保険契約の会計―利益測定に関する基礎概念の解明

羽根 佳祐
定価:5,060円(税込)

発行日:2021/02/22
A5判 / 308頁
ISBN:978-4-502-37361-9

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本の紹介
保険契約プロジェクトは、最終基準化までに約四半世紀もの議論を費やしている。これはなぜか? 保険会計に固有の問題およびIASBの会計思考の変遷の視点から詳細に究明。

目次

序 章 本書の問題意識と各章の構成
第1章 保険契約会計の基本構造
第2章 保険業を取り巻く周辺制度
第3章 会計利益観の選択問題
第4章 会計上の対応概念の意義とその変容
第5章 保険契約会計を巡る会計モデル間論争
第6章 保険契約会計基準の国際的な収斂への障壁
第7章 保険契約会計における「対応」手続の変容
第8章 保険契約の収益認識
第9章 わが国における保険契約会計の将来展望
終 章 総括と展望
補論1 収益・費用の対応観に関する代表的な見解
補論2 IASC/IASBの公正価値モデル案に対するコメント分析
補論3 保険契約収益の表示に関するIASB提案に対するコメント分析
資料1 論点書「保険」(IASC [1999])に対するコメント回答内容
資料2 討議資料「保険契約に関する予備的見解」(IASB [2007])に対するコメント回答内容
資料3 改訂公開草案「保険契約」(IASB [2013b])に対するコメント回答内容

著者紹介

羽根 佳祐(はね けいすけ)
2009年 早稲田大学商学部卒業、同大学院商学研究科進学
2012年 早稲田大学商学学術院助手、助教を経て、
2017年 早稲田大学より博士(商学)の学位を取得
2018年 成城大学経済学部専任講師となり現在に至る。

[主な著書]
『IFRSの会計思考―過去・現在そして未来への展望』共著、中央経済社、2015年
『財務会計の理論と制度』共著、中央経済社、2018年

[主要論文]
「IFRSにおける収益認識に関する帰納的検討」、『金融研究』第39巻第3号、共著、日本銀行金融研究所、2020年

担当編集者コメント
●本書のねらい

 「一個の会計基準を策定するのに、なぜ四半世紀近くの歳月を要するのか。」

本書の問題意識を端的に言うと、このようになります。国際会計基準審議会(IASB)による国際財務報告基準(IFRS)の開発プロジェクトの多くが長期化の道をたどりましたが、その最たるものが保険契約プロジェクトでした。IASBの前身である国際会計基準委員会(IASC)が1997年4月に同プロジェクトを発足してから、約20年後の2017年5月にIFRS第17号「保険契約」の公表を迎えました。しかし、その内容に対して市場関係者からの懸念が依然として寄せられたために適用は延期され、2020年6月に「IFRS第17号の修正」を公表するに至っています。

本書では、保険契約に関する会計基準の策定作業における長い論争の根底には、ストックモデルとフローモデルとの会計モデル間対立が色濃く反映されているという仮定に基づき、
(1)2つの会計モデルの対立に起因する会計利益観の対立点
(2)会計利益観の移行に伴う財務会計の基礎概念の変容問題
の2点を分析の視点として、IASBの基準策定プロジェクトが長期化した要因の究明に加えて、保険契約会計の将来像について検討を行っています。

保険会社の方々等、実務で保険会計に関わる方はもちろんですが、帯にも書いたように「プロジェクト長期化の歴史は、IASBの会計思考の変化・変遷そのもの」であり、財務会計全般に関心のある研究者、実務家、学生の方々にもぜひご覧いただきたい書籍です。