『「仕組み化×データ分析」で実践するFP&A入門』(『旬刊経理情報』2026年4月20日号掲載書評)

書評

「仕組み化×データ分析」で実践するFP&A入門 旬刊経理情報』2026年4月20日号の書評欄(「inほんmation」・評者:森脇 大統 氏)に『「仕組み化×データ分析」で実践するFP&A入門』遠藤 武〔著〕を掲載しました。







「仕組み化」、「データ分析」、「FP&A」、それぞれ個別に書籍化されている分野だが、本書はそれらを組み合わせて実践的に説明している。また、それぞれの言葉の定義やイメージが先行して、どうしても初めて取り組む人にとってはハードルが上がりがちであるが、本書は一言でいえばゆるい。かといって、それぞれの分野を薄っぺらく説明しているわけではなく、具体的な手法を述べている。また、断片的なツールの説明にもとどまっていない。

第1章「仕組み化」パートにおいて、必要な道具として「お客様の成功」、「マーケティング・ループ」、「MVV」、「マニュアル化」、「会議体」、「体制図」と6つ挙げているが、原則は順番に進めるとよいとしながらも、どこから入ってもよいというゆるさ。どこかで理解できず感覚的にはわかっていても、言語化することは難しく、頓挫してしまいがちなHow To本とは異なり、できることから、できる範囲からでも許容してくれるあたりは、初めて取り組む人でも自信がつく。特に次の2点はさまざまな書籍や研修から、うまくいかなかった人には効果的である。

1点目、マニュアル化に関しては、どうしても自分のやっている仕事を難しく考えがちだが、筆者のマニュアル化テンプレートGEAR(Guide for Easy Analysis andReading)の作成のコツは①1項目はふせん1枚分、②A4用紙1枚、最大でも7項目まで、③小学生3〜5年生でも理解できる平易な日本語、のたった3つのプロセスでできてしまう。

さらに、最初の完成度は低くても大丈夫で、アップデートしていく、マニュアル作成とはコミュニケーションであるとは目からウロコである。100%の完璧さを追求するのではなく、「わかった!」という反応が得られることが入口というのも、つい完璧さや答えを求めがちな現代に必要な考え方なのかもしれない。

2点目、会議体。会議も試行錯誤しながら、結果的に役員や管理職が多く話して思考停止させてしまったり、形骸化して時間だけを浪費しがちだが、ここもシンプルに、①ゴール設定(目標・ルール・時間)、②To Do切り分け(意思決定)、③トラッキング(進捗確認・悩み相談)に単純化し、極力誰でも参加しやすい・行動しやすい流れに導いてくれる。

そして、第2章「データ分析」パートにおいて、データ分析とは「成長のための行動(To Do)づくり」と1章での仕組み化の「会議体」での「To Do」がつながっていく。粗々のPLから徐々に解像度を上げ、ケース別の説明もあり、入門書としては、各章ごとにうまくいかない事例と突破口を示し、専門書としては、解像度の高い事例を示す。そして、第3章「応用知見」パートにより専門的な説明があり、全体を通して、粗々の解像度から始まり、バラしていき解像度を上げていく。筆者の人柄なのか、文章も柔らかく、難しいことを簡単に楽しく読み進めることができ、管理職以上の立場の人なら誰にでもおすすめできる1冊である。また、筆者が本誌に連載中の「データ分析の森」も引き続き楽しみにしたい。

森脇 大統(アスカ美装株式会社 代表取締役社長)

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