実務に活かす管理会計のエビデンス

加登 豊 編著
吉田 栄介 編著
新井 康平 編著

定価(紙 版):4,070円(税込)

発行日:2022/04/21
A5判 / 344頁
ISBN:978-4-502-42001-6

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本の紹介
世界中で蓄積された管理会計研究のエビデンスを、実務にどう活かすかをわかりやすく解説。収録された34の論点解説により、経営改善に直結する管理会計設計をガイダンス。

目次

はじめに

 Introduction なぜ実務家に「エビデンス」が必要なのか
  1 「エビデンス」を理解するための3つのポイント
  2 エビデンスの理解は実務に活きる
  3 本書の構成

Part 1 管理会計システムのエビデンス
 Chapter 1 予算利用
 ─コントロールにおける「文脈」の重要性
  1 予算利用の「逆機能」は,どのような状況で顕在化するのか
  2 予算に基づくコントロールと成果の関係
  3 実務への活かし方

 Chapter 2 予算スラック
 ─予算スラックの抑制やその活用方法の検討
  1 予算スラックとは
  2 予算スラックに関する形成要因および組織的成果への影響
  3 実務への活かし方

 Chapter 3 原価計算
 ─「影響システム」としての役割と「活用される原価情報」へ
  1 原価計算と間接費配賦の重要性
  2 効果をもたらす原価計算とは
  3 実務への活かし方

 Chapter 4 経営計画
 ─環境変化に対処し,イノベーションを促進する
  1 経営計画とはどのようなシステムか
  2 経営計画の策定方法と業績の関係
  3 実務への活かし方

 Chapter 5 組織間管理会計
 ─取引企業との協力関係を築くために
  1 組織間管理会計について
  2 組織間管理会計,影響要因,取引の成果の関連性
  3 実務への活かし方

 Chapter 6 BSC
 ─業績評価を通じた戦略マネジメント体制の構築
  1 BSCとは
  2 BSCがもたらす帰結とは
  3 因果連鎖はBSCにとって重要なのか
  4 実務への活かし方

 Chapter 7 アメーバ経営
 ─いかなる導入効果をもたらすのか
  1 アメーバ経営と導入の広がり
  2 アメーバ経営の導入効果
  3 実務への活かし方

 Chapter 8 設備投資の意思決定
 ─投資の経済性評価と投資意思決定のあり方
  1 設備投資の意思決定とは
  2 設備投資の意思決定に関するエビデンス
  3 実務への活かし方

 Chapter 9 最適在庫計画
 ─最適な在庫の保有から在庫を持たないシステムへ
  1 最適在庫計画とは
  2 棚卸資産と将来業績の関係
  3 実務への活かし方

 Chapter 10 内部統制・内部通報
 ─通報窓口の匿名性と設置場所に関するエビデンス
  1 内部通報制度とは
  2 内部通報制度における匿名性と設置場所
  3 実務への活かし方

 Chapter 11 管理会計担当者に求められるスキル
 ─技術的スキルから人的スキルへ
  1 管理会計担当者に求められるスキル
  2 管理会計担当者のスキルと意思決定への影響,組織への貢献度の関係
  3 実務への活かし方

 Chapter 12 人的資源の業績評価
  1 人的資源の業績評価における2つの視点
  2 マクロな視点から見た人的資源の業績評価─なぜHRM施策は
    組織パフォーマンスを高めるのか
  3 ミクロな視点から見た人的資源の業績評価

 Chapter 13 分権的組織の業績評価
 ─評価システムのデザインと権限の委譲
  1 権限の委譲と業績評価
  2 権限の委譲と会計情報システム
  3 実務への活かし方

 Chapter 14 在外子会社の業績管理
 ─在外子会社の活動をコントロールするための仕組みと方法
  1 在外子会社の役割と在外子会社管理の課題
  2 理論上,有用とされている業績管理の仕組み─包括的業績評価システム
  3 在外子会社管理の一手法としての業績管理の仕組み・方法
  4 実務への活かし方─効果的な在外子会社管理をするには

 Chapter 15 経営者の業績評価
 ─相対的業績評価と比較対象の設定基準
  1 経営者報酬と業績評価
  2 どの企業を比較対象とすればよいのか
  3 実務への活かし方

