理をバリュークリエイターへ進化させる ――富士通のDXプロジェクト「フジトラ」
 益田良夫(富士通㈱財務経理本部 グループ経営管理部長)

 

 本稿では、当社のDXプロジェクト「フジトラ」のメンバーである私の視点から、財務経理部門のDXに必要なスキルとマインド、そしてそれにより達成できる価値創造について述べる。まずフジトラの施策と社内調査から見えてきた現状・課題をまとめ、次に具体的なアプローチを考察する。紹介するのは当社の取組みだが、アプローチ方法は他の企業でも適用できる部分があると考える。なお、文中意見にわたる部分は私見であることをあらかじめ申し添える。


⑤収益性と効率性の改善・向上でROEを高める ――商社・流通業界のDX事例
 植田 勲(三井物産流通ホールディングス㈱ 代表取締役社長)

 

 昨今,ビジネスの世界でデジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉を見ない、聞かない日はない、というほど注目されているDXは、その先進的技術に眼を奪われがちであるが、本稿では、そもそもDXはどのような価値をつくり出すのか、経理・財務部門としてDXをどのように評価し、測ればよいのか、ということを考えてみたい。


⑥データドリブン・標準化が重要に! 会計システム「2025年の崖」にどう対処すべきか
 河合真吾(有限責任 あずさ監査法人 ディレクター)・高羽 満(有限責任 あずさ監査法人 ディレクター)

 

 日本企業の会計システムは、グループ各社における経理業務遂行に必要な機能を重視して構築されているため、グループ全体でのデータ活用が進まない。会計システム版「2025年の崖」が存在するといえる。DXによる経理業務の効率化と高度化を阻害する当課題の解決に向けた企業の取組みは多様であるが、グループ経営およびデータドリブンの視点が重要である。










関連バックナンバー

2021年3月号 特集 
会計で顧客ともっとつながる データマーケティングの進化

 テクノロジーの発展に伴い、ビジネスのあり方には常に変化が生じています。「データ」を活かすにはどうアプローチすべきか? 「会計で顧客ともっとつながる」をテーマに、最新のデータマーケティングにどう対応できるかを考察します。

 

■セールステックで変わる管理会計 ――顧客動向を可視化する
 伊藤克容(成蹊大学教授)
■Who起点の経営と成長を見通す カスタマーサクセス視点のPLのあり方
 弘子ラザヴィ(サクセスラボ㈱ 代表取締役)
■顧客との関係性構築をどう進めるか? 価値共創におけるネットプロモータースコアの役割
 青木章通(専修大学教授)
■営業部門のパートナーとして売上向上に貢献する経理とは
 池側千絵((一社)日本CFO協会 主任研究委員/インテグラート㈱ エグゼクティブコンサルタント)
■「両利きの経営」実現へ 仮説発見・検証のための新たな事業計画DDP
 新江 孝(日本大学教授)・伊藤克容(成蹊大学教授)


 サマリーは下記のページで公開しております。
【会計情報はここまで活かせる!】『企業会計』2021年3月号特集



  • 『企業会計』2021年3月号
  • 『企業会計』2021年3月号
    定価:2,710円(税込)
    発売日:2021/02/04
    特集:データマーケティングの進化
    特別企画:コロナによる減損処理への影響

2019年2月号 特集 

AIが引き起こす管理会計革命 アンドロイドは電気経営の夢を見るか?

 どこか見覚えのある羊が目印の本号。AI、AIいうけれど具体的に何がどう変わるの? という根源的な疑問に焦点を当てた特集です。

 

■AIの会計、監査、管理会計への適用
 櫻井通晴(専修大学名誉教授・㈱インテリジェント ウェイブ 監査役)
■管理会計へのAIの適用可能性
 谷守正行(専修大学准教授)
■クラウド会計の観点からみた管理会計の進化
 原 幹(公認会計士・公認情報システム監査人(CISA))
■意思決定に勇気を! 企業価値を高めるAIの活用方法
 平田光義(マカロニアンドマネジメント㈱代表取締役・公認会計士)
■「学習する組織」の実現へ データアナリティクス会計人材の育成
 村上敏也(金沢工業大学大学院教授)
■会社組織・個人は経営管理のAI化にどう対応するか
 河辺亮二(米国公認会計士)



  • 『企業会計』2019年2月号
  • 『企業会計』2019年2月号
    定価:2,587円(税込)
    発売日:2019/01/04
    特集:AIが引き起こす管理会計革命
    特別企画:ESG戦略 はじめの一歩

関連書籍


『デジタル戦略の教科書』 

 今や待ったなしのDXについて、知っておくべき考え方や知識を整理。DXによる産業構造やビジネスモデルの変化をわかりやすく解説します。【電子版あり】

 

■第0部 デジタル化総論
 デジタル・トランスフォーメーション(DX)の意味と重要性
■第1部 デジタルによる戦略の変容
 提供価値のデジタル化/デジタルによる顧客との関係構築とUsage Management Platform(UMPF)/バリューチェーン高度化/資源とそのシェアリング/プライシング
■第2部 デジタルによる競争ダイナミズムの変化
 プラットフォームとそのダイナミズム/モジュール化とエコシステム/大きなインパクトを持つデジタル化領域/デジタル技術のビジネスインパクト
■第3部 デジタル化の実現とその阻害要因の克服
 DXの実現に向けて/DXを阻害する要因とその克服




『データドリブン経営入門―デジタル時代の意思決定と行動指針』 

 5G時代を迎え、データそのものが爆発的に増加するなか、経営に必要な情報をいかに抽出し、どう企業活動に活かしていくか。基礎知識から整備すべき仕組み・基盤まで要点を詳解します。

 

■第1章 データ/デジタルに関する素朴な疑問
■第2章 日本の企業経営を揺るがすデジタル化
■第3章 データドリブン経営の本質
■第4章 デジタル時代を乗り切る戦略
■第5章  データドリブン経営を支える仕組みの作り方




『事象アプローチによる会計ディスクロージャーの拡張』 

 財務諸表による会計情報開示は、利用者にとって最適な手段であるとはかぎらない。事象アプローチにより「生のデータ」を使った会計ディスクロージャーの可能性を考察します。










(参考)関連する主な公表物
2016/3/8
 【金融庁】 「会計監査の在り方に関する懇談会」提言 ―会計監査の信頼性確保のために―
2016/8/10
 【DARPA】 「Broad Agency Announcement――Explainable Artificial Intelligence(XAI)」(説明可能なAI)
2017/2/3
 【FLI】 「 Asilomar AI Princeples」(アシロマAI原則)
2018/9/7
 【経済産業省】 デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会「DX レポート~ ITシステム『2025年の崖』の克服と DX の本格的な展開~」
2018/9/7
 【経済産業省】 デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0」
2020/8/18
 【NIST】 「Four Principles of Explainable Artificial Intelligence」(「説明可能な人工知能の4原則」の草案)
2020/11/9
 【経済産業省】 「デジタルガバナンス・コード」
2020/12/28
 【経済産業省】 デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書「DXレポート2(中間取りまとめ)」 ←NEW!


 『企業会計』2021年4月号は3月4日(木)発売です! お求めは書店(店頭・予約・注文)、通販にて。本サイトでもご注文を承ります。
 なお、本サイト内では特別企画【収益認識実務の最終チェック】もご紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。