【ハイブリッド経理になる!】『企業会計』2021年5月号特集

企業会計

 『企業会計』2021年5月号の特集は【どんな環境でも活躍できる経理人材の育成】です。
 コロナ禍で社会のあり方に大きな変化が求められています。経理もまた然り。一方で変えてはいけない芯の部分もあるはず。本特集では様々な立場の方から、経理の育成論や経理に対する期待を論じていただきました。
 この記事では、各記事のサマリー等を公開します。


【特集解題】経理人材に求められる3つの力
 山本浩二(有限責任 あずさ監査法人 公認会計士)

 

  いかなる経営環境でも、経理人材が活躍する。そのためには、与えられた使命を認識し、何をすべきかを深く考え、自らの責任で意見を発信し、周りの仲間と協力し、最後までやり抜く力が必要となる。本特集では、経理人材に求められる力とは何か、将来を担う経理人材を育成するために、企業は何をすべきか解説する。


経理の役割と人材育成①花王 ――会社の成長に貢献する「経営の羅針盤」になる
 加藤丈晴(花王㈱ 会計財務部門 経理企画部部長)

 

  当社は、国内外の会計財務メンバー全700数名が、ミッションとビジョン、3つのバリューを共有し、1つの方向に向けて業務を行っている。3つのバリューのうち「経営の羅針盤」は会計財務独自の価値観であり、正確な知識・情報と分析で、経営の助けになることを意味する。そして、これを達成するために、国内メンバー向けに3つの研修プログラムを持っている。


経理の役割と人材育成②京王電鉄 ――グループ全体の将来分析・プレゼン力を高める
 木村 創(京王電鉄㈱ 経営統括本部 経理部長)

 

  コロナ禍前の安定した経営環境下では、当社グループの経理は、財務会計実務が中心であり、決算の品質の維持向上を図りつつ、業務の効率化を最優先に進めてきた。しかし、コロナ禍で先の見通せない状況では、自ら仮説を立て将来を予測・分析する能力を高めるとともに、新たな経理、財務における課題についての社内共有を図るうえでのプレゼン能力も不可欠となってきた。当社でも、これまでの業務のやり方を見直しながら、これらの能力の向上を図っているところである。


経理の役割と人材育成③三菱重工業 ――事業、人とのつながりから「仕事の核」を作る
 荒川 義(三菱重工業㈱グローバル財務部次長)

 

 どんな環境でも必要とされ活躍できる経理人材は、 経営のフロントで意思決定に参画できる人材である。そのような人材を育成するには、人間の内面に強くて柔軟な「仕事の核」とでもいうべきものを作ることが必要である。そのための「場」として「魅力ある職場」が果たす役割は大きい。企業の枠を超えて、社会共通の人 的資源を育てる視点で人材育成に取り組んでいきたい。


考える人材が育つ3つの実践研修
 山本浩二(有限責任 あずさ監査法人 公認会計士)

 

  経理人材を確実に育成するには、実践的な研修を通 じて「深く考える機会を増やすこと」である。その研修とは、①資料のレビューで鍛える、②ディスカッションで鍛える、③演習(ロールプレイ)で鍛える、の3つ。本稿では、実践研修の方法論を具体的な事例を使って解説する。


経理部に対する期待① ――ベストプラクティスを常に意識しグローバルな活躍を
 竹内康雄(オリンパス㈱ 取締役 代表執行役 社長兼CEO)

 

 会計情報は経営において重要である。当社が真のグローバル企業を目指すなかでも、グループ内の会計基準・会計方針の統一がカギになっている。会計情報を生成する経理部員には、情報を生成するプロセスに興味を持ってほしいし、間違えずに決算を行うことは当然として、仕事の本来あるべき姿、ベストプラクティスを常に意識してほしい。


経理部に対する期待② ――高速化でリソースを生み付加価値業務に充てる
 松岡 俊(㈱マネーフォワード 執行役員 経理本部本部長 分析推進室室長)

 

 筆者は、長年会計・税務業務に従事してきたが、 2019年7月に当社の執行役員に就任し、経営に参画するようになった。本稿では、経理と経営の2つに携わる立場から、経理部の目指すべき姿について語る。まず経営サイドが経理部に期待する2つの役割について説明する。そのうえで、海外での経験をもとに日本企業の経理部が変化すべきところを述べ、経営に参画 するようになったことでみえてきたことを振り返る。


経理部に対する期待③ ――監査人と協同で高品質経営に資する
 川島 勇(NEC 常勤監査役)

 

 経理部門は、コロナ禍対応としての短期的視点から仕事のやり方を考えるのではなく、長期的視点からコロナ禍収束後をにらんで考えていかなくてはならない。また、監査人と協同で監査品質を向上させていくことにより、会計品質も向上する。結果的に、高品質な経営に資することとなる。高品質経営に資する人材を育成する経理部門となることが望まれる。


経理部に対する期待④ ――数値から企業の実態を捉え持続的発展に貢献する
 関根愛子(公認会計士)

 

 企業の活動の実態を表す会計を司る経理には、変化の激しい時代にさらなる役割が期待されているのでは ないかと感じている。多くの企業がこの変化に立ち向かい日々努力していることと思うが、経理部の方々にこそそうした変化への柔軟性を持ち、日々の経理業務を通じて企業の実態を捉え、未来を見据えて企業のそして経済の持続的発展に貢献していっていただきたい。




  • 『企業会計』2021年5月号
  • 『企業会計』2021年5月号
    定価:2,710円(税込)
    発売日:2021/04/02

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  • 『企業会計』2019年2月号
  • 『企業会計』2020年5月号
    定価:2,710円(税込)
    発売日:2020/04/04
    特集:「話せる経理部」になる!
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