 Chapter 16 企業価値経営
  1 企業価値経営とは
  2 企業価値経営の効果
  3 実務への活かし方

Part 2 管理会計を分析する新しい概念とそのエビデンス
 Chapter 17 混雑コストの存在
  1 混雑コスト
  2 混雑への備えとしてのキャパシティの増大とその帰結としての固定費の増大
  3 混雑コストの存在に関するエビデンス
  4 実務への活かし方

 Chapter 18 販売費及び一般管理費
 ─コスト・マネジメントにおける重要性
  1 販売費及び一般管理費とは
  2 販管費と収益費用対応の原則
  3 販売費及び一般管理費の重要性
  4 実務への活かし方

 Chapter 19 多様なコストドライバー
  1 コストドライバーとは
  2 操業度以外のコストドライバーのエビデンスを求めて
  3 実務への活かし方

 Chapter 20 目標設定
 ─達成が困難な目標と容易な目標の使い分け
  1 管理会計研究による目標設定理論の検証
  2 主要な研究結果
  3 実務への活かし方

 Chapter 21 ラチェット効果
  1 予実差による目標設定とラチェット効果
  2 ラチェット効果の存在に関するエビデンス
  3 ラチェット効果への対処に関するエビデンス
  4 実務への活かし方

 Chapter 22 脱予算経営
  1 脱予算経営とは
  2 予算管理と脱予算経営の「実際」
  3 実務への活かし方

 Chapter 23 業績評価バイアス
 ─業績の見せ方による評価の歪み
  1 業績評価におけるバイアス
  2 BSCによる業績の表示が業績評価に与える影響
  3 実務への活かし方

 Chapter 24 インターラクティブ・コントロール
  1 インターラクティブ・コントロールとは
  2 インターラクティブ・コントロールの効果─イノベーションの創出・促進
  3 実務への活かし方

 Chapter 25 起業家的ギャップ
 ─従業員の創造性を高めるために,権限よりも大きな責任をあえて負わせる
  1 権限と責任は一致させるべきか
  2 管理可能性原則適用の効果に関するエビデンス
  3 管理可能性の逸脱─「起業家的ギャップ」
  4 管理可能性原則の逸脱─バーカートらのエビデンス
  5 実務への活かし方

 Chapter 26 創造性
  1 管理会計は創造性の発揮を阻害しているのか
  2 管理会計の仕組みと従業員の創造性
  3 実務への活かし方

Part 3 管理会計の新領域とそのエビデンス
 Chapter 27 病院・福祉組織における管理会計システム
 ─設計・運用とその効果
  1 病院・福祉組織の特徴
  2 病院・福祉組織の管理会計
  3 実務への活かし方

 Chapter 28 行政組織のパフォーマンスを向上させる業績管理システム
  1 行政組織のパフォーマンスを向上させるマネジメントシステムの構築
  2 業績管理システムの利用方法と行政組織のパフォーマンスの関係
  3 業績管理に用いる業績指標の質と情報システムの重要性
  4 実務への活かし方

 Chapter 29 中小企業における管理会計システム
  1 中小企業に管理会計システムは必要か
  2 管理会計システムの採用と業績への影響
  3 実務への活かし方

 Chapter 30 教育研究組織における管理会計システム
 ─質的側面とアクターの認知への注目
  1 教育研究組織への管理会計システムの導入
  2 業績管理システムと教育研究成果の関係
  3 実務への活かし方

  Chapter 31 長期的環境経営の障壁とエココントロールの役割
  1 エココントロールとは何か
  2 環境経営に取り組む複数の動機とエココントロールの関係
  3 実務への活かし方

Part 4 実務からみたエビデンス
 Chapter 32 実務からエビデンスを獲得すること
  1 研究は実務パフォーマンスの向上につながる
  2 実務からエビデンスを得て,研究成果にまとめる
  3 実務家が研究に携わることで得られるもの

 Chapter 33 実務でエビデンスを利用する際の注意点
 ─意思決定を誤らないために
  1 エビデンス・ベースト・マネジメント
  2 エビデンスの妥当範囲に注意する
  3 エビデンスの経済的帰結に注意する
  4 EBMgt実践上の課題

 Chapter 34 実務と学術的議論のギャップの理解と克服に向けて
  1 実務と学術的議論のギャップとは
  2 実務と学術的議論のギャップが生まれる理由
  3 どうすれば実務と学術的議論のギャップが埋められるのか
  4 実務への活かし方

