『シリーズ ダイバーシティ経営』(2021年6月特集)

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『シリーズ ダイバーシティ経営』(2021年6月特集)

2021年6月11日、「コーポレートガバナンス・コード」と「投資家と企業の対話ガイドライン」の改訂版が公表されました。企業と投資家、さらには社会やそれらを取り巻く会計士や税理士といったプロフェッショナルにとって重要な内容が盛り込まれています。
本特集では、改訂の重要ポイントを理解するのにおすすめの書籍を紹介します。
今回は、ダイバーシティ経営についての理解を深めるうえで、示唆に富む一冊をご紹介します。

Q1 本書の内容を教えてください。

このシリーズは、『管理職の役割』『女性のキャリア支援』『働き方改革の基本』『仕事と介護の両立』(以下は続刊)『多様な人材のマネジメント』『仕事と子育ての両立』の6巻から構成されており、現場の実態や課題認識に裏付けられたテーマ設定になっています。また雇う側、働く個人双方に役立つ具体的な内容になっています。


Q2 本書のテーマが重要視される背景を教えてください。

今回の改訂の中で、企業の中核人材における多様性の確保が掲げられていますが、すでに以前からダイバーシティ経営の推進や働き方改革が様々な組織で本格化し、人材活用のあり方は大きな転換期を迎えています。
職場における施策やマネジメントはもちろん、個々の働き方やキャリアのあり方においても対応が迫られています。
しかもコロナ禍によって、その流れは加速しています。多様な人材や働き方を受け入れ、個人がもつ能力を発揮し、さらにそれを経営成果として結実させるためにどうすればよいのか。
場当たり的な施策や対応では持続的ではなく、多くの企業の実践や内外の研究の蓄積に裏付けられた知見やエビデンスが求められているのではないでしょうか。


Q3 本書はどのような人に、あるいはどのような場面で読んでいただきたいですか?

人事部やダイバーシティ推進に関連する部門の方々がまず考えられますが、ダイバーシティの推進が実効性をもつためには、専門の部署だけでなく、現場の管理職や経営層のコミットメントがかかせません。
以前、仕事と介護の両立に問題を抱えているという読者の方からの熱のこもったメッセージをいただいたことがあります。
部門にかかわらず、困難を抱えている方や打開策を見出したい方にぜひ手にとっていただきたいですね。


Q4 本書のこだわりポイントを教えてください。

シリーズのベースは、研究者と30社の企業・団体が協働で推進している「ワーク・ライフ・バランスと多様性」についてのプロジェクトです。
参加企業が課題を寄せ合い、研究者が参加企業の協力によりアンケートやインタビューによる分析を行い、結果や知見を参加企業にフィードバックし、フィードバックに基づいて参加企業の現場で施策が実践される、というループです。
シリーズの各巻のテーマや解説内容はこうした実践に基づいていることが何よりのポイントといえるでしょう。
政府統計などの基本的なデータに加え、プロジェクト独自のアンケート調査結果なども織り込まれています。


中央大学大学院戦略経営研究科 ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクトの調査結果


Q5 読者の方へのメッセージをお願いします。

働く個人として問題を感じている方、部下をマネジメントする立場にある方、会社全体の施策を立案したり、実行したりする立場の方など、置かれた立場や取り巻く環境、課題はそれこそ多様であり、どの職場にも当てはまる万能の答えはありませんが、本シリーズによって課題を整理したり、解決のヒントを得るきっかけになればと考えています。
多様な方々が活躍する豊かで活き活きとした職場が増えていくことを心から願っています。