- 本の紹介
- 福島第一原発事故を検証する上で、原発会計制度がどう整備され、そして実行されてきたかを検証することにより、原発会計制度の問題点とあるべき姿を提示する研究書。
- 担当編集者コメント
- 東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故を契機に、原発問題がさまざまなかたちで議論されています。
そのような中、本書は「現在と将来の子どもたちの幸せといのちを守るために会計学は何ができるか?」という想いから原発問題に斬り込んでいます。
内容としては、「会計を基礎にした(原発の)電気料金」という本来の枠組みが、「電気料金を前提にした会計制度」という思考に逆転しているため、原発会計制度により算出される会計数値に歪みがもたらされている。
そして、会計数値が歪むと、会計数値を利用して原発コストを計算しようとする人だけでなく、その会計数値を作成した電力会社自身にも、無理が生じることになる。
この無理から解放されるためには、健全な原発会計制度に改め、国民と電力会社(とその原発事業を支援している国家)との間に信頼関係を構築することが重要である。
さらに理想をいえば、原発会計制度など必要ないほどの信頼関係を、電力会社(とその原発事業を支援している国家)が、それ以外の利害関係者と構築するのが望ましい、というものです。
東日本大震災からちょうど5年目に刊行された本書。
本書により会計というあらたな視点から原発問題を考える契機に、そして原発問題が解決に向けて一歩でも前進できればと祈念しています。