著者紹介

加登 豊(かと ゆたか)
[プロフィール]
1953年生まれ
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了
同志社大学大学院ビジネス研究科教授・神戸大学名誉教授 博士(経営学)

[主な著作]
『管理会計研究の系譜』(税務経理協会,1989年)
『原価企画―戦略的コストマネジメント』(日本経済新聞社,1993年)
『インサイト管理会計』(編著,中央経済社,2008年)
『管理会計研究のフロンティア』(共編著,中央経済社,2010年)
『原価計算の知識(第2版)』(共著,日本経済新聞出版社,2012年)
『日本企業の管理会計システム』(共編著,中央経済社,2012年)

吉田 栄介(よしだ えいすけ)

新井 康平(あらい こうへい)

担当編集者コメント
当社で出版している雑誌のなかに、『企業会計』という月刊誌があります。

その『企業会計』2021年6月号で、SNSで話題になったり、読者にも好評だった「管理会計10のエビデンス」という特集。
世界で蓄積されてきた管理会計研究を、実務の現場にどう活かすかという視点で書かれました。

この特集のコンセプトをベースにしてテーマを広げ、さらに多くの執筆者に加わってもらい、大幅にボリュームアップ&パワーアップさせたのが本書です。

34の論点について、各章の冒頭部分で「これまでの定説」→「最新のエビデンス」→「実務への活かし方」を紹介しているので、気になった章から読み進めることができます(パートによって見出しは異なります)。

経営改善に直結するヒントがつまっているので、ぜひご覧になってください!

Intro. なぜ実務家に「エビデンス」を伝えたいのか?
【PART1 管理会計システムのエビデンス】
Chapter1 予算利用:コントロールにおける「文脈」の重要性
Chapter 2 予算スラック:予算スラックの抑制やその活用方法の検討
Chapter3 原価計算:「影響システム」としての役割と「活用される原価情報」へ
Chapter4 経営計画:環境変化に対処し、イノベーションを促進する
Chapter5 組織間管理会計:取引企業との協力関係を築くために
Chapter6 BSC:業績評価を通じた戦略マネジメント体制の構築
Chapter7 アメーバ経営:いかなる導入効果をもたらすのか?
Chapter8 設備投資の意思決定:投資の経済性評価と投資意思決定のあり方
Chapter9 最適在庫計画:最適な在庫の保有から在庫を持たないシステムへ
Chapter10 内部統制・内部通報:通報窓口の匿名性と設置場所に関するエビデンス
Chapter11 管理会計担当者に求められるスキル:技術的スキルから人的スキルへ
Chapter12 人的資源の業績評価
Chapter13 分権的組織の業績評価:評価システムのデザインと権限の委譲
Chapter14 在外子会社の業績管理:在外子会社の活動をコントロールするための仕組みと方法
Chapter15 経営者の業績評価:相対的業績評価と比較対象の設定基準
Chapter16 企業価値経営
【PART2 管理会計を分析する新しい概念とそのエビデンス】
Chapter17 混雑コストの存在
Chapter18 販売費及び一般管理費:コスト・マネジメントにおける販管費の重要性
Chapter19 多様なコストドライバー
Chapter20 目標設定:達成が困難な目標と容易な目標の使い分け
Chapter21 ラチェット効果
Chapter22 脱予算経営
Chapter23 業績評価バイアス:業績の見せ方による評価の歪み
Chapter24 インターラクティブ・コントロール
Chapter25 起業家的ギャップ:従業員の創造性を高めるために、権限よりも大きな責任をあえて負わせ

Chapter26 創造性
【PART3 管理会計の新領域とそのエビデンス】
Chapter27 病院・福祉組織における管理会計システム:設計・運用とその効果
Chapter28 行政組織のパフォーマンスを向上させる業績管理システム
Chapter29 中小企業における管理会計システム
Chapter30 教育研究組織における管理会計システム:質的側面とアクターの認知への注目
Chapter31 長期的環境経営の障壁とエココントロールの役割
【PART4 実務からみたエビデンス】
Chapter32 実務からエビデンスを獲得すること
Chapter33 実務でエビデンスを利用する際の注意点-意思決定を誤らないために
Chapter34 実務と学術的議論のギャップの理解と克服に向けて