感染症と経営―戦前日本企業は「死の影」といかに向き合ったか

清水 剛

定価(紙 版):2,420円(税込)

発行日:2021/04/27
四六判 / 184頁
ISBN:978-4-502-37741-9

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本の紹介
戦前日本では感染症が現代よりもはるかに死に直結していた。当時の企業は労働環境の中の『死の影』といかに向き合ったのか。それはコロナ後の経営のヒントとなるはずだ。

目次



感染症と経営
戦前日本企業は「死の影」といかに向き合ったか
目次

序 章 「死」が身近にある社会
 1.「コロナ後」と戦前の日本社
  (1)スペイン風邪のインパクト
  (2)死亡率の高さ
  (3)主たる死亡要因
 2.「死」が身近な社会
  (1)日常の中の「死」―『細雪』と『ゴンドラの唄』―
  (2)「死の影」の下での人々の行動
 3.「コロナ後」の社会と戦前の日本社会

第1章 「死」と労務管理
 1.「死の影」の下での労務管理
 2.戦前における労務管理の変化︱繊維産業を例として
 3.「コロナ後」の労働者と企業の関係

第2章 労務管理の変化と「東洋の魔女」の誕生
 1.「死の影」が薄れた場合の変化
 2.「死の影」が薄れる社会
 3.戦後における労務管理の変化︱繊維産業を例として
 4.教育機会の拡大
 5.企業スポーツの変容
   ―レクリエーションから「東洋の魔女」へ―
 6.「コロナ後」の経営に対する示唆

第3章  「死の影」の下での消費者
   ―三越・主婦の友・生協はなぜ誕生したか―
 1.「死の影」の下での消費者
 2.戦前の日本における消費者と企業
 3.戦前における流通の変革
  (1)百貨店
  (2)出版社による代理販売
  (3)消費組合と小売市場
 4.「コロナ後」の消費者と企業の関係

第4章 企業と株主の関係
   
―短期志向にいかに対応するのか―
 1.「死の影」の下での企業と株主
 2.戦前の株主と経営者の関係
  (1)株主の短期志向
  (2)株主の経営に対する影響力︱社長の多くは非常勤だった
 3.「コロナ後」の株主と企業の関係

第5章 「死の影」の下での企業
 1.企業の意義
 2.戦前の日本企業は永続的なものだったのか?
 3.企業を永続化する試み―組織的経営と会社形態の利用―
 4.「コロナ後」の企業

第6章 企業に閉じ込められないために
 1.永続的な企業との関係
 2.「学卒」ホワイトカラーの進出
 3.悩める「サラリーマン」たち
 4.再論:「コロナ後」の労働者と企業の関係

終章 「コロナ後」の経営

注 釈
あとがき
参考文献



著者プロフィール
〈著   者〉
清 水   剛


著者紹介

清水 剛(しみず たかし)
[プロフィール]
東京大学大学院総合文化研究科教授
1974年生まれ。1996年東京大学経済学部卒業、2000年同大学大学院経済学研究科修了、博士(経済学)。東京大学大学院総合文化研究科専任講師、同助教授、同准教授を経て現職。この間、ソウル大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで客員教授、イェール大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員を務める。専門は経営学、経営史学、法と経済学で、とりわけ企業システムおよび企業経営と法制度の相互作用に関する研究を行っている。

担当編集者コメント
2020年4月、最初の緊急事態宣言のさなか、緊急情報発信サイト『新型コロナ危機下のビジネス実務』を立ち上げました。本の出版もままならないなかで、それでも必要な情報を発信していく必要があると考えたからです。
様々な方に記事の寄稿をお願いする中で、不幸中の幸いというべきでしょうか、『ロンドンにて在外研究中...のはずが、今回の新型コロナの拡大で一時帰国』されていた清水教授にコラムの執筆をお願いすることができたのです。
「感染症と『死』、そして企業経営―戦前の日本社会から「コロナ後」を考える」
https://covid19-businesspractices.com/2020/05/22/spanishflu/
この記事が大変好評を博し、何とかもっと他のエピソードも盛り込んで書籍化できないかとご無理を言った結果、この本ができました。
「いのち短し 恋せよ乙女」のゴンドラの唄を何度も聴きながら、編集しました。ぜひ!!

目 次
序 章「死」が身近にある社会
1.「コロナ後」と戦前の日本社会
(1)スペイン風邪のインパクト
(2)死亡率の高さ
(3)主たる死亡要因
2.「死」が身近な社会
(1)日常の中の「死」―『細雪』と『ゴンドラの唄』―
(2)「死の影」の下での人々の行動
3.「コロナ後」の社会と戦前の日本社会

第1章 「死」と労務管理
1.「死の影」の下での労務管理
2.日本における労務管理の変化:繊維産業を例として
3.「コロナ後」の経営の方向性

第2章 労務管理の変化と「東洋の魔女」の誕生
1.「死の影」が薄れた場合の変化
2.「死の影」が薄れる社会
3.戦後における労務管理の変化:繊維産業を例として
4.教育機会の拡大
5.企業スポーツの変容―レクリエーションから「東洋の魔女」へ―
6.「コロナ後」の経営に対する示唆

第3章 「死の影」の下での消費者――三越・主婦の友・生協はなぜ誕生したか
1.「死の影」の下での消費者
2.戦前の日本における消費者と企業
3.戦前期における流通の変革
(1)百貨店
(2)出版社による代理販売
(3)消費組合と小売市場
4.「コロナ後」の消費者と企業の関係

第4章 企業と株主の関係――短期志向にいかに対応するのか
1.「死の影」の下での企業と株主
2.戦前の株主と経営者の関係
(1)株主の短期志向
(2)株主の経営に対する影響力
3.「コロナ後」の企業と株主の関係

第5章 「死の影」の下での企業
1.企業の意義
2.戦前の日本企業は永続的なものだったのか?
3.企業を永続化する試み―組織的経営と会社形態の利用―
4.「コロナ後」の企業

第6章 企業に閉じ込められないために
1.永続的な企業との関係
2.「学卒」ホワイトカラーの進出
3.悩める「サラリーマン」たち
4.「コロナ後」の企業と労働者

終 章 「コロナ後」の経営
著者から
特設サイトに、本書の刊行に寄せて、「『風立ちぬ』、樋口一葉、そしてUber運転手―『感染症と経営:戦前日本企業は「死の影」といかに向き合ったか』へのイントロダクション」を寄稿いただきました。
https://covid19-businesspractices.com/2021/05/08/kazetachinu/