逆転裁決から読み解く国税不服審判所が引いた判断基準

伊倉 博

定価(紙 版):4,840円(税込)

発行日:2022/11/29
A5判 / 364頁
ISBN:978-4-502-44221-6

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本の紹介
逆転裁決(課税庁の課税処分を国税不服審判所が取消し)を、その判断基準に焦点を当てて分析。逆転裁決から導かれる課税庁の立証責任に迫る税理士・税務職員必読の書。

目次

第1章 本書の読み方
・国税不服審判所の概要
・逆転裁決の分析
・本書で取り上げた逆転裁決(第2章~第6章)
・逆転裁決の意義

第2章 税法の解釈(「モノサシ」)が示された逆転裁決
01 サンゴ漁:「漁獲」とは[相当]
02 源泉徴収・任意組合:「支払をする者」の意義[相当(理由付けに疑問)]
03 みなし贈与:根拠条文を相続税法9条としたこと[相当(根拠条文に反対)]
04 相続財産・譲渡の特例:措置法施行令25条の16第1項2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」の法令解釈[相当(結果的に原処分維持)・一消しの原因(印紙代を譲渡費用と認定した)]
05 消費税・個別対応:消費税法30条2項1号の文理解釈と趣旨解釈[相当・原処分庁:先行裁決を無視]
06 措置法35条1項「特例対象土地」:特例対象土地の面積の算定の方法[相当]
07 相続財産の範囲:イ相続財産の意義、ロその評価方法[イにつき相当、ロにつき反対]
08 建物収去費:不動産所得の必要経費[相当(最後の説明に疑問)]

第3章 「当てはめ」が否定された逆転裁決
09 退職者・支払保険料:「業務関連性」に対する当てはめ[相当・原処分庁:個別通達を見落とし]
10 使用貸借・賃貸借:「土地の使用収益に対する対価」に対する当てはめ[相当]
11 収益事業・それ以外の事業の共通経費:「共通経費」に対する当てはめ[相当(理由付けに私見)]
12 役員就任前の報酬(所得区分):「経営に従事しているもの」に対する当てはめ[相当(審判所の当てはめに疑問)]
13 使用貸借契約・大阪地裁判決:使用貸借契約は成立(裁決:使用貸借契約は不成立、棄却)[反対(大阪地裁判決で国側敗訴、控訴理由は難しい)]
14 所得拡大促進税制:旧措置法10条の5の3第2項3号括弧書き「その給与等に充てるため他の者から支給を受ける金額」に対する当てはめ[相当]
15 カフェテリアプラン:国税庁質疑応答の回答をモノサシとして当てはめ[相当(説明過程に疑問)]
16 相続により取得した上場株式の取得費:取得額が不明の場合の算定方法[相当・原処分庁:タックスアンサーを見落とし]
17 歯科治療費(収入計上の時期):権利確定主義に対する当てはめ[相当・原処分庁:質疑応答事例の回答を曲解]

第4章 審判所が事実認定した逆転裁決
18 役員・横領・給与:原処分庁の事実認定を否定[相当(裁決のモノサシに疑問)・原処分庁:給与概念不当に拡大]
19 譲渡・取得価額:審判所が調査により事実を把握[相当(各当事者の主張を排斥する理由に疑問)]
20 登録免許税:審判所の調査による事実認定[相当]
21 推計の合理性:原処分庁が選定した一部の類似同業者は、類似同業者に該当しないと認定[相当]

第5章 重加算税の賦課決定処分に係る逆転裁決
22 重加算税・収支内訳書:収支内訳書への虚偽記載は、過少申告行為そのものか[相当(有力な反対意見あり)]
23 重加算税:従業員による仮装隠ぺい[相当]
24 重加算税(法人税):「事実を隠ぺいし」とは「故意に脱漏すること」も含むか[相当(説明不足)]

第6章 最近(令和3年及び4年)の逆転裁決
25 過少申告加算税「正当理由」(令和3年6月24日裁決):「不当又は酷」に対する当てはめ[反対]
26 国税不服審判所が80億円課税処分を全額取消し(令和4年1月20日裁決)[相当]

著者紹介

伊倉 博(いくら ひろし)