ESGカオスを超えて―新たな資本市場構築への道標

北川 哲雄 編著

定価(紙 版):3,630円(税込)

発行日:2022/05/02
A5判 / 344頁
ISBN:978-4-502-42731-2

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本の紹介
近年、企業は積極的なESG活動への参画を余儀なくされている。企業の競争力獲得とESG活動の外部評価はどのような関係にあり、どのような基軸をもって進むべきか。

目次

第0章 いかにESGカオスを超えて行くか (北川哲雄 東京都立大学)
第1章 シングルマテリアリティとダブルマテリアリティの相克 (足達英一郎 日本総合研究所)                                                                                                                                                                                                                                                                                                  
第2章 非財務情報開示基準の統合はいかに進むか (松山将之 日本政策投資銀行)
第3章 経営者・従業員のESGへの理解を深めるには : 3つの「E」の重要性 (貝沼直之 マネックスグループ) 
第4章 アクティブ投資家とESGカオス (木下靖朗 ニッセイアセットマネジメント) 
第5章 ESGインテグレーションとは何か (林寿和 Nippon Life Global Investors Europe Plc.)
第6章 技術経営の視点からESGカオスを考える (加藤晃 東京理科大学)
第7章 ビジネスと人権を両立させるサステナビリティ経営とは : ネスレの児童労働撲滅の取り組みからの示唆 (小方信幸 法政大学)
第8章 ESGカオスと企業経営・財務政策の基軸 (松田千恵子 東京都立大学) 
第9章 サステナブル資本主義における会計の役割 (浅野敬志 東京都立大学)
第10章 わが国CGコードの特徴と今後の課題 : 経営指南書としてのわが国CGコード (林順一 青山学院大学)
第11章 取締役会評価 : 日本における評価の進展と課題 (高山与志子 ボードルーム・レビュー・ジャパン)
第12章 取締役会活性化の処方箋 : 独立社外取締役の役割・責務と取締役会事務局の支援 (富永誠一 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)

著者紹介

北川 哲雄(きたがわ てつお)
[プロフィール]
青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授
早稲田大学商学部卒業,同大学院商学研究科修士課程修了、中央大学大学院商学研究科博士課程修了。博士(経済学)。シンクタンク研究員,運用機関リサーチャー等を経て、2005年より青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。2019年より現職。

[主な著作]
『社会を変えるインパクト投資』ベロニッカ・ベッチ他著/共同監訳(同文館出版、2021年)、『コーポレートガバナンス・コードの実践<再改訂版>』共著(日本経済新聞出版社、2021年)、『バックキャスト思考とSDGs/ESG投資』編著(同文館出版、2019年)、『経営のサステナビリティと資本市場』共著(日本経済新聞出版社、2019年)、『ガバナンス革命の新たなロードマップ』編著(東洋経済新報社、2017年)、『統合報告の実際』ロバート・ G・エクレス編著/監訳(日本経済新聞出版社、2015年)、『証券アナリストのための企業分析<第4版>』共著(東洋経済新報社、2013年)、『IRユニバーシティーIRオフィサー入門』単著(国際商業出版、2010年)、『資本市場ネットワーク論―IR・アナリスト・ガバナンス』単著(文真堂、2007年)、『アナリストのための企業分析と資本市場』単著(東洋経済新報社,2000年)ほか。

担当編集者コメント

書評はこちら

われわれはESGカオスの中にいる。
ESG、SDGs、サステナビリティという言葉が新聞に出ない日はない。
社会現象と言ってもよいが、この流れの本質をどのように理解するかは非常に重要である。
それができないと、これからもESGカオスの中で永遠に右往左往することになるだろう。<「はじめに」より>

●本書の問題意識
企業は、ESG (Environment:環境/Social:社会/Governance:企業統治)にいかに取り組んだらよいのか。本書では以下の9つの視点をあげています。

① EとSの問題の多くは外部性の問題である。
② 企業におけるESG活動は企業という組織自体の「価値」を強固・増大する手段として一義的に考えるべきである。
③ 企業は社会的価値のあるサービス・財を提供してこそ適切な利益を得られる。
④ 経営者は企業経営とESG活動の同心円化を進め、もってマテリアリティを特定する努力を行うべきである。
⑤ 非財務情報(ESG)開示基準は当然の帰結として統合化へ向かう。
⑥ 企業は目的適合性をもった複数の報告書の作成が求められる。
⑦ 革新的アナリストの出現を期待している。
⑧ 時間軸の悲劇を起こさないようにしなければならない。
⑨ モニタリングの連鎖が必要である。

毎日のようにメディアで報道されるESGについて、経営者や企業の担当者は「何かしなければ取り残される」という危機感を強めているものの、何をすべきか一生懸命に取り組めば取り組むほど悩みが深くなっていると思われます。
本書では、第一線で活躍されている方々により、その専門領域に即してさまざまな角度から今起こっていることをどのように理解すべきかについて論じていただきました。
ぜひご一読ください!