判例法理・経営判断原則

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近藤 光男

定価(紙 版):5,500円(税込)

発行日:2012/08/03
A5判 / 440頁
ISBN:978-4-502-05630-7

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本の紹介
取締役の責任を追及するについて重要な経営判断原則。その評価は論者により大きく異なっている。研究者・弁護士が過去の判例を検討し、約120例を取り上げて分析を加える。

目次


判例法理 経営判断原則
目次

Ⅰ 経営判断原則・総論 〔近藤光男〕
 1 経営判断原則の意義
  ⑴ 従来の裁判例と経営判断原則
  ⑵ 経営判断原則の根拠
  ⑶ 経営判断原則の明確化
 2 経営判断原則適用の要件と適用の意味
 3 経営判断原則の具体的な適用事例とその限界
  ⑴ 総論
  ⑵ 具体的な適用
 4 む す び

Ⅱ 判例分析─整理とコメント
 1 定款記載目的外の経営を企図実行し会社に損失を与えた取締役
    に対する忠実義務違反を理由とする解任請求が否定された事例
    /神戸地判昭和51年6月18日・下民27巻5~8号378頁・判時
    843号107頁〔坂野真一〕

 2 取締役の経営方針等に経営上の裁量権を逸脱するような任務懈
   怠は認められないとして商法旧266条ノ3の責任が否定された事
   例/東京地判昭和55年9月30日・下民32巻5~8号722頁・判時
   1005号161頁・判タ434号197頁・〔坂野真一〕

 3 経営破綻に瀕した子会社に対して経営の好転を見込み融資を行っ
   た親会社取締役の責任が否定された事例/福岡高判昭和55年
   10月8日・高民33巻4号341頁・判時1012号117頁・判タ433号
   149頁・金判613号27頁・〔宮崎裕介〕

 4 会社の資金繰りがひっ迫する下で代表取締役がなした融通手形
   の交換に関し商法旧266条ノ3の責任が否定された事例/東京地
   判昭和57年9月30日・判タ486号168頁・商事法務969号1240頁〔
   坂野真一〕

 5 派遣役員の業務執行に重大な法令違反があるとして検査役選任
   申請がなされたが,法令違反または不正行為があったと認められ
   ないとして却下された事例/東京地決昭和59年9月7日・判時
   1148号147頁〔坂野真一〕

 6 代表取締役による多額の融通手形交換を原因として会社が倒産し
   た場合でも取締役の職務執行につき悪意または重過失があると
   はいえないとされた事例/大阪高判昭和61年8月29日・判タ
   677号226頁・金判760号21頁〔坂野真一〕

 7 経営危機状況のグループ会社を支援した取締役らの行為につき忠
   実義務違反を理由とする株主代表訴訟が棄却された事例/東京
   地判昭和61年10月30日・判タ654号231頁〔坂野真一〕

 8 融資していた下請会社の倒産により連鎖倒産した会社の代表取
   締役に商法旧266条ノ3の損害賠償責任が認められなかった事例
   /大阪高判昭和61年11月25日・判時1229号144頁・金法1168号
   30頁・金判768号31頁〔坂野真一〕

 9 土地買収に協力する団体に誓約書をとらずに高額の手形を振り出
   した代表取締役の職務執行につき重大な過失が認められないとさ
   れた事例/東京地判昭和62年9月30日・判タ665号214頁・〔坂野
   真一〕

 10 相互銀行の代表取締役がその地位を維持するという目的で行っ
    た事業不振会社に対する継続融資につき特別背任罪の成立が
    認められた事例/東京高判昭和62年12月8日・高等裁判所刑
    事裁判速報集(昭和62年)121頁・〔坂野真一〕

 11 営業規模に比して不相当に多額の借入れをして株式投資を行
    い,会社に損害を被らせた取締役の責任が肯定された事例/東
    京地判平成5年9月21日・判時1480号154頁・判タ827号47頁・
    金判931号19頁・金法1370号29頁・資料版商事法務115号
    147頁・〔坂野真一〕

 12 退職した取締役兼従業員の在職中に行った案件処理につき,不
    法行為または取締役の忠実義務違反が認められなかった事例
    /東京地判平成6年10月25日・労判669号48頁・労働経済判例
    速報1554号6頁〔坂野真一〕

 13 大株主の系列会社に対する債務保証等に関する株主代表訴訟
    について担保提供命令の申立てが一部認められた事例/東京
    高決平成7年2月20日・判タ895号252頁・金判968号23頁・資料
    版商事法務133号151頁〔古川朋雄〕

 14 原子力発電所の建設計画に関する代表訴訟において担保提供
    が命じられた事例/名古屋地決平成7年2月28日・判時1537号
    167頁・〔古川朋雄〕

 15 親子会社の取締役を兼務する者に対する代表訴訟について担保
    提供が命じられた事例/長野地裁佐久支決平成7年9月20日・
    資料版商事法務139号197頁〔古川朋雄〕

 16 系列ノンバンクに対する支援に関する代表訴訟に関し担保提供
    が命じられた事例/名古屋地決平成7年9月22日・金法1437号
    47頁・資料版商事法務139号210頁・〔古川朋雄〕

