書評
『旬刊経理情報』2026年1月10日・20日合併号の書評欄(「inほんmation」・評者:南 成人 氏)に『プロCFO 現場の教科書』吉松 加雄〔著〕を掲載しました。
本書はCFOとして活躍されている方のみならず、これからCFOを目指す方にとって唯一無二のバイブルとなる書籍だと思料する。単なるCFOにとって必要な知識にとどまらず、経営現場の実践に基づくノウハウと経営理論が融合され、企業の持続的な価値向上を実現する具体的な方法論が提示されている。プロCFOとして長年培われてきた吉松加雄氏の「経営力の向上」と「経営管理の高度化」を達成するためのノウハウが凝縮されている。
本書は10章で構成され、持続的な企業価値向上を実現するための「経営管理高度化のビジョン」や「意思決定支援の高度化」、CFOの役割を体系的に整理して立体的に捉える「3軸俯瞰(価値向上、組織体制、経営課題の3本の軸)」、経営力を向上させる「現場型経営管理の仕組みの作り方」や「現場視点の資本コスト経営」、「経営危機における企業変革」、成長戦略としての「M&AとPMI」、「プロフェッショナルCFO人材の確保・定着・育成」、「DXによる意思決定支援と経営管理の高度化と効率化事例」など、多くの日本企業が直面する課題が取り上げられている。
本書では、CFOの広範な役割が3本の軸に集約され体系的に整理されている。1つ目は持続的な企業価値向上の具体的なプロセスを表す「価値向上の軸」、2つ目は企業価値向上に持続性をもたらし、グローバルCFO組織体制の構築と運営を担う「組織体制の軸」、そして、3つ目は日々新たに生じるさまざまな経営課題へ対応する「経営課題の軸」である。この3本の軸をブレークダウンして理解することが、経営力の向上と経営管理の高度化につながると解説されている。
特に興味を引かれた点が2つある。1つは、「コラム」や「プチコラム」。吉松氏がCFOとして現場で体験された気づきが紹介され、臨場感を持って現場、現物、現実の三現主義を体現できる。たとえば、ピーター・F・ドラッカーがインテグリティを重視し、「経営管理者が学ぶことのできない資質、習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。才能ではなく真摯さである」、「真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる」と記していることがプチコラムで紹介されている。
もう1つは、テンプレート活用のワークショップ。実務で活かせるテンプレートが中央経済社のビジネス専門書オンラインからダウンロードできる点である。たとえば、CFO機能の現状から将来への変革のプロセスと施策を具体的にイメージする機会を提供するワークショップがある。吉松氏が現場で培ってきた経験やノウハウを活用できるように工夫されている。
『プロCFO 現場の教科書』では、CFOの役割を、単に過去の数字を集計し、報告することにとどまらず、「変化の激しい時代において、企業の羅針盤となり、戦略的パートナーとして、未来を予測し、企業価値最大化をナビゲートする」ことと提示している。本書は、まさしくその役割を果たせる「プロCFO」になるための「現場の教科書」である。
南 成人(公認会計士)
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