CFOポリシー〈第4版〉

柳 良平

定価(紙 版):2,970円(税込)

発行日:2025/06/24
A5判 / 256頁
ISBN:978-4-502-54851-2

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本の紹介
CFOが備えておきたい理論と実践の書。インパクト会計の開発に取り組むIFVAのケース研究の成果を受けて、非財務情報とESGの定量化に関して大幅に加筆し改訂する。

目次

第1章 日本企業の価値創造に係る資本市場の視座の変遷:グローバル投資家サーベイ時系列分析(2007-2022)
1 一般に日本企業のコーポレートガバナンスに満足しているか
2 一般に日本企業のROE に満足しているか
3 一般に日本株にはどれくらいの株主資本コストを想定するか
4 エクイティ・スプレッド(=ROE-株主資本コスト)が価値創造の代理変数として「伊藤レポート(2014年8月)」でも紹介されているが,資本コストを上回るROEの啓発のためにこのエクイティ・スプレッドをアニュアルレポートや東証の決算短信で自主的に開示・議論するという提案を支持するか
5 一般論で日本企業の保有する現金・有価証券の水準をどう思うか
6 バリュエーション(PBR)から勘案して帳尻を合わせると,現在の日本企業の保有する現金,有価証券100円をいくらぐらいで価値評価すると適切か
7 一般に日本企業の配当政策で一番大事なことは何か
8 日本企業のESG(非財務資本)および統合報告によるその開示についてはどう考えるか
9 日本企業のESG(非財務資本)の価値とバリュエーション(PBR)の長期的関係についてはどう考えるか

第2章 不都合な真実:日本企業の保有現金100円は50円
第1節 日本企業のバランスシートに積み上がる現金・有価証券
第2節 ガバナンスディスカウントの定性的証拠:「日本企業の保有現金100円の価値は50円」
第3節 ガバナンスディスカウントの定量的証拠

第3章 企業価値を高めるCFOポリシー:財務戦略マップ
第1節 CFOの受託者責任と財務戦略マップ
第2節 現場に落とし込むCFOの日本型ROE経営:管理会計とのつながり
第3節 価値を創造するための高度な投資採択基準を考える
第4節 最適資本構成に基づく最適配当政策

第4章 ROE経営とエクイティ・スプレッド
第1節 中長期的なROE経営の重要性
第2節 ROE経営に係るCFOの留意点:「良いROE」と「悪いROE」
第3節 株主資本コスト=最低要求ROE8%の根拠
第4節 価値創造の代理指標としてのエクイティ・スプレッド
第5節 エクイティ・スプレッドとパフォーマンスに係る定量分析

第5章 企業価値創造する投資採択基準(VCIC)
第1節 資本支出予算における投資採択基準の日米比較:資本コストの意識が問われている
第2節 CFOポリシーとしての価値創造の投資採択基準(VCIC)
第3節 M&AにおけるCFOの受託者責任
第4節 株式持ち合いの検証におけるCFOの受託者責任

第6章 最適資本構成に依拠した最適配当政策
第1節 配当パズルと日本企業の誤謬
第2節 決算短信分析に見る日本企業の横並び意識と投資家とのギャップ
第3節 CFOポリシーとしての「最適資本構成に基づく最適配当政策」

第7章 CFOの非財務戦略としての「柳モデル」の提言
第1節 拡大する非財務資本の価値とESG投資の急増
第2節 研究開発の価値(知的資本)にフォーカスした「Intrinsic Valueモデル」の追求
第3節 IIRC-PBRモデル(PBR仮設)
第4節 「非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル」(柳モデル)の提言
第5節 「柳モデル」を示唆する定性的なエビデンス
第6節 良好なESGが株主資本コストを低減する

第8章 「柳モデル」の定量的エビデンス
第1節 IIRCの5つの非財務資本とPBRの相関関係
第2節 研究開発投資のROE,株価への遅延浸透効果
第3節 市場付加価値(PBR1倍超の部分)と「人的資本」,「知的資本」の相関関係
第4節 PBRと「自然資本」の関係性
第5節 グローバル医薬品セクターのESGマテリアリティ
第6節 「柳モデル」のエーザイにおける実証
第7節 「柳モデル」は日本企業全体に適用可能か
第8節 「柳モデル」のTOPIX採用全銘柄への適用(日興アセットマネジメントとの共同研究)
第9節 「柳モデル」の個別企業へのさらなる展開(日本企業の最大公約数アビームTOP30)

第9章 インパクト加重会計(IWA)による定量化
第1節 IWAI日本第1号としての「雇用インパクト会計」の開示
第2節 顧みられない熱帯病治療薬の無償配布の「製品インパクト会計」
第3節 インパクト加重会計の広がり
第4節 まとめ:CFOの財務・非財務戦略が国富の最大化へ貢献する

著者紹介

柳 良平(やなぎ りょうへい)
[プロフィール]
博士(経済学)京都大学
早稲田大学大学院会計研究科客員教授
アビームコンサルティング株式会社工グゼクティブアドバイザー
M&Gインベストメンツジャパン株式会社副社長

公職として東京証券取引所上場制度整備懇談会委員,G7インパクト・タスクフォース2021委員等を務める。
職歴としては,銀行支店長,メーカーIR・財務部長,UBS証券エグゼクティプディレクター,エーザイ専務執行役CFO等を経て現職。早稲田大学客員教授として10年以上大学院で教壇に立つ。2022年9月より早稲田大学「会計ESG講座」の共同責任者を務める。Institutional Investor誌の2022年機関投資家投票でヘルスケアセクターのThe Best CF0第1位(5回目)に選出。米国公認管理会計士(US CMA), 米国公認財務管理士(US CFM)。

[主な著作]
【英文単著】
“Corporate Governance and Value Creation in Japan”(Springer社)

【和文単著】
『ROE革命の財務戦略』
『管理会計の改善マニュアルJ(以上,中央経済社)
『企業価値最大化の財務戦略」
『日本型脱予算経営』(以上,同友館)

【和文共著】
『企業価値評価改善のための財務・IR&SR戦略』
『コーポレート・ファイナンスの実務』(以上,中央経済社)
『ROEを超える企業価値創造』
『企業価値向上のための財務会計リテラシー』(以上,日本経済新聞出版社)

【和文編著】
『ROE経営と見えない価値』(中央経済社)