変革とパラドックスの組織論

山岡 徹

定価(紙 版):4,730円(税込)

発行日:2015/11/02
A5判 / 380頁
ISBN:978-4-502-15981-7

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本の紹介
組織変革を推進すればするほどかえって組織が硬直化し、経営成果が頭打ちになる、という組織変革の逆説的(パラドックス)な現象を解明するとともにその打開策を究明する。

目次


変革とパラドックスの組織論
目次

 はしがき

序 章 組織変革とパラドックス
 Ⅰ 組織における経営課題
  1.組織マネジメントの課題とは
  2.組織変革の対象
 Ⅱ 組織の存続と変革
 Ⅲ 本書の問題意識
  1.内部統合におけるジレンマ
  2.外部適応におけるジレンマ
  3.組織変革におけるパラドックス
 Ⅳ 本書の構成

第1章 組織における内部統合と変革
 Ⅰ 組織の捉え方
  1.組織の成立条件
  2.動態的な組織のマネジメント
 Ⅱ 組織変革の捉え方
  1.「活動内容の変革」としての組織変革
  2.「活動の束ね方の変革」としての組織変革

第2章 組織における共通目的の体系化
 Ⅰ 共通目的の特質と役割
  1.組織アイデンティティとしての共通目的
  2.経営戦略としての共通目的
  3.制度としての共通目的
 Ⅱ 共通目的の分化と体系化
  1.共通目的の階層性
  2.共通目的と活動の分化
  3.組織における共通目的の体系化プロセス ……ほか

第3章 組織変革としての「共通目的の再定義」
 Ⅰ 組織における共通目的の体系化とジレンマ
  1.共通目的の再定義の必要性
  2.共通目的群の体系化プロセス
 Ⅱ 上位組織における共通目的の再定義の難しさ
  1.組織における価値的要因と技術的要因
  2.上位組織における共通目的の再定義とジレンマ
  3.組織の吸収能力と組織革新のジレンマ
 Ⅲ 「組織変革」を変革する必要性
  1.組織変革と外部環境
  2.変革不全のパターン類型
  3.変革不全をもたらす諸要因

第4章 外部環境の不確実性と組織設計
 Ⅰ 組織設計におけるジレンマ
  1.組織における分化と統合
  2.分化と統合のジレンマ
  3.コンフリクトと組織の健全さ
 Ⅱ 外部環境の不確実性と組織の情報処理能力
  1.外部環境と組織の不確実性
  2.情報処理システムとしての組織
 Ⅲ 不確実性の増大と組織設計
  1.組織の情報処理量を削減する
  2.組織の情報処理能力を高める

第5章 組織変革におけるリーダーシップと学習
 Ⅰ 組織変革プロセスの類型
  1.計画的プロセスか創発的プロセスか
  2.受動的プロセスか主体的プロセスか
 Ⅱ 計画的・受動的な組織変革の限界
  1.外部環境の認識と分析の担い手
  2.組織変革の対象の絞り込み
  3.外部環境と組織の構成要素との適合性の追求 ……ほか
 Ⅲ 組織変革におけるリーダーシップの役割
  1.変えることのリスク
  2.組織のカタチを変革することの限界
  3.意味創造の主体としての変革型リーダー
 Ⅳ 変革におけるビジョンと組織学習
  1.変革と将来ビジョン
  2.変革における組織学習の重要性

第6章 組織学習のパラドックス
 Ⅰ 将来ビジョンの戦略的な位置づけ
  1.組織の何を変革するのか
  2.なぜ変革の対象が異なるのか
 Ⅱ 組織における学習と適合性のパラドックス
  1.「将来ビジョン」への固執
  2.組織における適合性の概念
  3.過剰な内部適合性と変革ジレンマの構図 ……ほか

第7章 組織能力のパラドックスと両利き組織
 Ⅰ 能力構築のパラドックス
  1.組織における能力構築の必要性
  2.組織における探索と活用のパラドックス
  3.「能力の罠」の概念 ……ほか
 Ⅱ 「両利き」組織の概念
  1.「両利き」組織モデルの考え方
  2.「両利き」能力の類型化

第8章 変革プロセス推進の阻害要因
 Ⅰ 変革プロセス・マネジメントとは
  1.変革プロセス・マネジメントの重要性
  2.変革プロセスの導入とコミュニケーション
 Ⅱ 変革プロセスを阻害する諸要因
  1.組織成員の心理と認知
  2.組織の複雑さとしがらみ
  3.外部環境の複雑さと組織の認識枠組み

第9章 変革モメンタムと動態的な組織均衡
 Ⅰ 代表的な変革プロセス論の概要
  1.Lewinの変革プロセス論
  2.Kotterの変革プロセス論の批判的検討
 Ⅱ 変革プロセスモデルの包括的な課題
  1.単線的な一方通行の変革プロセス
  2.過剰な内部適合性の追求
  3.外部環境の軽視
 Ⅲ 変革プロセスにおける組織のモメンタムとモード転換
  1.静態的な組織慣性と動態的な組織慣性
  2.変革プロスセスにおける「オーバーラン現象」
  3.変革オーバーラン現象を促進する心理および認知的要因
 Ⅳ 意図的な不適合状態を生み出すための組織変革
  1.将来ビジョンの有効期限
  2.組織の動態と環境適応プロセス

第10章 組織における矛盾の創造的マネジメント
 Ⅰ 矛盾と変革を媒介とする組織成長プロセス
  1.外部環境の変化
  2.組織の成長と自己革新
 Ⅱ 組織設計における適合性をめぐる矛盾
  1.組織における適合性と組織パフォーマンス
  2.適合性を追求する組織設計の困難さ
  3.適合性をめぐる組織編成の矛盾とジレンマ
 Ⅲ 組織設計における動態的な適合プロセス
  1.適合性追求型の組織設計と変革プロセス
  2.適合性破壊型の組織設計と変革プロセス
  3.適合性追求型の組織設計と変革プロセスへの回帰

 参考文献

 索  引




著者プロフィール 山岡 徹(やまおか・とおる)
1971年生まれ
1995年 京都大学経済学部卒業
1995年 東海旅客鉄道株式会社(JR東海)入社
2000年 京都大学大学院経済学研究科修士課程(組織経営分析専攻)修了
2003年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程(組織経営分析専攻)単位取得
2003年 横浜国立大学経営学部専任講師
2007年 京都大学 博士(経済学)
現 在 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院(経営学部)教授

◆主な著作
・「パワー理論の限定合理性の視点からの論点整理」,田尾雅夫編著『非合理組織論の系譜』所収(文眞堂,2003年).
・「組織変革マネジメントと人事制度改革」,若林直樹・松山一紀編著『企業変革の人材マネジメント』所収(ナカニシヤ出版,2008年).
・「組織マネジメント」,山倉健嗣編著『ガイダンス現代経営学』所収(中央経済社,2015年).




















著者紹介

山岡 徹(やまおか とおる)