簿記テキスト〈第6版〉

大藪 俊哉 編著

定価(紙 版):3,740円(税込)

発行日:2022/03/24
A5判 / 392頁
ISBN:978-4-502-41641-5

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本の紹介
詳細な理論と豊富な練習問題の両方を兼ね備えた、簿記の本質が体得できるテキスト。第6版は、収益認識基準の新設、消費税等の改正事項をフォローしてさらに充実。

目次

序 章 複式簿記と記帳技術の基礎

第1編 複式簿記の基礎概念および一巡の手続
第1章 資産・負債・資本と貸借対照表
第2章 収益・費用と損益計算書
第3章 勘定の貸借記入原則
第4章 仕訳帳と元帳一仕訳と転記
第5章 試算表
第6章 決算手続
●総合問題1

第2編 取引の記帳と勘定科目
第7章 商品売買取引の記帳
第8章 現金・預金取引の記帳
第9章 商品売買に伴う債権・債務の記帳
第10章 固定資産の記帳
第11章 その他の資産・負債および資本の記帳
第12章 収益・費用および税金の記帳
第13年 商品特殊売買取引の記帳

第3編 決  算
第14章 決算整理
第15章 精算表

第4編 帳簿組織
第16章 帳簿組織
第17章 伝票会計
●総合問題2

第5編 本支店会計
第18章 本支店会計の処理
第19章 本店・支店の決算記入
第20章 本支店財務諸表の合併手続

第6編 株式会社の経理
第21章 資本金と資本剰余金の記帳
第22章 利益剰余金の記帳
第23章 社債と新株予約権の記帳
第24章 繰延資産と引当金の記帳
第25章 財務諸表

第7編 章末問題解答

著者紹介

大藪 俊哉(おおやぶ としや)
[プロフィール]
昭和32年横浜国立大学経済学部卒業。昭和34年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了と同時に横浜国立大学助手に就任。同大学助教授、教授を経て、平成12年定年退官。その後、平成17年3月まで帝京大学教授。昭和61年~平成2年公認会計士二次試験委員、平成3年~平成5年税理士試験委員。

[主な著作]
著書:『簿記教室』(国元書房)、『簿記論の要点整理』『例解演習簿記論』『簿記論の重点詳解』『簿記論講1、2』(以上中央経済社)、『簿記の計算と理論』(税務研究会出版局)
共著:『簿記の問題点をさぐる』(税務経理協会)
共編著:『簿記原理』『例解簿記演習』(以上有斐閣)
共訳書:『利益決定論』(べドフォード著)(中央経済社)

担当編集者コメント
本書は簿記の全体像を解説したテキストですが、検定試験をはじめとした他の簿記のテキストとは大きく異なる特徴があります。
主な点は初版のはしがきに示されている以下の8点です。

<主要な特徴>
(1) サービス業導入法を採り、また大陸式簿記法をベースにして簿記一巡の手続を説明している(もちろん、英米式簿記法にも触れている)。

(2) 簿記は財務諸表作成の基礎資料を提供するばかりではなく、その記録によって日常的な判断・意思決定・管理にも役立てるものであるから、本書では生の営業取引の把握(仕訳)を重要視している。よって適正な財務諸表が作成できれば、期中の営業取引の把握方法は問わないという姿勢を排して説明をおこなっている。

(3) 商品売買取引、現金・預金取引の記帳では、その仕訳処理に併せて、仕入帳・売上帳、現金出納帳・当座勘定出納帳を、(イ)補助記入帳として利用する場合、(ロ)特殊仕訳帳として利用する場合、の記入方法を説明した。ただしこれらの取引の仕訳処理を学習する段階(第2編)で(イ)の記入手続を学び、特殊仕訳帳制の帳簿組織を学ぶ段階(第4編)で(ロ)を学ぶこともできるように、(ロ)の記入手続は、それぞれ「記帳の合理化」という別個の節建てで説明してある。

(4) 特殊仕訳帳の発展プロセスは、(イ)多欄式仕訳帳の特別欄が分離・独立したものとして説明する方法(分割仕訳帳制)、(ロ)補助記入帳を仕訳帳化(主要薄化)したものとして説明する方法(複数仕訳帳制)があるが、上記(3)との関係で、(ロ)の方法を採っている。

(5) 理論簿記における特殊仕訳帳制の記入手続と実務簿記における伝票会計別の記入手続を関連させるために、仕入帳・売上帳の記入手続を説明する際に、掛以外による売買取引をいったん掛売買取引として記入する方法も説明し、五伝票制における仕入伝票・売上伝票の記入手続との同調をはかった。

(6) 商品売買取引の記帳は、単一商品勘定の説明から導入し、分割商品勘定の処理に移るのが普通であるが、本書では三分法、売上原価対立法を前提として説明し、分記法、総記法は補足的に説明しているに過ぎない。各種の検定試験、国家試験では、単一商品勘定の出題頻度が低いことなどがその理由である。

(7) 費用・収益の見越・繰延手続には、間接法(間接整理法)と直接法(直接整理法)との区別(経過勘定を設けて整理手続をするか否かの区別)があり、また損益振替手続にも、間接法(間接仕訳法または整理仕訳法)と直接法(直接仕訳法)との区別(費用勘定、収益勘定または混合勘定から費用、収益を損益勘定へ振替えるときに中間的集計勘定を通すか否かの区別)とがある。本書ではいずれの手続についても間接法といわれるものだけを説明している。よって直接法・間接法の区別は出てこない。直接法といわれるものは、いわば簡便法、実務的処理法であり、本書では基本的に大陸式簿記法を前提とした説明をしているので、記帳原則どおりの処理方法のみによっている。

(8) 本支店会計における未達取引の処理は、(イ)決算日記帳法、(ロ)実際到着日記帳法に大別して説明し、独立会計制度における本店・支店の決算記入(及び翌期の記入)を比較できるように配慮した。また合併手続も(i)合併精算表による方法、(ⅱ)本支店の個別財務諸表を直接合併する方法を示し、両者の比較を可能にした。

なお、簿記の学習では読んで理論を理解しただけではマスターできず、その理論をもとに多くの問題を解くことではじめて習得できます。
そこで、本書は各章末問題をできる限り豊富に収録している点も大きな特徴です。

また、「第6版」の主要な改訂事項は、以下のとおりです。

① 「収益認識に関する会計基準」の改正
〇従来,営業外費用として取り扱われていた売上割引を,収益の控除的評価勘定として処理。
〇「収益の認識に関する会計基準の適用指針」で取り扱われている取引のうち,一例として返品権付き販売の追加。
〇割賦基準(回収基準,回収期限到来基準)が認められなくなり,割賦金に含まれる利息要素を区分して計上しなければならなくなったことへの対応。

② 税率の変更
消費税の標準税率を10%に,法人税の実効税率を30%に変更。

近年では、問題が解ければよい、検定試験に合格すればよい、というコンセプトのテキストが多いですが、本書はそれらとは一線を画した、簿記の体系や基本的な考え方の習得を重視した骨太なテキストです。

ぜひ本書で簿記の神髄を体得していただければと思います!