【WEBマンガ】税の歴史(第3話)

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今、日本には消費税や所得税をはじめとする多くの「税」があります。
そしてそのすべては、法律によって定められています。
「税」が法律に定められているということは、今では当たり前のことのようですが、日本の「税」の仕組みは、長い歴史のなかで形づくられてきました。
「税」の歴史を辿ると、それぞれの時代に地域や国を担っていた人々が、どのような国づくりをしたかったのか、その苦労や工夫、そして未来への希望を垣間見ることができます。
マンガ「税の歴史」では、千年税務会計事務所に勤めるメンバーが、時代を動かした歴史上の人物に出会い、「税」について学んでいきます。

チームむぎ

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今回のポイント

第3話「中大兄皇子・中臣鎌足」

645年、圧倒的な力を誇り、豪族の政治を推し進めていた蘇我入鹿を、中大兄皇子と中臣鎌足らが皇極天皇の目の前で倒すという「乙巳の変」が起きました。これは、古代におけるクーデターとして語り継がれています。

その後、中大兄皇子と中臣鎌足を中心に行った政治改革を「大化の改新」といい、その基本姿勢を示した文書が「改新の詔」であり、646年に発布されたといわれています。

「日本書紀」によると「改新の詔」では、①豪族などがもっている私有地や私有民を廃止する「公地公民制」、②地方を国や郡などに分け朝廷が選んだ役人を派遣して管理させる「地方行政組織の整備」、③戸籍や計帳をつくって、田を分配して貸し出す「班田収授法」、そして④豪族等によりばらつきがあった税制の整備として「租の稲」と「田の調」が定められています。

「租の稲」と「田の調」は、後に大宝律令として定められる租庸調の基礎となるものですが、『日本書紀』における「改新の詔」はあとで書き加えられた部分も多いといわれており、その真偽は解明されていません。

それでも、当時から国づくりの一歩として、財政の安定を含め様々な仕組みが考えられはじめていたとする見方もあります。

中大兄皇子は、百済に遠征軍を送った「白村江の戦い」に大敗した後、天智天皇として即位しました。そして、全国を対象とした初の全国的な戸籍、「庚午年籍」を作成しました。  

中大兄皇子は自ら「大化の改新」を成し遂げることはできませんでしたが、国づくりの大きな礎を築いた人物ということができます。

より良い国づくりを目指した中大兄皇子の熱い思いに触れた「チームむぎ」。次回はどんな歴史上の人物に会うことができるのでしょうか?

参考文献

・日本史広辞典編集委員会編『山川日本史小辞典改訂新版』山川出版社、2016年
・石ノ森章太郎『新装版マンガ日本の歴史』中央公論新社、2020年
・山﨑圭一『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』SBクリエイティブ、2019年
・山本博文監修『角川まんが学習シリーズ日本の歴史 飛鳥朝廷と仏教』KADOKAWA、2015年
・北條恒一『日本古代税制史の研究』白鳳社、1986年
・平凡社編『新版日本史モノ事典』平凡社、2017年
・井筒雅風『日本服飾史 男性編』光村推古書院、2015年
・高森明勅監修『歴代天皇事典』PHP研究所、2016年
・下向井龍彦監修『歴史人物できごと新事典』増進堂・受験研究社、2015年

茂垣 志乙里(税理士)

2012年税理士登録。

イラスト経歴

  • 公式キャラクターデザイン:特定非営利活動法人NPO支援の税理士ネットワーク「のんちゃん」「ぽらちゃん」
  • 公式キャラクターデザイン:一般社団法人コミュニティ・カウンセラー・ネットワーク「ヤダもん」