社会的営利会社の立法とガバナンス

畠田 公明

定価(紙 版):5,280円(税込)

発行日:2022/03/16
A5判 / 240頁
ISBN:978-4-502-41821-1

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本の紹介
株主第一主義からの脱却がいわれるなか、米国では利害関係者の利益への考慮を許容する州制定法の立法が進んでいる。それにおける規制内容・法的な問題点を体系的に検討する。

目次

第1章 コーポレート・ガバナンスと社会的営利会社法
 1 はじめに
 2 アメリカにおけるコーポレート・ガバナンス論の変遷
   ⑴ 株主第一の理論をとる先例
   ⑵ バーリとドッドとの間の論争
   ⑶ コーポレート・ガバナンス論
   ⑷ コーポレート・ガバナンスに関する会社制定法の規定と判例
 3 会社の利害関係者の考慮を許容するための立法
   ⑴ 利害関係者制定法
   ⑵ 利害関係者制定法を採用しない州
 4 社会的営利会社の立法化
   ⑴ 営利企業の社会的企業への展開
   ⑵ BC会社法の規定の内容
   ⑶ BC会社の経営の透明性
 5 結び

第2章 アメリカの州会社法における利害関係者制定法
 1 はじめに
 2 利害関係者制定法の類型と規定内容
   ⑴ 義務型と許容型
   ⑵ 一般的許容型
   ⑶ 選択型
   ⑷ 企業買収型
   ⑸ 利害関係者制定法の個々の要件等
   ⑹ 取締役の広範な裁量権
 3 利害関係者制定法に関する判例の検討
   ⑴ ペンシルヴェニア州の判例
   ⑵ オハイオ州の判例
   ⑶ ネヴァダ州の判例
   ⑷ その他の州の判例
   ⑸ 利害関係者制定法の適用・解釈の対象となる事項に関する判例
 4 アメリカ法曹協会・会社法委員会の対応
 5 結び

第3章 社会的営利会社の制定法と取締役の義務・責任
 1 社会的営利会社に関する制定法の意義と枠組み
   ⑴ 社会的営利会社に関する制定法の意義
   ⑵ BC会社に関する制定法の枠組み
 2 社会的営利会社(BC会社)の取締役の義務・責任に関する制定法
   ⑴ 模範BC会社法
   ⑵ デラウェア州会社法
   ⑶ 模範事業会社法
 3 模範BC会社法・デラウェア州会社法および模範事業会社法の比較
   ⑴ 公共的利益
   ⑵ 比較考量と考慮
   ⑶ 多くの利益の考慮
   ⑷ 利益の優先
   ⑸ 公共的利益執行手続
 4 BC会社における取締役の義務
   ⑴ 取締役の会社に対する一般的義務と責任
   ⑵ BC会社における取締役の義務
   ⑶ 伝統的な信任義務に関する判例に対するBC会社制定法の影響
 5 結び

第4章 企業買収に対応する社会的営利会社(Benefit Corporation)の取締役による防衛的行為
 1 はじめに
 2 企業買収に対する防衛手段
   ⑴ ユノカル判決
   ⑵ ブラシウス判決
 3 会社の支配権の売却
   ⑴ レブロン判決
   ⑵ BC会社の場合
 4 合併等における株式買取請求権
   ⑴ BC会社に関する株式買取請求権
   ⑵ デラウェア州法の株式買取請求権
 5 結び

第5章 社会的営利会社(Benefit Corporation)の利益報告書と透明性
 1 はじめに
 2 BC会社の年次利益報告書
   ⑴ 模範BC会社法
   ⑵ 模範事業会社法
   ⑶ デラウェア州法
   ⑷ カリフォルニア州法
   ⑸ 利益報告書の実態調査
   ⑹ 利益報告書の質向上に向けた法的取り組み
 3 年次利益報告書の作成のための第三者基準と利益報告書の実例
   ⑴ 第三者基準
   ⑵ 利益報告書の実例
   ⑶ 利益報告書の内容についての改善
 4 結び

第6章 社会的利益を追求する有限責任会社(L3C・BLLC)
 1 はじめに
 2 L3C会社
   ⑴ L3C会社の沿革
   ⑵ L3C会社の法的枠組み
   ⑶ 多層的なファイナンス
   ⑷ L3C会社のガバナンス
 3 BLLC会社
   ⑴ BLLC会社の沿革と法的枠組み
   ⑵ Bラボ・モデル
   ⑶ デラウェア・モデル
   ⑷ Bラボ・モデルとデラウェア・モデルの比較
   ⑸ BLLC会社の必要性
 4 わが国の立法上の課題―結びに代えて

著者紹介

畠田 公明(はただ こうめい)