「闘争」としてのサービス―顧客インタラクションの研究

山内 裕

定価(紙 版):3,080円(税込)

発行日:2015/03/23
A5判 / 256頁
ISBN:978-4-502-13741-9

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本の紹介
サービスとはお客を満足させるものと思われている。しかし、その本質は、客と提供者がお互いを試し、見極める「闘い」であると主張。サービスの概念に一石を投じた意欲作。

目次


「闘争」としてのサービス
顧客インタラクションの研究
目次

 はじめに

 序章 サービスの複雑さ
  1 サービスの高まり
  2 サービスの社会的な複雑さ
  3 弁証法のアプローチ
  4 実践の理論
  5 言語の理論
  6 本書の構成

第Ⅰ部 サービスのやりとり
 第1章 鮨屋におけるやりとり
  1 鮨屋とは
  2 親方と客の対話の分析
  3 調査対象
  4 入店直後の注文
  5 最初の食べ物の注文
  6 客を試す
  7 ルーチンの概念
  8 鮨屋の緊張感

 第2章 ファストフードのやりとり
  1 ファストフードの概要
  2 分析方法
  3 ファストフードのファストフード性

 第3章 イタリアンとフレンチレストランの比較
  1 イタリアンとフレンチレストランの事例
  2 イタリアンでの注文の伝え方

第Ⅱ部 サービスの理論
 第4章 闘いとしてのサービスの価値
  1 従来のサービス理解
  2 闘いとしてのサービス
  3 歓待における敵対と力
  4 おもてなしの不可能性
  5 サービスにおける敵対性
  6 互酬性と経済的交換
  7 文化のパフォーマティブ
  8 差異化=卓越化
  9 顧客満足の矛盾
  10 闘いを通した相互承認
  11 緊張感の中のくつろぎ
  12 サービスの原動力

 第5章 闘いの方法
  1 礼儀作法
  2 神秘性
  3 見せない気遣い
  4 支払いの隔離
  5 サービスの読みほぐし
  6 対立するものの並存
  7 語られないこと
  8 記号としての闘い

第Ⅲ部 サービスの実践
 第6章 サービスデザイン
  1 サービスデザインの背景
  2 従来のサービスデザインの考え方
  3 人間-脱-中心設計
  4 サービスの織りなし

 終章 サービスと向き合う
  1 サービス科学は闘いである
  2 サービス社会の流動化

 参考文献

 索  引




著者プロフィール 山内 裕(やまうち ゆたか)
京都大学経営管理大学院 講師
京都大学工学部情報工学科,同大学院情報学研究科社会情報学専攻修了(情報学修士),カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles),UCLAアンダーソン経営大学院(UCLA Anderson School of Management)博士課程修了(Ph.D. in Management)。ゼロックス(Xerox)社パロアルト研究所(Palo Alto Research Center/ PARC) 研究員を経て,現職。
専門:組織論,サービス科学,エスノメソドロジー

主な著作:
書籍『日本型クリエイティブ・サービスの時代―「おもてなし」への科学的接近』(共編著,日本評論社,2014),論文“ User knowledge transformation through design:A historical materialism perspective,” Information and Organization, Vol. 24, No. 4(2014年)など。




















著者紹介

山内 裕(やまうち ゆたか)
[プロフィール]
京都大学経営管理大学院 講師
京都大学工学部情報工学科、同大学院情報学研究科社会情報学専攻修了(情報学修士)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)、UCLAアンダーソン経営大学院(UCLA Anderson School of Management)博士課程修了(Ph.D. in Management)。ゼロックス(Xerox)社パロアルト研究所(Palo Alto Research Center / PARC) 研究員を経て、現職。
専門:組織論、サービス科学、エスのメソドロジー

[主な著作]
『日本型クリエイティブ・サービスの時代 ―「おもてなし」への科学的接近』(共編著、2014、日本評論社)

担当編集者コメント
これまで、多くの方が抱いていた「サービス」の内容、概念を根本から問い直す内容です。
サービスとは、本当に「複雑」なものであることが、本書から学べます。
著者から
◆東京の鮨屋で表情を変えない親方を前に緊張しながら注文する客。
◆京都の料亭で食べ方もわからない料理を出され、動揺している客。
◆フランス料理店で理解できない名称ばかりが並ぶメニューから不安気に注文する客。

 従来のサービスの理論では、これらの現象を説明できません。サービスとは一体何でしょうか?
 最近では「おもてなし」という言葉がよく使われます。「おもてなし」とは、 心をつくした見返りを求めない奉仕と言われることが多いです。しかし,そうではないのです。笑顔でフレンドリーに,顧客のために顧客のニーズを充たそうとするサービスは,結果的にサービスの価値を低下させてしまいます。
 サービスは客のニーズを充たすのではなく,客を否定するところから始まります。サービスは高級になるほど,いわゆる「サービス」が減少します。上記のようなサービスがまさにそれです。
 サービスはとても複雑なのです。サービスについて正しいと思ったことは,実は正反対の結果となります。
 本書はサービスに関する表層的な理解を乗り越え,サービスの本当の意味を理解しようとするものです。
 サービスは根源的に「闘い」なのです。