変貌する保険事業―インシュアテックと契約者利益

石田 成則

定価(紙 版):3,300円(税込)

発行日:2022/04/28
A5判 / 260頁
ISBN:978-4-502-41891-4

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本の紹介
規制緩和やICT技術の発展等に伴う業界の激変は、利便性を高める一方で契約者保護のあり方も変えている。業界を概観し、規制当局を含めた保険業界全体へ提言をまとめた。

目次

はしがき

序 章 保険業を取り巻く環境変化と事業革新:
    問題意識と考察の視点
  1.保険事業革新の現状
  2.保険業のイノベーションとは何か?
  3.インシュアテック時代の新たな保険規制
  4.本著の構成および概要

第1章 保険業におけるイノベーションと契約者利益
  1.金融・保険技術革新をめぐる論点
  2.貨幣的成長モデルの枠組み
  3.金融・保険技術革新の企業価値への影響
  4.金融・保険技術革新の経済的帰結
  5.金融・保険技術革新への条件整備
  補論 貨幣的成長モデルの概要

第2章 個人保険・団体保険の商品性革新
  1.自在型(アカウント型)生命保険
  2.個人年金保険と変額年金保険・変額保険
  3.団体年金保険と分離勘定の運用
  4.高齢社会での人的サービス対応商品:第三分野保険・傷害疾病保険

第3章 保険技術革新による顧客価値創造型マーケティング
  1.保険技術革新と販売チャネル
  2.保険業をめぐるインシュアテックの現況
  3.保険販売の技術革新がもたらす新たなCRM
  4.デジタルマーケティングが実現する契約者利益
  5.LTVに基づく顧客生涯価値の可視化と保険業のCRM
  補論 LTVの効果に関する検証

第4章 「製販分離」による保険業の新たなビジネスモデル
  1.金融リテール分野における「製販分離」
  2.保険業における「製販分離」の現状
  3.販売チャネル多様化の現状とその要因
  4.「製販分離」事例としての銀行の窓口販売
  5.保険業における「製販分離」の課題
  6.保険業における「製販分離」の展開

第5章 保険市場の特殊性と契約者利益
  1.保険事業における生産概念
  2.保険市場における価格差別とサーチ活動
  3.保険市場における契約者利益の向上

第6章 保険経営形態と契約者利益
  1.経営形態をめぐる議論
  2.費用選好仮説の定式化とその含意
  3.相互会社の健全性と経営効率化
  4.相互会社における組織改革:持株会社の可能性
  5.相互会社における制度的監視の重要性
  補論 費用選好仮説の検証

第7章 特定保険契約における説明義務と賠償責任のあり方
  1.金融消費者保護法制における保険者の説明義務
  2.保険における情報格差を埋める施策
  3.特定保険契約としての変額保険の商品内容とリスク
  4.特定保険契約における立証責任配分の考え方
  5.特定保険商品販売のあり方

第8章 金融ADRが保険市場に及ぼす影響
  1.保険契約者からみたリスクと情報の不完全性
  2.保険契約者保護のための重層的な構造
  3.保険をめぐるトラブルの実相とその要因
  4.金融ADRの望ましい制度設計への提言
  5.これからの金融ADRの課題

第9章 保険トラブルをめぐる訴訟・和解と金融ADR
  1.保険商品に付随するリスクと情報格差
  2.紛争処理手段の優劣比較
  3.予想不一致モデルの展開:ディスカバリー・ルールと過誤への対応
  4.これからのトラブル対応のあり方

第10章 保険政策と保険規制
  1.保険政策の体系とその概要
  2.保険業の特徴と保険規制の根拠
  3.戦後の保険政策と保険規制の変遷
  4.保険自由化の影響とその評価
  5.新たな保険セーフティ・ネットの構築
  6.保険自由化後10年間の規制緩和:個別論点
  7.保険政策の現代的課題

著者紹介

石田 成則(いしだ しげのり)