アクティビストの正体―対話と変革を促す投資家の戦略

菊地 正俊

定価(紙 版):2,970円(税込)

発行日:2024/06/13
A5判 / 220頁
ISBN:978-4-502-50481-5

送料について
本の紹介
資本コストや株価を意識した経営が上場企業に要請される中、動きが活発化するアクティビストに対して企業はどう対応すべきか。最新情報を踏まえて著名ストラテジストが解説。

目次

第1章 アクティビストの定義と歴史
1 アクティビストとは?
2 アクティビストの歴史

第2章  東証の資本コストを意識した経営の要請とアクティビストの反応
1 東証の要請がアクティビスト活動を活発化
2 資本コストは開示義務ではないがアクティビストが求めることがある
3 資本コストを意識した経営を行っても業績が悪化した花王
4 エクイティ・スプレッドに関する企業と投資家の認識ギャップは依然として大きい
5 日系運用会社の2024年の議決権行使基準の変更

第3章  アクティビストの事業会社と一般投資家へのインプリケーション
1 日本市場に参入しているアジアのアクティビスト
2 日本市場に参入している欧米アクティビスト
3 アクティビストはバリュー投資家
4 2020年以降のアクティビストの特徴と傾向
5 2023年6月の株主総会の総括
6 アクティビスト投資の事業会社へのインプリケーション
7 個人投資家がアクティビストの投資を自らの投資に活用する方法

第4章 アクティビストを巡る法制度
1 外為法改正はアクティビストの阻害要因にならなかった
2 公開買付制度・大量保有報告制度の改正
3 重要提案行為の明確化
4 エクイティ・デリバティブも大量保有報告制度の適用対象になる
5 実質株主の透明性向上
6 経産省のMBO・M&Aに関する指針
7 買収防衛策を巡る論点と裁判所の判断

第5章 MBO,親子上場,持合解消
1 MBOや完全子会社化の発表が増加
2 東証が親子上場の情報開示強化を要請
3 上場子会社を巡るアクティビストの動向
4 アクティビストは不動産含み益の大きい企業に着目
5 持合解消の進展がアクティビスト活動を活発化

第6章 欧州のアクティビスト
1 アグレッシブな投資手法の英国のNAVF
2 AVIはジェントルマンなアクティビスト
3 シルチェスターはディープ・バリュー・トレーダー
4 Kiltearn Global Equity Fundは少数の日本株に投資
5 日本に初見参した英国のパリサー
6 コーポレートガバナンスの良し悪しに基づくロング&ショートを行うスイスのファンド

第7章 アジアのアクティビスト
1 香港のオアシス
2 シンガポール大手アクティビストのエフィッシモキャピタル
3 3Dインベストメント・パートナーズは東芝,富士ソフト,サッポロHD等に投資
4 役員報酬のKPIにTSRを入れるアクティビストの投資対象企業
5 ひびきパースの投資の基本は「人のいく 裏に道あり 花の山」
6 シンフォニーは村上ファンド系並みに保有比率を引き上げる

第8章 日本のアクティビスト
1 日本におけるアクティビズムの生き字引である村上世彰氏
2 村上ファンド系は業界再編に貢献
3 ストラテジックキャピタルは日本唯一のアクティビスト・ファンドか?
4 アクティビスト活動の代理業務を行うとしているナナホシマネジメント
5 東洋建設へのTOBを取り下げたYFO
6 マネックスグループは公募投信の「アクティビスト・ファンド」を運用
7 日系運用会社による株主提案
8 光通信はアクティビストにならず
9 個人も「モノ言う株主」の時代か?

第9章 米国のアクティビスト
1 ダルトン・インベストメンツの運用資産は36億ドル
2 世界最大のアクティビストのエリオット・マネジメント
3 外国人経営の日本企業との相性が良いバリューアクト
4 RMBキャピタルはCuriキャピタルと合併
5 タイヨウ・ファンドは投資先企業にとって「厳しい友人」
6 ブランデスは創業50年の老舗ファンド
7 Kaname Capitalはボストンから日本の中小型バリュー株に投資
8 投資先への要求を開示するサードポイント
9 日本に来ていない米国の大手アクティビストが多い

第10章 機関投資家のエンゲージメント
1 東証がプライム企業に株主との対話の実施状況の開示を求める
2 GPIFのエンゲージメント強化型パッシブ運用
3 アセットマネジメントOneのパッシブ運用のエンゲージメントの成果
4 企業とのどのような対話姿勢が評価されるのか?
5 運用会社によるエンゲージメントの開示
6 大量保有報告制度の見直しが協働エンゲージメントを促進
7 事業会社による運用会社のエンゲージメントの評価
8 低PBRに着目したシンプレクス・ジャパン・バリューアップ・ファンドと大和アセットマネジメントの投信
9 スパークス,フィデリティ,アムンディのエンゲージメント投信

著者紹介

菊地 正俊(きくち まさとし)
[プロフィール]
みずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジスト。
1986 年東京大学農学部卒業後,大和証券入社,大和総研,2000 年にメリルリンチ日本証券を経て,2012年より現職。1991年米国コーネル大学よりMBA取得。日本証券アナリスト協会検定会員,CFA 協会認定証券アナリスト。2011年~2020年の間,日経ヴェリタス・ストラテジストランキングにおいて,1位を7回獲得。

[主な著作]
『アクティビストの衝撃』(中央経済社)、『米国株投資の儲け方と発想法』『相場を大きく動かす「株価指数」の読み方・儲け方』『日本株を動かす外国人投資家の儲け方と発想法』(日本実業出版社)、『良い株主 悪い株主』『株式投資 低成長時代のニューノーマル』『外国人投資家が日本株を買う条件』(日本経済新聞出版社)、『なぜ、いま日本株長期投資なのか』(きんざい)、『日本企業を強くするM&A戦略』『外国人投資家の視点』(PHP研究所)、『お金の流れはここまで変わった』『外国人投資家』(洋泉社)、『外国人投資家が買う会社・売る会社』『TOB・会社分割によるM&A戦略』『企業価値評価革命』(東洋経済新報社)、訳書に『資本主義のコスト』(洋泉社)、『資本コストを活かす経営』(東洋経済新報社)など多数。