関西学院大学産研叢書45/エビデンスで紐解く地域の未来

栗田 匡相 編著

定価(紙 版):4,070円(税込)

発行日:2022/03/24
A5判 / 160頁
ISBN:978-4-502-41911-9

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本の紹介
地方におけるさまざまな施策や取組みの効果を、定量的な分析、地方の施策への取組みプロセスの時系列的検証、自らが当事者として行った取組みの解読を通じて紐解く研究書。

目次

はしがき

第1章 地域通貨さるぼぼコインの経済効果分析
 1 はじめに 
 2 地域通貨の理論と歴史 
  2-1 地域通貨の理論  
  2-2 海外における地域通貨の歴史  
  2-3 日本における地域通貨の歴史  
  2-4 地域通貨の新展開  
 3 さるぼぼコインの概要 
 4 分析 
  4-1 さるぼぼコインが飛騨信用組合にもたらす経済効果  
  4-2 さるぼぼコインが加盟店にもたらす経済効果  
 5 おわりに 

第2章 地域の情報づくりとマーケティング
 1 はじめに―地域の食と情報づくり 
 2 対象地域の概要と課題 
  2-1 山江村とやまえ栗の概要  
  2-2 やまえ栗をとりまく課題  
 3 やまえ栗の概要 
  3-1 やまえ栗の歴史  
  3-2 近年の取組み  
 4 やまえ栗の情報づくり 
  4-1 やまえ栗の情報収集と文献調査  
  4-2 やまえ栗の情報発信・編集  
  4-3 消費者とのコミュニケーション  
 5 おわりに―情報の活用と地域の合意形成 

第3章 大阪府における地域就労支援事業の展開過程
-自治体間格差の分析
 1 はじめに―研究の目的 
 2 地域就労支援事業とは 
  2-1 地域就労支援事業とは何か  
  2-2 自治体間格差をもたらす要因  
 3 方法 
  3-1 データ  
  3-2 分析手法  
  3-3 変数  
 4 分析 
  4-1 記述統計による支援状況の概観  
  4-2 QCA による分析  
 5 おわりに―地域就労支援事業の今後の課題 

第4章 ひとが育つ環境をととのえる
-学びの環境づくりの実践から問うもの
 1 はじめに―「生きたいように生きていく」 
 2 研究の世界から,教育の世界へ 
 3 ゼロからのスタート 
 4 生活現実を知る 
 5 予想通りにいかない授業 
 6 文化は三世代で出来上がる 
 7 子どもたちだけの架空の未来の町作り  
 8 私的公共空間 
 9 教育支援センター開設 
 10 自立・自律のための学習環境 
 11 オンラインのリアルタイムな学びへ 
 12 エデュケーションハブ i.Dare 
 13 おわりに―文化資本を求めて 

第5章 地方創生・地域共生社会の担い手としての大学生
-栗田ゼミ Smilocal 活動の取組みから
 1 はじめに 
 2 大学生の置かれた現状 
 3 Smilocal 活動の成立 
 4 枠組みのない Smilocal 活動の実践 
 5 奇妙なご縁の力-御所班の成立まで 
 6 プロフェッショナルな存在としての大学生 
 7 奇妙なご縁の続き―関係人口から考える 
 8 おわりに 

あとがき

著者紹介

栗田 匡相(くりた きょうすけ)
[プロフィール]
関西学院大学経済学部教授 博士(経済学)
2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。国連大学世界開発経済研究所(UNU WIDER)客員研究員、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科助教を経て、現職。

[主な著作]
“Dynamics of Growth, Poverty and Inequality: A Panel Analysis of Regional Data from Thailand and the Philippines,” with Takashi Kurosaki. Asian Economic Journal, vol. 25(1),2011, pages 3-33.
“Minimum Wage, Export and Firm Performance: Case from Indonesia” with Bin Ni. Journal of Asian Economics Vol.69,2020.
『テキストブック アジア地域経済統合』編著、勁草書房、2012年
『日本の国際開発援助事業』編著、日本評論社、2014年

担当編集者コメント
本書では地方におけるさまざまな施策、取組みをとり上げ、その効果がどのようなものであったのかを検証しています。

その検証の方法は①定量的な分析が主になるもの、②取組みのプロセスを丹念に時系列的におって検証するもの、③著者が当事者として行ってきた取組みを解読していくもの、とさまざまです。

本研究を通じて、地域の施策が成功するには、地域に根付いた創造的な組織づくりとその組織の中で常に創造的なチャレンジを続けること、さらに地域の課題に対して情熱をもって取り組む「人」が重要であることを示しています。

地域の未来を考えていく上で、大きな示唆を与える研究成果です。