会計事務所の経営支援―経営会計専門家の仕事

澤邉 紀生
吉永 茂

定価(紙 版):2,860円(税込)

発行日:2020/10/29
A5判 / 256頁
ISBN:978-4-502-35701-5

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本の紹介
会計事務所は、従来の税務申告にとどまらず、中小企業の身近な相談相手として経営支援をしていくことが求められている。本書はその経営支援の具体的内容を事例を交え解説。

目次

第1章 経営者に寄り添う経営会計専門家という職業

第2章 経営計画策定能力の向上による中小企業の成長:建設業の事例

第3章 外部環境の変化を捉えた企業の自己変革:食肉加工卸売業の事例

第4章 任せる経営:フランチャイジーの事例

第5章 努力と成果の「見える化」:食肉冷凍加工食品卸・小売業N社の事例

第6章 中小企業のブランディング:美容室の事例

第7章 企業再生(オーナーシップの交代):スポーツクラブの事例

第8章 事業承継の準備:診療所の事例

第9章 経営者の突然の逝去に対応したダメージコントロール:造園業の事例

第10章 中小企業のガバナンス:建築業の事例

著者紹介

澤邉 紀生(さわべ のりお)
[プロフィール]
京都大学大学院経済学研究科・経営管理大学院教授 博士(経済学)
1990年京都大学経済学部卒業。立命館大学経営学部専任講師、九州大学経済学部助教授を経て、2007年より現職。

[主な著作]
Management Controls and Pressure Groups: The Mediation of Overflows, Accounting, Auditing & Accountability Journal, 31(6), 2018, pp. 1644-1667, co-authored with Stephen Jollands and Chris Akroyd.
Core Values as a Management Control in the Construction of ‘Sustainable Development,’ Qualitative Research in Accounting & Management, 12(2), 2015, pp. 127 – 152, co-authored with Stephen Jollands and Chris Akroyd等.

『アメーバ経営学―理論と実証』共編著、KCCSマネジメントコンサルティング、2010年
『次世代管理会計の礎石』共編著、中央経済社、2015年
『アメーバ経営の進化―理論と実践』共編著、中央経済社、2017年
『計算と経営実践―経営学と会計学の邂逅』共編著、有斐閣、2017年

吉永 茂(よしなが しげる)
[プロフィール]
公認会計士・税理士 京都大学経営管理大学院特命教授
1967年中央大学第一商学部会計学科卒業。2009年より熊本学園大学会計専門職大学院専任教授(2012年まで)。現在、一般社団法人コンサル技連代表理事を務める。

[主な著作]
『中小建設業これで会社は立ち直る-経営再建の基礎知識』日刊建設工業新聞社、2003年
『改正経営事項審査のポイントと対策』日刊建設工業新聞社、2008年

担当編集者コメント
〇本書の趣旨
今日、我が国の中小企業の多くは、①円滑な事業承継、②企業の収益性の向上、③自社に合った経営管理の仕組み作りの3つの経営課題に直面しています。
経営管理の仕組みが構築され、トップの強いリーダーシップの下で全社員が共同体意識を持って日々の業務に励めば、自ずと企業の収益性は向上し、その結果、親族内承継やM&Aによる承継も進むでしょう。
しかし、大企業と異なり、経営資源に限りのある中小企業がこれらを自社だけで完結させるのは容易ではありません。経営者の最も身近な専門家である税理士、公認会計士(経営会計専門家)の支援が不可欠です。今こそ、すべての経営会計専門家は、「税務」、「監査」といった独占業務の専業から経営支援業務へも軸足を拡張し、地域経済の活性化に貢献すべきです。
本書は、実務家と研究者によるコラボレーションにより、企業のわかりやすい実例を通じて、実践的なノウハウだけでなく理論的な考え方の基礎も学べる構成になっています。経営会計専門家だけでなく中小企業のオーナーの方や金融機関の方々等にもぜひ読んでいただきたい書籍です。

〇本書の活用法
第1章では、今なぜ会計事務所に経営支援が求められているかを解説しています。
第2章から第10章では、各事例企業を会計事務所の担当者がどのように経営者をサポートしたのか、またすべきだったのかが解説されています。
各事例のなかで、「会計事務所の担当者として、この状況でどのように経営者に助言すべきか」という「問い」が投げかけられる体裁となっており、読者は自分ならばどうしたかを考えながら読んでください。
「問い」に対しては「答え」が記載されている場合と、「答え」がない場合があるが、「答え」が書かれている場合でも、1つの考え方として受け取ってください。
本書で本当に伝えたいメッセージは、経営の悩みに対応するという会計人としての「心構え」です。