特集バックナンバー
5月ももう終わりですね。連休のエナジー貯金、かつかつになってきた頃ではないでしょうか。
仕事に身が入らない、部下の元気がなさそう、職場の雰囲気がギスギスしている......なんてお悩みは、制度を整えると解決するかもしれません。
第4回のテーマは、「効果的なインセンティブ設計」。働き方が大きく変容する中で、社員のモチベーションアップや、適切な評価の方法を考える機会が増えたのでは。
とある編集部も例外ではないようで、こんな会話が繰り広げられていました......(文責:中央経済社 電子コンテンツ編集支援室)。
「隣の編集部」の2人
キャップ
デスク
今回のテーマは、「成果主義」だって。
ちょっと違いますよ。コロナ禍の人事労務について考えてみましょうってことでしょう。
えっ! そうなの?
在宅勤務が当たり前になって、人事的な評価をどうしたらいいかっていうことでしょう。その候補の一番手が成果主義ってことみたいですよ。
じゃあ......、やっぱり成果主義ジャン。
いいえ、成果主義だけではなく、インセンティブについても考えていますよ。両者のコラボもありますしね。
インセンティブって、報奨金でしょ。特別賞与みたいな。喩えれば、マンガでよくある馬の目の前に吊した人参だね。
まぁ、そうですね。しかし、そう単純なモノばかりではなく、いろいろとありましてね。
例えば、石原章史氏「働き方とインセンティブ設計」(『旬刊経理情報』2021年4月10日号(NO. 1608 )「談論」)を読んでみてください。コロナ禍で進むテレワークの勤怠管理の一方策として、インセンティブを採り上げています。
ふ~ん、なるほど......? そっか、インセンティブが自発的な労働をもたらすということか。
監視をしなくとも、一定の成果を上げることでインセンティブがもらえるとなれば、自発的に働くようになるということでしょうね。
でも、必ずしも上手く行くわけではないような気もするな。
おっしゃるとおりで、ボーナスや昇進は大きなモチベーションになりますが、そればかりでは従業員の気持ちが満足しないケースもあります。
だよね。自分の意見が通る、通らないって、モチベーションに響くよね。
では、そんなことも頭におきながら、テレワークに有効な成果主義の人事制度と賃金制度を考えてみましょう。
キャップが成果主義をあまりご存知ないということで、法律面と実務面からアプローチした入門的な読み物を紹介します。
デスクは経営や組織論のオーソリティだからね。
『ビジネス法務』2020年12月号の特集2「法律論と実務の視点から考える 成果主義人事・賃金制度 移行の手引き」がキャップの勉強用にちょうどいいかなと。
法律論と実務の視点から考える
成果主義人事・賃金制度 移行の手引き
第1章 経済的・社会的背景から今後の意義を問う
成果主義人事・賃金制度の全体像
榎本英紀
第2章 不利益変更への該当性と有効性
成果主義制度導入が争われた裁判例の検討
吉永大樹
第3章 現在の制度検証から労働組合との交渉まで
制度変更時のプロセスに即した実務課題と紛争予防の視点
中川洋子
第4章 今後の雇用契約のあり方を見据えて
移行後の制度運用で留意すべき「実体的公平」の内容と手続的担保
髙津陽介
成果主義人事・賃金制度の全体像
成果主義制度導入が争われた裁判例の検討
制度変更時のプロセスに即した実務課題と紛争予防の視点
移行後の制度運用で留意すべき「実体的公平」の内容と手続的担保
へえ〜〜〜。
......。
これ構成が丁寧だね。単行本になっちゃうじゃん。
だからお勧めしているんです。人事・賃金制度の分布図がわかりやすいですよ(図表1)。
確かに、成果主義のイメージが掴みやすい。
この特集は4本立てのようだけど、冒頭で全体の概要を明示してくれているから嬉しいね(図表2)。
それから、第2章の104〜106頁にわたる図表「成果主義制度導入が争われた裁判例」と、第3章の110頁にある図表「代表的な人事制度の特色」は、よくまとまっていますね。
前者なんて、虫眼鏡がなくちゃ見えないなんて悪口が聞こえてきそうだけど、ホントよくまとまっていますよ。......キャップじゃ虫眼鏡でも無理かも。
実はちょっと勉強したんだけど。第4章で、成果主義の肝とも言える「実体的公平」について解説されているんだけどね、成果主義が徹底されて、従業員の関与のもと、公正な人事考課制度が確立していれば、普通解雇をも見据えた人事考課はあり得るということみたいだね。
確かに、ジョブ型正社員が増えてくれば、あり得る話だね。スポーツ選手をイメージすればいいのかな。
結構知ってるじゃないですか。
君に教わるのが嫌なんでね。
先輩、水臭いなぁ。
......先輩? 人事考課をしている上司だってこと忘れてない?
またまたぁ......(最初に言って!)。
(続く?)
紹介書誌情報
- 『旬刊経理情報』2021.4.10(NO. 1608)
年間購読料:1年間29,150円(税込)
2年間49,500円(税込)
- 『ビジネス法務』2020年12月号
定価:1,700 円(税込)
年間購読料:1年間17,500円(税込)
2年間32,780円(税込)