企業組織再編における労働者保護―企業買収・企業グループ再編と労使関係システム

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毛塚 勝利
連合総合生活開発研究所

定価(紙 版):3,080円(税込)

発行日:2010/05/28
A5判 / 240頁
ISBN:978-4-502-99300-8

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本の紹介
民主党政権下で再検討される企業と労働者の関係。喫緊の課題であるM&A時の労働者保護を経済学・会社法・労働法の視点から整理するとともに、労組の対応事例を検証する。

目次


企業組織再編における労働者保護
企業買収・企業グループ再編と労使関係システム
目次

序章 本研究の目的・概要と総括―毛塚勝利
 1 問題意識,課題の設定と限定
 2 研究の方法
 3 各報告の概要
  (1)企業組織の改編と労働組合の対応
  (2)コーポレート・ガバナンスと労働者
  (3)企業法制と労働者保護 ……ほか
 4 総  括
  (1)企業グループ再編と労働組合
  (2)企業買収と労使関係
  (3)企業のシステムの変容に対応しうる新たな労使関係システム
     の追求

第1章 企業組織再編と従業員:経済学の視点から―久保克行
 1 はじめに
 2 企業はそもそもだれのものであるべきか
 3 企業特殊的人的資本と信頼の破壊
 4 従業員重視のコーポレート・ガバナンスが容易ではない理由
 5 従業員重視経営が業績に与える影響
 6 企業組織再編が労働条件に与える影響:実証分析の展望
 7 事例でみる従業員と企業組織の再編
 8 まとめ

第2章 企業組織再編と労働者:会社法・金融商品取引法の
      視点から―受川環大

 1 はじめに
  (1)企業組織再編の類型
  (2)本稿の課題
 2 商法・会社法・金融商品取引法と労働法との交錯
  (1)商法・会社法・金融商品取引法における労働者概念の欠如
  (2)会社の社会的責任論・企業統治論と労働者の位置付け
 3 会社法・金融商品取引法からみた労働者保護制度の問題点
  (1)会社法―組織再編行為
  (2)金融商品取引法―公開買付け
 4 比較法―EU指令の紹介
  (1)組織再編行為
  (2)公開買付け
 5 立法論的考察
  (1)企業統治のあり方の見直し
  (2)労働者・労働組合の経営関与のあり方
     ―民主党の「公開会社法」案・連合の政策提言の検討
  (3)組織再編行為 ……ほか

第3章 ホールディングス体制と労働組合法上の諸問題
      ─グループ労働協約を素材に―本久洋一

 1 はじめに
 2 企業のグループ化への労働組合対応の伝統と革新
  (1)企業のグループ化への労働組合の伝統的対応
  (2)ホールディングス化に対する労働組合対応の先進事例:
     C労組・Cグループ労連を中心に
 3 ホールディングス体制と労働組合法上の課題
  (1)労働組合:労組のグループ化における伝統と革新
  (2)団体交渉:使用者としての純粋持株会社
  (3)労働協約:グループレベルの労働関係秩序の重層的構築

第4章 企業組織再編と親会社の「使用者」性・団体交渉義務
      ―竹内(奥野)寿

 1 はじめに
 2 企業組織再編に際し親会社等の「使用者」性が争われた近年の
    紛争事例
  (1)各事例の概要
  (2)近年の労働委員会命令・裁判例における判断の特徴
 3 労組法7条にいう「使用者」と朝日放送事件最高裁判決の先例と
    しての意義
  (1)朝日放送事件の事案と判旨
  (2)朝日放送事件最高裁判決の先例としての意義・限界
 4 親子会社類型における「使用者」性についての検討
  (1)一般的判断基準
  (2)雇用保障にかかわる団体交渉拒否事例における「使用者」性の
     判断と「使用者」としての責任
 5 むすび

第5章 企業買収に向けた動きと労働組合―藤本真
 1 はじめに
 2 買収に向けた動きが始まるまでの経緯
 (1)H社の概要と買収に向けた動きが始まるまでの経緯
 (2)G社の概要と買収に向けた動きが始まるまでの経緯
 (3)F社の概要と買収に向けた動きが始まるまでの経緯
 3 買収に向けた動きが起こる前の労使コミュニケーションの状況
 4 買収をめぐる事態の推移と労働組合の活動
 (1)H社の買収をめぐる動きと労組の活動
 (2)G社の買収をめぐる動きと労組の活動
 (3)F社の買収をめぐる動きと労組の活動
 5 買収に向けた動きと労組の対応
 (1)各事例の特徴
 (2)各事例の特徴につながるもの
 (3)買収活動をめぐる労使関係―類型化の試み―
 6 結  論

第6章 企業の構造改革・合併における労働組合の対応とその
      課題―藤田正隆

 1 はじめに
 2 J社の構造改革・合併にいたる背景および内容
 (1)J社を取り巻く状況
 3 労働組合の取組み
 (1)労使協議の基本
 (2)労働組合の具体的な対応
 4 課  題
 (1)意思決定
 (2)経営への参画
 (3)情報開示の仕組み
 (4)労働組合の役割と機能の発揮
 (5)グループ経営
 5 まとめ

第7章 産別担当者からみた企業組織改編の進展と労働組合の
      課題―中村善雄

 1 はじめに
 2 急速に進行した企業組織改編
    (労働組合から見たこの10年の変化)
 (1)企業組織の再編を容易にする会社法の改正
 (2)事業再生を重視する再生支援へ
 (3)投資ファンドの登場とそれによる事業再生 ……ほか
 3 企業組織改編における労働組合の課題
 (1)過度な株主重視,短期的業績経営からの脱却
    ―ステークホルダーを重視する企業ガバナンスの確立を 
 (2)集団的労使関係機能の強化

第8章 各国ナショナルセンターの企業買収・投資ファンド規制
      ―青木健

 1 はじめに 187
 2 国際労働運動におけるPEファンド規制の論点
 (1)OECD-TUACセミナーの論点整理
 (2)投資ファンドの透明性確保
 (3)労働者の権利 ……ほか
 3 日本としての対応の方向性
 (1)投資ファンドに対する認識
 (2)企業買収に関する規律の整備
 (3)投資ファンド規制のあり方

資  料
 1 ヒアリングレポート―企業組織再編時の労働組合の対応
 2 連合・事業組織の再編における労働者保護に関する法律案要綱
    (案)
 3 連合総研『企業買収・合併等による企業組織の改編と労働組合の
    課題に関する研究委員会』

著者プロフィール 〈編者紹介〉
毛塚 勝利(けづか・かつとし)
中央大学法学部教授。
最近の著書として,
「労働契約変更法理再論」『労働保護法の再生』(信山社,2005年),
「企業統治と労使関係システム」『労働と環境』(日本評論社,2008年),『新現代労働法入門(共著)』(法律文化社,2009年)他。

(財)連合総合生活開発研究所
労働組合「連合」のシンクタンクとして,勤労者とその家族の生活向上、経済の健全な発展と雇用の安定に寄与することを,目的に,内外の経済・社会・産業・労働・福祉問題など。幅広い調査・研究活動を進めている。
























著者紹介

毛塚 勝利(けづか かつとし)

連合総合生活開発研究所(れんごうそうごうせいかつかいはつけんきゅうじょ)