事業ポートフォリオマネジメント入門―資本コスト経営の理論と実践

松田 千恵子
神崎 清志

定価(紙 版):2,750円(税込)

発行日:2022/02/18
A5判 / 200頁
ISBN:978-4-502-40781-9

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本の紹介
改訂コーポレートガバナンス・コードでも強調される事業ポートフォリオマネジメント。事業部門別財務諸表の作成から資本コストや事業価値の算出までその実践法を徹底ガイド。

目次

はじめに

第1章 なぜ今,事業ポートフォリオマネジメントなのか
Ⅰ 今,何が起こっているのか
  ■事業会社の視点,投資家の視点
  ■これから何をすればよいのか
  ■意思決定のための情報はあるか
Ⅱ 「 経営」に直面しなくても済んでいた時代
  ■昭和の時代は気楽だった?
  ■終身雇用・年功序列・協調型組合
  ■難しさに直面せずに済んだ経営者
Ⅲ 株主ガバナンスの台頭と資本効率性の重視
  ■もはや銀行には頼れない
  ■債権者と株主はここが違う
  ■「成長」のためのガバナンス,「安定」のためのガバナンス
  ■なぜ将来像を描く必要があるのか
Ⅳ コーポレートガバナンス・コード改訂の衝撃
  ■来たれ,外国人投資家
  ■企業の内部留保を吐き出させる
Ⅴ 追いつかない社内体制の整備と意識改革
  ■先進企業を中心に変化は見られるが……
  ■全体としては変化のスピードは遅い
  ■問題は「本社の仕事」

第2章 経営に必要なファイナンスの要諦
Ⅰ 企業価値向上とは何なのか
  ■将来キャッシュフローを生み出す
  ■将来キャッシュフロー生成能力の向上
  ■アカウンティングとファイナンスは異なる
  ■負債と資本も異なる
  ■事業リスクと財務レバレッジ
Ⅱ 資本コストをどう算出するのか
  ■加重平均資本コストが持つ意味
  ■有利子負債コスト
  ■株主資本コスト
  ■具体的な計算要素
Ⅲ 企業価値を算出する
  ■企業価値の構成要素
  ■企業価値向上のための3つの方法
  ■企業価値,事業価値,株主価値
  ■純資産,自己資本,株主資本/37
  ■株主価値はどのように決まるのか
Ⅳ ディスカウンテッド・キャッシュフロー法とは何か
  ■大別して4つのプロセス
  ■割引率として使われる資本コスト
  ■継続価値の計算
  ■継続価値に関する留意点
Ⅴ 企業価値を測る指標
  ■EVA(Economic Value Added,経済的付加価値)
  ■ROIC(Return on Invested Capital,投下資本利益率)
  ■ROICも万全ではない

第3章 経営管理の高度化が求められている
Ⅰ 本社の機能とは何か
  ■資本市場における投資家と企業経営者との関係
  ■事業ポートフォリオマネジメントが注目される理由
  ■株主は多角化を嫌う
  ■企業が多角化を正当化できるとき
  ■コングロマリット・ディスカウント
Ⅱ 事業ポートフォリオマネジメントの実際
  ■経営者の片腕としての本社
  ■投資家的機能をどう発揮するか
Ⅲ 事業ポートフォリオマネジメントにおける問題
Ⅳ 問題はバランスシートである
  ■投下資本を把握していない
  ■資本コストがわからない
  ■バランスシートの作成
  ■負債と資本の配賦
  ■作業と考えると大やけどをする
Ⅴ β値の推定
  ■β値を推計する
  ■レバードベータ
  ■アンレバードベータ
Ⅵ 社内への浸透
  ■腹落ちするまで社内への浸透を図る
  ■具体的事例に見る落とし込み
  ■ROICだけでは縮小する危険もある

第4章 事業の将来をきちんと語るために
Ⅰ 過去の実績は得意だが将来予測が苦手
  ■「正しい将来」などはない
  ■望ましい将来の姿を考える
  ■過去の中期経営計画は達成できたのか
  ■事業ごとに競合他社を特定する
  ■主観的な世界観はどのようなものか
  ■戦略策定ではなく作業を行っていないか
  ■外部環境を分析する
  ■内部資源における競争優位の源泉
Ⅱ 将来予測を定量化する
  ■ファイナンシャル・プロジェクションの前提条件
  ■「売上」は重要な変数である
  ■「株主資本」につなげる
  ■運転資本はさっさと済ませる
  ■投資は事業会社の「華」
  ■M&Aの計画には要注意
  ■本来持っていてほしくない資産
  ■残りは現金か有利子負債で調整する
Ⅲ プロジェクションを使って何をするか
  ■まずはシミュレーション
  ■ファイナンシャル・プロジェクションで何ができるか
  ■マイルストーンにどの指標を用いるか
  ■株価と格付けを付けてみる
  ■予算策定作業の無駄を省く
  ■最後に本社勘定の調整
  ■自律分権という名の放任

第5章 事業ポートフォリオマネジメントを進めるために
Ⅰ 全社戦略と本社の役割
  ■全社戦略を考える
  ■ プロダクト・ポートフォリオマネジメントは「使えるのか」
  ■資本効率性を見たポートフォリオマネジメント
  ■難しい「ベストオーナー」の議論
  ■「両利きの経営」を実現できるか
Ⅱ マネジメントサイクルを回す
  ■PDCAサイクルはもう古いのか
  ■Plan-ここまでの集大成
  ■Do-投資の実行と撤退の判断
  ■Check-業績指標をどう見るか
  ■Action-責任者の「責任」を考える
  ■戦略的経営管理サイクル
  ■では,誰がこれをやるのか

第6章 事業ポートフォリオマネジメントの実践
Ⅰ 事業ポートフォリオマネジメント手法
  ■部門別財務諸表作成
  ■部門別バランスシート作成方法
  ■バランスシート 資産サイドの計算方法
  ■損益計算書作成方法
Ⅱ 部門別財務諸表の作成例
  ■連結財務情報の取込み
  ■部門別情報の取込み
  ■株主資本の計算
  ■横方向差異調整(対連結調整)
  ■縦方向差異調整(対部門資産調整)
Ⅲ 収益性・資本収益性の比較
  ■部門の財務比較
  ■株主資本コストの計算
  ■負債ベータ値の算出
  ■アンレバードベータ・レバードベータ・負債ベータの関係
  ■部門間の収益性の比較
Ⅳ 企業価値の算出-事業の将来予測を可能にする
  ■業種別売上・営業利益の将来予想
  ■DCF法によるDCF事業価値とDCF株主価値
  ■コングロマリットプレミアム・ディスカウントの実例
  ■まとめ

著者紹介

松田 千恵子(まつだ ちえこ)

神崎 清志(かんざき きよし)

担当編集者コメント

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