 17 代表取締役の行った株式投資の失敗について,会社に対する善
    管注意義務違反が認められた事例/福岡地判平成8年1月
    30日・判タ944号247頁〔坂野真一〕

 18 業績の悪化した合弁企業を買収した会社の取締役の義務違反が
    否定された事例/東京地判平成8年2月8日・資料版商事法務
    144号115頁〔古川朋雄〕

 19 銀行による債権放棄に関する代表訴訟における担保提供命令の
    申立てが認められた事例/東京地決平成8年6月26日・金法
    1457号40頁・資料版商事法務148号101頁・〔古川朋雄〕

 20 資本関係はないもののグループ企業であると評価できる企業に
    対する多額の無担保貸付けなどが,取締役としての善管注意義
    務・忠実義務に違反するとされた事例/東京高判平成8年12月
    11日・金判1105号23頁・資料版商事法務161号16頁・〔神原浩〕

 21 関連会社への債務保証に関する株主代表訴訟について担保提
    供が命じられた事例/岐阜地決平成9年1月16日・資料版商事
    法務147号35頁〔古川朋雄〕

 22 融資の決定について銀行の取締役らに善管注意義務違反が否
    定された事例/名古屋地判平成9年1月20日・判時1600号
    144頁・判タ946号108頁・金判1012号14頁・金法1475号114頁・
    資料版商事法務155号128頁・〔古川朋雄〕

 23 従業員の指示に従って融通手形を振り出すなどした取締役の義
    務違反が認められた事例/東京地判平成9年1月28日・判タ
    957号247頁〔古川朋雄〕

 24 損失補塡を決定した取締役の会社に対する責任が否定された事
    例/東京地判平成10年5月14日・判時1650号145頁・判タ
    976号277頁・金判1043号3頁・金法1519号116頁・資料版商事
    法務170号163頁〔石田眞得〕

 25 取締役の善管注意義務違反を理由とする業務財産検査役の選
    任申請が否定された事例/東京高決平成10年8月31日・金判
    1059号39頁・資料版商事法務174号247頁・〔石田眞得〕

 26 子会社株式の持株比率の低下を容認した親会社取締役に善管
    注意義務違反はないとされた事例/東京地判平成10年9月
    24日・判時1665号119頁・判タ994号234頁・金判1063号39頁・
    資料版商事法務175号283頁〔石田眞得〕

 27 損失補塡を行った証券会社の取締役の義務違反が否定された事
    例(日興證券損失補塡株主代表訴訟事件)/東京高判平成
    11年2月23日・判タ1058号251頁・資料版商事法務192号176頁
    ・〔古川朋雄〕

 28 融資の決定および融資打ち切りの決定に関して銀行の取締役の
    義務違反を否定した事例/松山地判平成11年4月28日・判タ
    1046号232頁・〔・古川朋雄〕

 29 破産申立て後も取引を継続した会社の取締役の対第三者責任が
    肯定された事例/福岡高裁宮崎支判平成11年5月14日・判タ
    1026号254頁・金判1074号30頁〔石田眞得〕

 30 放送会社の筆頭株主である新聞社が,自社の支配権(主導権)
    維持のために放送会社の株式を鑑定価格を超える価格で取得し
    た行為につき,取締役の善管注意義務違反が認められなかった
    事例/大阪地判平成11年5月26日・判時1710号153頁・資料版
    商事法務185号235頁・〔・神原浩〕 ……ほか

 事項索引

 判例索引


著者プロフィール 〈編者紹介〉
近藤 光男(こんどう みつお)
昭和29年 東京都生まれ
昭和53年 東京大学法学部卒業
同  年 東京大学法学部助手
昭和56年 神戸大学法学部助教授
平成3年 神戸大学法学部教授
平成12年 神戸大学大学院法学研究科教授
現在に至る

〔主要著書〕
会社経営者の過失(弘文堂,平成元年)
会社支配と株主の権利(有斐閣,平成5年)
経営判断と取締役の責任(中央経済社,平成6年)
取締役の損害賠償責任(中央経済社,平成8年)
コーポレート・ガバナンスと経営者責任(有斐閣,平成16年)
商法総則・商行為法(第5版補訂版)(有斐閣,平成20年)
最新株式会社法(第6版)(中央経済社,平成23年)






















著者紹介

近藤 光男(こんどう みつお)
[プロフィール]
昭和29年 東京都生まれ
昭和53年 東京大学法学部卒業
同年 東京大学法学部助手
昭和56年 神戸大学法学部助教授
平成3年 神戸大学法学部教授
平成27年 関西学院大学法学部教授
現在 神戸大学名誉教授

[主な著作]
『会社経営者の過失』(弘文堂,平成元年)
『会社支配と株主の権利』(有斐閣,平成5年)
『経営判断と取締役の責任』(中央経済社,平成6年)
『取締役の損害賠償責任』(中央経済社,平成8年)
『コーポレート・ガバナンスと経営者責任』(有斐閣,平成16年)
『株主と会社役員をめぐる法的課題』(有斐閣,平成28年)
『取締役・取締役制度―発展・最新株式会社法』(中央経済社,平成29年)
『最新株式会社法(第9版)』(中央経済社,令和2年)
『商法総則・商行為法(第9版)』(有斐閣,令和5年)