組織変革論

舟津 昌平

定価(紙 版):2,860円(税込)

発行日:2023/03/14
A5判 / 224頁
ISBN:978-4-502-45291-8

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本の紹介
組織変革という複雑な事象を、経営学の理論と具体事例から多角的に捉え実践への接合を試みる初のテキスト。経営組織論を俯瞰した視座から、総合的に組織変革について論じる。

目次

まえがき

第 1 章 はじめに─なぜ,組織変革論なのか
 1 変革が求められる時代に─実社会からの視点
 2 本書のねらいと構成

第 2 章 組織変革とは何か? 変革する必要があるか?
 1 組織と環境─経営組織論の基礎
 2 変革とは何か─理論からの視点
 3 変革は必要であるか─主体からの視点
 4 変革は誰のために

第 3 章 さまざまな変革
 1 変革と成功バイアス
 2 失敗した変革,変革なき成功
 3 事例から理解を深める  

第 4 章 変革と組織生態学
 1 経営学と生態系メタファー
 2 進化論のアイデア
 3 組織生態学の基本的アイデア
 4 組織生態学が当てはまる業界
 5 組織生態学から学ぶべきこと

第 5 章 変革とダイナミックケイパビリティ
 1 経営戦略論の概要
 2 ダイナミックケイパビリティ
 3 組織変革は「運」しだい?

第 6 章 変革と組織学習
 1 組織学習とは何か
 2 組織ルーチン
 3 シングルループ・ダブルループ学習
 4 学習棄却(アンラーニング)

第 7 章 絶え間なき組織学習─事例4:キヤノン
 1 キヤノンの黎明期
 2 他事業への参入
 3 デジタルカメラ事業の拡大と苦境
 4 現在のキヤノンと組織学習

第 8 章 変革とリーダーシップ
 1 リーダーシップとは何か
 2 リーダーシップ研究の系譜
 3 さまざまなリーダーシップ
 4 変革のためのリーダーシップ

第 9 章 変革のリーダーは誰か?
─事例5:日産リバイバルプラン
 1 日産自動車の苦境
 2 日産リバイバルプランの策定と実行
 3 日産リバイバルプランとリーダーシップ

第 10 章 変革とイノベーション
 1 イノベーションとは何か
 2 資金調達の理由は何か?─事例6:iPS細胞研究
 3 イノベーションと正統性
 4 組織変革とイノベーション

第 11 章 10年後の未来はどうなったか
─事例7:次世代モス開発部
 1 モスフードサービスの概要
 2 次世代モス開発部
 3 10年後の未来はどうなったか

第 12 章 おわりに─組織を変革する人へ
 1 改めて,変革とは何か
 2 変革に関わる人へ
 3 組織変革に経営学を携えて

著者紹介

舟津 昌平(ふなつ しょうへい)
[プロフィール]
1989年奈良県生まれ。2012年京都大学法学部卒業。2014年京都大学大学院経営管理教育部修了,専門職修士(経営学)。2019年京都大学大学院経済学研究科修了,博士(経済学)。京都大学大学院経済学研究科特定助教,京都産業大学経営学部助教を経て,現在同大学准教授。社会活動として,中央職業能力開発協会ビジネス・キャリア検定試験委員,証券アナリスト(CMA)講座テキスト執筆など。

[主な著作]
「現場に根ざしたイノベーション正統化プロセス : モスフードサービスの『次世代モス開発部』導入を題材とした事例研究」『日本経営学会誌』第39巻,2017年, 26-36.
「制度ロジック多元性下において科学と事業を両立させる組織の対応―産学連携プロジェクトを題材とした事例研究―」『組織科学』第54巻第2号,2020年, 48-61.
『経営学の入門』第2章・第5章, (法律文化社 ,2021年, 具滋承らと分担執筆).
『制度複雑性のマネジメント―論理の錯綜と組織の対応』(白桃書房,2023年3月予定)

担当編集者コメント
● 東京大学をはじめ複数の大学の講義やゼミのテキストとして採用されています。

● 上場企業の管理職研修のテキストとして採用されるなど、実務の現場でも好評です。
著者から
本書の一貫したテーマは「組織変革」です。現代では各種メディアにおいて組織変革の重要性が叫ばれることは珍しくなく,変革は「何かすごいこと」として理想化されています。しかし,実際の組織変革の遂行には多くの困難が待ち受けますし,組織変革についてまとめた教科書は世にほとんどありません。

本書は,大事でありながら難しい組織変革を,わかりやすく学べるように執筆した教科書です。大学の授業で用いられることを想定していますが,対象とする読者は学生にとどまりません。組織変革に興味のある社会人の方をはじめ,初学者にも理解しやすく平易な言葉で述べることをめざしました。

また有名な経営学の理論を学ぶのみならず,豊富な事例が載っていることも本書の特色です。シャープやキヤノンといった著名な大企業から,iPS細胞研究など少し変わった事例も取り上げました。現実に起こった事例を学ぶことで,より理論の理解が深まるはずです。
本書が多くの方,特に組織変革に携わる方の学びに役立つことを,願ってやみません。