『経営学を楽しく学ぶ Ver.4』(2021年1月特集)

特集バックナンバー

2020年12月に、中央経済社の書籍販売サイト「ビジネス専門書Online」がリニューアルしました。これを機に、読者の皆様が本を選ぶ際の参考としていただければ...!との思いをもとに、テーマごとに数点ずつ本を選んで担当編集者のコメントとともにご紹介する特集を掲載していくこととしました。
記念すべき第1回目の特集では、中央経済社の歴史を物語り、現在も読み継がれている本をご紹介します。大学の講義で、資格試験の勉強で、あるいは実務の傍らにと、過去に愛読された方もいらっしゃるのではないでしょうか。担当編集者に本の歴史や編集の秘話を語ってもらいましたので、ぜひご覧ください。
この記事では、『経営学を楽しく学ぶ Ver.4』(齊藤 毅憲 編著)について取り上げます。

Q1 書籍はいつ頃から発刊されていますか。

経営学ver4・奥付奥付 まずは、本書の最新版の奥付をご覧ください。
ご覧のとおり、初版(第1版第1刷)の発行は、1990年5月となっています。ちょうど30年前になります。
本書のすごいところは、この刷数(「○刷」の箇所)です。これは、内容を変更せずに、そのまま重版(増刷ともいいます)をした回数ですが、第1版は2002年の改訂版(第2版:New Version)が出るまでに、72刷もしているのですよ!
その後のNew Versionは21刷、Ver.3は17刷と重版を続けている、まさに言葉のとおりのロングセラー・テキストですね。


Q2 平易に本の内容をご紹介ください。

経営学ver4・帯 帯をみてもらうと一番よくわかると思いますので、帯をご覧ください。
本書は、大学1年生など、「経営学」の初学者用の教科書です。特徴としては2つあります。
まずは、大きい白抜きのキャッチコピーが本書の特徴の1つです。
初めて学ぶ方が最初に感じる疑問は何だろうと考えて、それを表現したのが「経営学ってなんだろう?」でした。この疑問を持ったら、本書をすぐに読んで欲しい、という思いがあります。
そして、2つめの特徴は、黒色の説明書きです。Q1でも触れましたが、本書は1990年に初版が刊行されました。その後、現在のVer.4に至るまで、100回以上の重版を繰り返し、その累計の部数は6万部以上となっています。
つまり、30年にわたり、現役の教科書として6万人以上の学生に読み継がれてきたことになります。
そして、今現在も、もちろん現役の教科書として多くの大学で初学者用の教科書として採用されている、まさに超ロングセラーです。


Q3 現在発行されているものは、初期のものと比較して、時代に応じてどのような変遷を辿ってきましたか?

初版(第1版)からNew Version(第2版)に改訂するときに、編著者の齊藤毅憲先生のご判断で執筆者を大幅に変更されました。
初版の執筆陣は、中小企業診断士の方が中心で、実務家の視点からの内容が多かったのですが、New Versionからは、大学の経営学の研究者が執筆陣となりましたので、理論的な解説が中心となり、現在のVer.4に至っています。実務経験のない大学生にとっては、こちらのスタイルのほうがより馴染みやすいと思います。
内容的な変遷でいうと、初学者が学ぶ経営学のフレームワークはそんなに変更がありませんので、本書全体の構成もそれほど変わってはいません。最新のテーマ(SNS、GAFA、ESGなど)は本書の特徴である豊富なコラムで対応しています。


Q4 この本を「今」どのような人に、あるいはどのような場面で読んでいただきたいですか。

昔も今も大学1年生を中心とする経営学の初学者です。
私事で恐縮ですが、実は私が学生のとき、大学の「経営学総論」という1年生向けの経営学の講義の教科書が本書でした。
本書で、「経営」という行為がその内容によって、体系的に整理できること、そして、成功するための理論があることを知りました。
そして、これをきっかけに、成功している企業と失敗している企業の何が違ったのだろうか? といったことを考えられるようになり、経営学の楽しさを学ぶことができました。
私と同じ思いを、これから経営学を学ぼうという読者に1人でも多くお届けしたいです。


Q5 装丁を考える際にイメージされていたことやこだわり等ありますか。

初版(1990年)から最新版(2020年)まで歴代のカバーを並べてみました。

  • 経営学を学ぶver1
  • 経営学を楽しく学ぶ〈newversion〉
  • 経営学を学ぶver3
  • 経営学を楽しく学ぶ 〈ver4〉


どれも、その当時の担当編集者のテーマや想いが反映されていますよね。初版は、学生というよりは若手サラリーマンを意識しています。
New Versionからは若者を意識し始めていますね。そして、Ver.3からは大学生を完全に意識して、学生(必ず男女)+キャンパスをテーマにデザイナーさんに発注するようにしました。
もちろん、メインの読者層である大学1年生にとって親しみやすいデザインにする、という意図があります。