守之節―税理士のワビ、サビ、洒落、そして作法

山本 守之

定価(紙 版):1,980円(税込)

発行日:2021/10/21
四六判 / 176頁
ISBN:978-4-502-39981-7

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本の紹介
東京大空襲で家は全焼、疎開先で職がなく税務職員の道へ。多くの税理士を魅了した著者の生きざまを通して、自由職業人たる税理士の作法、人の血が通った租税法律主義を説く。

目次



守之節 
税理士のワビ、サビ、洒落、そして作法

目次

人間の感性から税をみつめてみたい

第1部 自由職業人の誕生
1 税理士前夜――山本家のワビ、サビ、洒落
  生活が苦しかった頃
  太平洋戦争、東京大空襲、そして弁論
  ワビ、サビ、洒落
2 税の道へ――「ノー」を「ノー」と言える自由のために
  「税務講習所」の門をたたく
  「ノー」が言えなかった税務職員時代
  3 開業した頃――武士は食わねど高楊枝

第2部 自由職業人の輪
4 受験指導――自分のアタマで理解して
  なぜ税理士を志すのか
  真の実務家を育てるために
5 山本守之税理士事務所――税務は「中年の科学」
  採用試験
  机上でなく実地で学ぶ
  税務調査への対応
  事務所ののれん分け
  だんらん会
  隠れタバコ
6 ベストセラー作家――消費税導入物語
  付加価値税の検討が始まるまで
  国債依存度の高まりと一般消費税構想
  売上税法案廃案からの消費税法案成立
7 海外視察――世界の多様な現実からみた税のあり方
  百聞は一見に如かず
  お腹の中に入ったら課税
  トコトン争うフランス人
8 守之会――租税における民主主義を体現する
  税務上の不確定概念を議論する
  憎むべき狂気は…あるべき姿のために戦わないことだ
  税理士は学者ではない
  取引にも、税法にも、すべての背後に人間がいる

第3部 自由職業人の心得
9 税理士とは何か
  税理士の使命
  税理士の成り立ち
  法律家か、それとも会計人か
  現在の税制度の持っている問題点
  学者か、それとも実務家か
10 課税の根拠は法律にある――貸倒れは単純ではない
  通達の文言だけでは税務処理できない(旧興銀事件)
  ホームページ行政
11 法律を正しく読む――寄附金の課税要件
  安易な寄附金課税
  寄附金の課税要件
  裁判所の結論
12 取引行為の形式ではなく実質をみる
――交際費3要件と個人的歓心
  交際費と言えば1人当たり5、000円基準でよいのか
  萬有製薬事件と交際費の3要件説
  相手方の個人的歓心を買うかどうか、行為の本質をみる
13 取引の現実を知る――損害賠償金の課税をめぐる議論
  同時両建説と異時両建説
  訴訟例(過去の経緯)
  法形式だけでなく、取引の現実をみつめる
14 通達の限界――ロータリークラブ会費等の取扱いの変遷
  ロータリークラブは単なる社交団体とは違うのか
  実は一律『賞与』扱いだったロータリークラブ会費
15 課税される意味
――SDGs時代に寄附金課税をみつめなおす
  寄附金課税の趣旨
  見識ある自己利益
16 立法作法に厳しいまなざしを
――役員給与の損金不算入規定
  役員給与の損金不算入
  役員給与は原則損金不算入か
  悪法も法なり
17 経営の知恵と官僚の知恵――減価償却の目的を考える
  主税局が呑んだわけ
  償却可能限度額に理論などない
  減価償却は投資の回収か、費用の配分か
  減価償却の目的155
18 「お役所本」を疑え――〝伝家の宝刀〟の中の租税正義
  伝家の宝刀
  「不当に」の解釈
  租税正義を求めて
  大切な人を想う心で税をみつめたい
おわりに





著者プロフィール
〈著   者 〉
山 本 守 之


著者紹介

山本 守之(やまもと もりゆき)

担当編集者コメント
民主主義と聞くだけで、安全保障だったり、憲法9条だったり、いかがわしい政治家だったり、そんなことを想起してしまう。でも、それは、本当は日々の生活の中に遍在しているはずだ。
山本先生のお話を聞いたり、著書を読んでいると、申告納税ってすごい民主的な制度なんじゃないか、税務申告や税務調査における税理士の役割は民主主義の請負人そのものなんじゃないかといった気さえしてくる。
そこで、先生の生きざまから税理士が担うべき民主主義請負人としての使命を伝えてほしい。そんな1冊を書き上げてほしい。そんな思いで作った渾身の本です。

残念なことに、2020年11月に先生はお亡くなりになり、一度はこの企画も頓挫しかけました。でも、先生が遺してくださった未整理の原稿をそのままにするのはもったいなさすぎる。様々な方々のご協力・ご支援の下、先生の1周忌を前に本が完成しました。ご協力・ご支援いただいた方々に御礼申し上げます。
著者から
東京大空襲で家は全焼し、疎開先で職がなく何とか税務職員(その後税務講習所(現 税務大学校)に入る)になった。そうした著者の激動の半生を振り返り(第1部)、また受験指導、事務所運営、海外視察など自らの税理士としての活動を回顧し(第2部)、その中で育まれた「感性」を基にした税法条文や裁判例の読み方、税務調査への対峙法など、自由職業人たる税理士の心得を説く(第3部)。
昭和・平成・令和を駆け抜けた著者の生きざまを通して、机上にとどまらない血が通った租税法律主義のあり方について理解を深めてほしい。

【本書の構成】
人間の感性から税をみつめてみたい
第1部 自由職業人の誕生
1 税理士前夜―山本家のワビ、サビ、洒落
2 税の道へ―「ノー」を「ノー」と言える自由のために
3 開業した頃―武士は食わねど高楊枝
第2部 自由職業人の輪
4 受験指導―自分のアタマで理解して
5 山本守之税理士事務所―税務は「中年の科学」
6 ベストセラー作家―消費税導入物語
7 海外視察―世界の多様な現実からみた税のあり方
8 守之会―租税における民主主義を体現する
第3部 自由職業人の心得
9 税理士とは何か
10 課税の根拠は法律にある―貸倒れは単純ではない
11 法律を正しく読む―寄附金の課税要件
12 取引・行為の形式ではなく実質をみる―交際費3要件と個人的歓心
13 取引の現実を知る―損害賠償金の課税をめぐる議論
14 通達の限界―ロータリークラブ会費等の取扱いの変遷
15 課税される意味―SDGs時代に寄附金課税をみつめなおす
16 立法作法に厳しいまなざしを―役員給与の損金不算入規定
17 経営の知恵と官僚の知恵―減価償却の目的を考える
18 「お役所本」を疑え―〝伝家の宝刀〟の中の租税正義
大切な人を想う心で税をみつめたい
おわりに