リストラするくらいなら給与を下げて退職金を増やしなさい―資金確保のための社会保険料節約術

山本 御稔
勝島 一

定価(紙 版):1,980円(税込)

発行日:2021/06/30
A5判 / 144頁
ISBN:978-4-502-38541-4

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本の紹介
会社の存続と従業員の雇用をいかに両立させるか。本書では、給与の一部を退職金に組み替える方策を中心に、社会保険料の節約に着目したキャッシュの確保方法を解説する。

目次



リストラするくらいなら給与を下げて退職金を増やしなさい
資金確保のための社会保険料節約術
目次

はじめに
本書の前提
登場人物の紹介
序 章 リストラがやってきた!
     人事部組替課プロジェクトのはじまり
 リストラがやってくる
  ⑴ 社会保険とは「共助」の仕組みである
  ⑵ 2万円の減額では足りない?
  ⑶ 社会保険料を動かそう!
  ⑷ 給与を将来の退職金に組み替える
  ⑸ 24カ月ルール

第1章 まずは社会保険料のことを知っておこう
     退職金と社会保険
 給与減額プラス社会保険料節約
  ⑴ 給与の一部を退職金に組み替えることでできること
  ⑵ 社会保険料への影響
  ⑶ 退職金と税金
  ⑷ 社会保険料を節約したことによる厚生年金の減少の大きさ
  ⑸ 社会保険の保険料と給付の仕組み
  ⑹ 24カ月ルールの損得のまとめ
  
第2章 社会保険料を減らして退職金を増やす
     組替えのバリエーション
 前提条件は流動的
  ⑴ 会社メリットの金額と期間
  ⑵ 退職金水準に応じた従業員メリットの変化
  ⑶ 給与水準に応じた従業員メリットの変化

第3章 減らし方と増やし方
     組替設計の具体案
 全米は泣かないマトリクス
  ⑴ マトリクスのイメージと活用例
  ⑵ 状況に応じた設計例(給与の一定率)
  ⑶ 定率法を採用する場合の検討事項
  ⑷ 社会保険料を基準に考えた場合の設計
  ⑸ 恒常的な制度とした場合の留意点

第4章 減ると増えるをどのように説明するのか
     組替実施に向けてのポイント整理
 本当に大切なこと
  ⑴ 従業員への説明
  ⑵ 規程変更
  ⑶ 会計処理
  ⑷ 退職金支払想定(シミュレーション)
  ⑸ 退職金の正確な計算

第5章 企業年金を利用してみる方策
     組替案への追加オプション
 わかっていてもモヤモヤする限定合理性
  ⑴ 従業員に気持ちよく組替えを納得してもらう
     “プラスアルファ”給付
  ⑵ “企業年金の積立金”の活用
  ⑶ 確定給付型の企業年金の代わりの「企業型DC」の導入

第6章 年金制度の変化と人生100年時代
     2020年年金制度の見直し
 人間100年…おカネも夢幻の如くなり
  ⑴ 簡易型DC
  ⑵ iDeCo プラス
  ⑶ 企業型DC とiDeCo の加入可能年齢等の引上げ

第7章 財務・会計の対応
 おカネの流れを説明しよう
  ⑴ キャッシュの流れ
  ⑵ 貸借対照表
  ⑶ 従業員への影響
  ⑷ 損得のトータル

第8章 公的年金制度
 宝くじで4,000万円当たったら
  ⑴ わが国の公的年金制度の沿革
  ⑵ わが国の公的な年金制度
  ⑶ マクロ経済スライド

第9章 会社の退職金制度と年金制度はどうしてできたのか
 給与引上げ競争の果てに
  ⑴ 退職金制度の歴史
  ⑵ 今はなき適格退職年金制度
  ⑶ 厚生年金基金
  ⑷ 適格退職年金制度廃止で生まれた今の年金制度

第10章 副  業
 組替えの根っこにあるのは?
  ⑴ 副業・兼業は実際に起きているのか
  ⑵ メリット
  ⑶ 副業とは従業員が中心となること
  ⑷ 労働時間の通算の対象
  ⑸ 副業と社会保険制度の関係

第11章 ジョブ型の退職金
 プロ野球にも退職金・年金があるらしい
  ⑴ これまでの雇用形態はメンバーシップ型雇用
  ⑵ ジョブ型雇用
  ⑶ ジョブ型雇用のメリット・デメリット
  ⑷ ワークエンゲージメン
  ⑸ “働きやすさ”を求めるワークエンゲージメン
  ⑹ アサインマネジメント
  ⑺ 新常態のリ・スキリング
  ⑻ 社会保険・退職金・企業年金




著者プロフィール
【著者紹介】
山本 御稔(やまもと・みとし)
コア・コム研究所 取締役社長
1961年生まれ。同志社大学卒,シカゴ大学 MBA,九州大学博士課程満期退学。ペンシルベニア大学 ウォートン校 年金・キャッシュマネジメントコース修了。信託銀行,外資系保険関連会社を経て,有限責任監査法人トーマツ(デロイト・トーマツ)にて年金,資産運用部門のパートナーとして勤務。2020年₁月より現職。

勝島  一(かつしま・はじめ)
コア・コム研究所 主席フェロー 年金数理人
1966年生まれ。日本アクチュアリー会正会員。東京大学卒。信託銀行,有限責任監査法人トーマツ(デロイト・トーマツ)にて企業年金に関する数理計算業務および制度変更,M&A 等におけるコンサルティング業務に従事後,2020年7月より現職。


著者紹介

山本 御稔(やまもと みとし)

勝島 一(かつしま はじめ)

担当編集者コメント
【本書の構成】
序 章 リストラがやってきた!
    人事部組替課プロジェクトのはじまり
第1章 まずは社会保険料のことを知っておこう
    退職金と社会保険
第2章 社会保険料を減らして退職金を増やす
    組替えのバリエーション
第3章 減らし方と増やし方
    組替設計の具体案
第4章 減ると増えるをどのように説明するのか
    組替実施に向けてのポイント整理
第5章 企業年金を利用してみる方策
    組替案への追加オプション
第6章 年金制度の変化と人生100年時代
    2020年年金制度の見直し
第7章 財務・会計の対応
第8章 公的年金制度
第9章 会社の退職金制度と年金制度はどうしてできたのか
第10章 副 業
第11章 ジョブ型の退職金
著者から
未曾有の危機が日本をそして世界を襲っています。多くの会社で、この危機をどう乗り越えればよいのかについて、議論がなされていると思います。その1つの手段としてリストラも検討されているかもしれません。
しかし、筆者はリストラを肯定しません。その代案として考えたのが、「リストラするくらいなら給与を下げて退職金を増やしなさい」という一風変わった方策です。これは、「給与を下げる」ことで資金を確保し、当面の経営の安定を図り、同時に「退職金を増やす」ことで従業員の負担感を軽減しながら「社会保険料の節約」にもつなげようという方策です。
給与を下げて、退職金を増やす(社会保険料を節約する)方策について、ストーリー仕立てで解説するとともに、2020年の年金制度見直しや副業、ジョブ型雇用などの最新の人事トピックをどのようにコロナ後の経営に活かすかという論点についても検討しました。