遵守の強制から誇りある行動を導くエモーショナルコンプライアンス〈第2版〉

増田 英次

定価(紙 版):3,960円(税込)

発行日:2025/03/19
A5判 / 328頁
ISBN:978-4-502-52741-8

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本の紹介
VUCA時代に適応するコンプライアンス新体制の構築に必要な取組みを解説。「エモーショナルコンプライアンス」という新手法により、内発的動機に基づいて不正を予防する。

目次

第1章 いつまで経ってもコンプライアンスが根づかない本質はどこにあるか?
■「不正をするな!パラダイム」が幅を利かせている!
■「不正をするな!パラダイム」の不都合な事実その1―変化を嫌う
■「不正をするな!パラダイム」の不都合な事実その2―脳で理解していても身体には沁み込んでいない
■「不正をするな!パラダイム」に欠けている視点その1―わかっちゃいるけど変えられない
■「不正をするな!パラダイム」に欠けている視点その2―ゼロ・トレランスでは通用しない
■「不正をするな!パラダイム」に欠けている視点その3―個々人のマインドのあり方が無視されている
■「不正をするな!パラダイム」に欠けている視点その4―プライベートと企業社会が断絶している
■エモーショナルコンプライアンス

第2章 コンプライアンスは好きですか?
■「好き」「楽しい」にならなければならない,科学的な理由
■無意識を変えることで,行動は変わる!
■コンプライアンスと納豆は友達?
■好きや楽しさを阻害する「正しさ」という言葉
■「中庸」な「まあまあ」の正しさとは?
■おそろしい敵は「私には関係ない」という他人事意識
■変わるべきなのは,私かあなたか?

第3章 無意識(マインド)を動かす!
■現状維持を好む無意識,不快なものを避ける脳
■「現状維持」の何が悪いのか?
■不正を都合よく見落とす,現状維持の罠
■言い訳をしてできない理由を探す
■誰にでも起こり得る「集団の悪」

第4章 「創造的エネルギー発揮機能」を味方にする!
■創造的エネルギー発揮機能は,内発的動機のみによって生み出される
■3つの「創造的エネルギー発揮機能」の作動スイッチ
■アンハッピーな状況と犯罪予備軍
■パワハラの背後にある「認知的不調和」
■企業不祥事や反社会性の行為をして快適脳が働いたり,ハッピーだと思ったりするのは偽りの快適さであり,ハッピーではない
■「真の快適脳」を働かせてハッピーな状況になるためにはどうしたらよいか?
■「不快なことをやらない」は単なるわがままとそうでないものがある!
■エモコンにつなげる!

第5章 コンプライアンスに創造的エネルギーを吹き込もう!
■目指すべき道
■なぜ,コンプライアンスはつまらなくて,むしろ不快なのか?
■過去志向かつネガティブ志向
■もっと「自らの」情動に訴えるものにしよう,そのためには定義を変えてしまおう!
■コンプライアンスの定義を変えよう=「やらされ感の強い」コンプライアンスから,「人に役立つ」コンプライアンスへ
■未来志向かつポジティブ思考へ
■レジリエンス思考

第6章 やってはいけないこと!
■エモーショナルコンプライアンスを実践するにあたってやってはいけないこと

第7章 やったほうがよいこと!

第8章 企業倫理とはエモコンそのもの!
■コンプライアンスとビジネスは,切っても切れない関係にあるとはどういうことか?
■企業倫理の4要素
■エモコンは企業倫理そのもの
■ティール組織はエモコンとまさに相通じる!

第9章 エモコンの総まとめ
■黄金のペンタゴン
■「不正をするな!」と「正しいことをしようよ!」の現場での差異は軸の数の違い! 3軸でものを考える!
■まとめ

第10章 「正しいことをしようよ!」「正しくあろうよ!」を脳だけではなく身体で感じるための橋渡しは「イメージ」!―イメージトレーニングの勧めと実践(総論)
■イメージの限界を超えて,行動を変える
■イメージトレーニングの肝と効果
■イメージの実験:行動への影響力を知る
■イメージの実践その1:ビジネスかプライベートか?
■イメージの実践その2:職場で幸福を感じたときを想定する
■「ワークライフバランス」から「ワークライフコンソリデーション」へ
■ビジネスとプライベートのゴールの重なりを生むワークライフコンソリデーション
■ワークライフコンソリデーションを支える時間断捨離・174
■「全体」から「部分」にアプローチする発想はイメージ力が必要・

