『「働くこと」を思考する―労働経済学による問題解決へのアプローチ』

特集

ウィズコロナ時代の働き方を考える

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとして、私たちの働き方が大きく変わろうとしています。そこで、第2回目の特集では、テレワークや在宅勤務等の新しい働き方を支え、ウィズコロナ時代を生き抜く「知恵」を収録した書籍・雑誌を紹介します。担当編集者に本の魅力や編集秘話を語ってもらいましたので、ぜひご覧ください。
この記事では、『「働くこと」を思考する―労働経済学による問題解決へのアプローチ』(久米功一著)について取り上げます。

Q1 本の内容を簡単にご紹介ください。

働くことに関するさまざまな課題の解決に向けて、豊富なデータを用い、整理・解説しています。
たとえば、外国人労働者、障害者雇用、高齢者雇用、LGBT、発達障害・認知特性、幸福度・価値観、能力開発、結婚・出産・育児、病気・介護、多様な働き方、感情労働・過剰サービス、海外で働く・地方で働く、非営利組織・副業・複業・起業、AI・テクノロジー、失業と貧困といった多彩で新しいテーマです。
知識を頭の中に入れるだけでなく、自分で問題解決について考えることを目的にしています。

Q2 この本を企画した理由を教えてください。

「働くこと」は多くの人にとって、1日の中で、また人生の中で大きな位置を占める重要で本質的なものではないでしょうか。
数年前から、労働経済学の分野で教科書を作りたいと思っていましたが、なかなか実現できずにいました。
ある日、個人的に参加している人事労務系の研究会で、登壇されていたのが著者の久米功一先生でした。そこではじめてご挨拶をし、後日大学の研究室をお訪ねしていろいろなお話をうかがいました。ちょうど久米先生も講義内容をベースにした教科書を執筆したいお気持ちがあることがわかり、この企画がスタートしました。

Q3 コロナ禍において、今どのような問題を感じていますか?

否応なくリモートワークに放り込まれて困惑している人、環境が変わってなかなか成果を出せない人、コミュニケーションがうまくいかない人、リモートワークをしたくてもいろいろな事情でできない人、逆にリモートワークになってうまくいくようになり、以前の働き方には戻りたくない人......。
状況も悩みや課題もひとそれぞれで、しかもそれは刻々と変わっていきますよね。人間は変わることに抵抗を感じる生き物で、急にパッとギアチェンジできる人ばかりではないのは無理のないことかもしれません。
だからこそ、生活や仕事のヒントになるように、これまでの研究から得られた知見や整理されたデータを提供することは、意味のあることだと思っています。
また、自分とは立場や状況の異なる人のことを理解することはこれからますます大切になるでしょう。この本で気持ちを軽くしたり、まわりにやさしいまなざしを持てるようになったり、自分の状況を俯瞰するヒントにしていただきたいですね。

Q4 この本を「今」どのような人に、あるいはどのような場面で読んでいただきたいですか?

たくさんのテーマが入っていますので、よく知らないテーマもあれば、身近なテーマもあると思います。
しかし、たとえば「結婚・出産・育児」や「LGBT」についての章は当事者の方、当事者ではないけれど関心があるという方、まったく関心がない方というどのような立場からでも発見や気づきがある内容だと思っています。データも豊富なので、現状の「働く」を取り巻く世界がどうなっているのかを把握するうえで、ネットの情報とはひと味違う信頼性があると考えています。

Q5 装丁を考える際にイメージされていたことやこだわり等ありますか。

本書の帯 親しみやすい雰囲気にしたかったので、デザイナーさんにその点を伝えました。
黄色と白と黒の3色で明るいイメージにまとめ、フォントもやわらかいものになっています。キャッチコピーはテーマの羅列にはせずに、一方で多彩なテーマを表現したかったので、実は帯全体に各章のテーマを円状に模様のように並べて遊び心を出しています。
ぜひ帯は取らずにあらためて注目していただきたいですね(笑)