非財務情報の意思決定有用性―情報利用者による企業価値とサステナビリティの評価
- 本の紹介
- 非財務情報開示の基準化へ向けたプロセスが進む中、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の視点から開示すべき非財務情報の候補について実証分析を通じて探究。
目次
序 章 企業価値評価における非財務情報の有用性
第1部 実証分析の準備―非財務情報開示制度の変遷と現状、分析モデル、予備的分析
第1章 非財務情報の開示基準の変遷と現状
第2章 会計情報の役割、検証モデル、予備的分析
第2部 E(環境)に関する非財務情報
第3章 温室効果ガス排出量と企業価値
第4章 企業の環境対策へのコミットメントと企業価値
第5章 企業の環境対策活動に関するSBSCマップ
第2部のまとめ
第3部 S(社会)に関する非財務情報
第6章 従業員関連情報と企業価値
第7章 給与水準と企業価値
第8章 企業の租税回避行動とサステナビリティ
第3部のまとめ
第4部 G(ガバナンス)に関する非財務情報
第9章 定時株主総会の役割と現状
第10章 長時間総会を開催した企業の特徴とその後の収益性―1990年代の定時株主総会に関する分析
第11章 定時株主総会の活性化と業績予想の精度
第12章 定時株主総会の活性化と裁量的アクルーアルズ
第13章 定時株主総会の活性化と株式市場の反応
第4部のまとめ
*
終 章 本書のまとめと残された課題、そして非財務情報開示の基準化へ向けて
- 担当編集者コメント
- 非財務情報へのニーズが高まる中、企業は何を開示すべきか?
○本書のねらい
現在、非財務情報の開示を制度化する動きが進んでいます。
これは、①企業価値の決定因子が有形資産から無形資産に変わりつつあること、②企業は株主のみならず環境・従業員など幅広いステークホルダーとの共存を視野に入れる必要があること、③投資家と企業は中長期的な視点にもとづく建設的な対話が求められ、より未来志向の情報の必要性が増大したこと、などがその背景にあります。
本書は、非財務情報開示の基準化へ向けたプロセスが進んでいる現状を前提に、開示すべき非財務情報の候補について、実証分析を通じて探究することを目的としています。その手がかりとして「ESG投資」というキーワードに着目し、開示すべき非財務情報の候補について以下の実証分析を通じて探究することを目的としています。
① E(環境)分野:温室効果ガス排出量および関連する活動に関する情報
② S(社会)分野:従業員給与および租税回避に関する情報
③ G(ガバナンス)分野:定時株主総会の活性化
○本書が想定する主な読者
① 研究者・大学院生
② 開示制度の設計に携わる方々
③ 開示に携わる実務家の方々
④ 開示情報を利用する投資家の方々
専門に研究をしている方々のみならず、多くの方々に有益な示唆が得られるように、分析結果の解釈においてできる限り平易な表現を用いて究明しています。
本書は、非財務情報の意思決定有用性に関する初の本格的・体系的な研究書といえるでしょう。
ぜひご一読ください!
(本書は「早稲田大学会計研究所・会計研究叢書第6号」として刊行されたものです。)
*本書は以下の賞を受賞しました!
●日本会計研究学会第83回(2024年)太田・黒澤賞
●日本公認会計士協会第52回(2024年)日本公認会計士協会学術賞