第11章 イメージトレーニングーエモコン的ゴール設定編
■ハッピーな状態を長続きさせるゴールの設定
■ゴールを4つの段階に仕分けする
■ミッションツリー
■コンプライアンスとゴール設定の相関関係
■ゴールをイメージトレーニングで強化する
■「現在完了進行形」のイメージ
■ビビッドにイメージする
■イメージの現実化:具体的な「未来記憶」を作る
■「未来を変える」ことは「今を変えること」でもある
■ゴールを設定して「何を学んだか?」
■イメージトレーニングの検証は「書くこと」「身体を使うこと」によって強まる
■ゴール設定を「共有する」ことの重要性
■ゴールは「どこ」に設定するか?
■大ゴール=「大欲」でもある
■オーナーシップとゴール設定
■ボトムアップと組織のゴール設定
■ボトムアップで役立つ取組み
■小括
■リラックスできる環境を確保し「習慣」にする―エモコンと呼吸法

第12章 「倫理トレーニング」で実践的な技術を磨く
■倫トレ:ケース1「トロッコ問題」
■倫トレ:ケース2「バレなきゃ大丈夫!」
■倫トレ:ケース3「取引先への私的旅行のプレゼント」
■倫トレ:ケース4「記録達成直前のミスと隠蔽圧力」
■難しい判断を支える,6つの倫トレ的ヒント

第13章 研修のあり方:やってはいけない研修
■なぜ,コンプライアンス研修はつまらない?

第14章 研修のあり方:エモコン的研修のノウハウ
■現状の問題点を確認しよう
■臨場感をアップさせるためのノウハウ
■組織のゴールを明確にする前にやるべきこと
■研修をより効果的にするためのノウハウ
■どうやって効果測定するか?
■コーポレートカルチャーをシフトさせる研修

第15章 各社の取組み
■野村ホールディングスの場合
■東京海上ホールディングスの場合
■シン・エナジーの場合
■日本生命保険の場合

最終章 グローバルコンプライアンスプログラム(GCP)
■近時の海外子会社不正
■海外子会社の不祥事の原因
■見直すべき視点
■GCPとは

著者紹介

増田 英次(ますだ えいじ)
[プロフィール]
日本国およびニューヨーク州弁護士
増田パートナーズ法律事務所 創業&代表パートナー

1987年 中央大学法学部法律学科卒業,同年司法試験合格
1990年 第一東京弁護士会に弁護士登録,西村あさひ法律事務所(当時西村総合法律事務所)入所
1996年 イェール大学法科大学院(Yale Law School)客員研究員(企業不祥事の研究に従事)
1998年 メリルリンチ日本証券株式会社(現BofA証券株式会社)において社内弁護士として勤務。法務部長(個人顧客部門)兼執行役員も歴任
2003年 コロンビア大学法科大学院(Columbia Law School)修士課程修了(LL.M.)
2006年 ニューヨーク州弁護士登録
2008年2月 増田パートナーズ法律事務所を設立

野村證券株式会社社外取締役(監査等委員)(2021年6月定時株主総会日付で就任),GMOインターネット株式会社社外取締役(監査等委員),ジャパン・ホテル・リート投資法人執行役員,auフィナンシャルホールディングス社外監査役,日本証券業協会倫理委員会委員ほか,複数の上場,未上場会社で社外役員,社外監査役,コンプライアンス委員会委員等を歴任。
2020年度Asia Business Law Journalの「Japan's Top 100 lawyers 2020」に選出。その他数年にわたり,Best lawyers in Japanに選出されるなど受賞歴多数。

また,「ワークライフコンソリデーション」を実現すべく,オリンパスからプロサポートを得て水中写真,スポーツ写真を中心に写真の創作活動にも従事。3度に渡る冬季オリンピックやワールドカップ等で撮影を行うとともに数度の個展も開催。
日本スポーツ写真協会監事も務める。
その他,ダイブマスター(PADI),サケ・エキスパート,ウェルエイジングアドバイザー等の資格も有する。

[主な著作]
「エモーショナルコンプライアンスの理論と実践」(BUSINESS LAW JOURNAL 2016年12月号~2018年1月号)
『正しいことをする技術』(ダイヤモンド社,2009年)
『もうやめよう! その法令遵守』(フォレスト出版,2012年)
『人生を変える正しい努力の法則』(かんき出版,2014年)