『SDGsの本質』(2021年6月特集)

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『SDGsの本質』(2021年6月特集)

2021年4月6日、「コーポレートガバナンス・コード」と「投資家と企業の対話ガイドライン」の改訂案が公表されました。企業と投資家、さらには社会やそれらを取り巻く会計士や税理士といったプロフェッショナルにとって重要な内容が盛り込まれています。
本特集では、改訂の重要ポイントを理解するのにおすすめの書籍を紹介します。
今回は、SDGsについての理解を深めるうえで、示唆に富む一冊をご紹介します。

Q1 本書の内容を教えてください。

SDGsの成り立ちからその意義、目指すところを国連ほか実際の国際会議等、国内外での立案・政策に携わった著者らが解説します。
さらに、SDGsによって金融をはじめとしたビジネスがどう変わっているのか、実際にSDGsを踏まえたビジネスをする日本の中小企業や起業家、産官学民連携について、具体的な事例やインタビュー等を通して紹介している書籍です。




Q2 本書のテーマが重要視される背景を教えてください。

厳然たる事実として、環境悪化や格差拡大など、地球規模の問題が過去半世紀の間に頻繁に起こるようになり、世界中で危機意識が高まっています。危機感をもった消費者や企業が増えた、という点を踏まえて行動しなくては、今後どのようなビジネスであっても維持できなくなってしまうのではないでしょうか。

SDGsは地球規模の問題に対する解決のアプローチとして世界的なコンセンサスをとりつつあり、「持続的な世界・社会を実現するための共通言語」と称されています。
つまり、SDGsに則ったビジネスをしない、また則っていたとしてもそれをアピールできない企業は、共通言語を理解しない、「話の通じない企業」として世界中の企業や消費者から認められなくなる可能性さえあるのです。

純粋にSDGsそれ自体に感銘を受けている方もいらっしゃると思いますが、「お題目はともかくビジネスができなくなる」という危機意識を持つ方や、逆に先んじてSDGsに則ることで他社より早く地球規模の問題に危機意識をもつ消費者にアプローチできる、とビジネスチャンスに結び付ける方も増えたのだと思います。


SDGs17の目標


Q3 本書はどのような人に、あるいはどのような場面で読んでいただきたいですか?

SDGsは今後「共通言語」としての意味合いを強めていくことが予想されます。新規・既存に関わらず、SDGsを通した視点はどのビジネスでも必要になるのではないでしょうか。そういった意味でビジネスパーソン全般に読んでいただきたいと思っています。

また、SDGsを軸にした、産官学民、金融機関の連携の具体的な事例も紹介しているので、金融機関や政府・自治体関係者、教育関係者等にも手に取ってもらいたいと思います。


【SDGsウェディングケーキ】ストックホルム・レジリエンス・センターの所長であるヨハン・ロックストローム氏によってつくられた、SDGsの掲げる17個の目標を3層からなる「ウェディングケーキ」にたとえて説明したモデル。SDGsの「目標17」をケーキの頂点として、その下を「経済圏」「社会圏」「生物圏」の3つの階層に分け、残りの目標を分類しています。SDGsが幅広い分野にまたがることを物語っており、これを図案化したものを本書カバーに使用しました。
(出典)Stockholm Resilience Center (2016)"How food connects all the SDGs"


Q4 本書のこだわりポイントと読者の方へのメッセージをお願いします。

本書のこだわりはなんといっても著者陣です。
内閣官房副長官秘書官等を務め、富山や伊勢志摩を含むG7/G20サミットを担当した方や、外務省で国際協力局地球規模課題総括課首席事務官等を務め、日本政府のSDGs推進本部で国内外のSDGs推進に関する政策の企画・立案に取り組んできた方、さらに実際に産官学が連携した現場を複数経験し、熟知した方など、SDGsに深く関わってきたという面では日本でも有数の著者が集まったと自負しています。
SDGsを解説した書籍は現在多く出版されていますが、立案まで携わり、その本質を理解している著者が執筆したものはそう多くないと思います。

ぜひ本書を「SDGsの本質」を考えるきっかけにしてほしいですね。




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