プログレッシブ税務会計論Ⅳ―会計処理要件(経理要件・帳簿要件)

酒井 克彦

定価(紙 版):3,300円(税込)

発行日:2020/06/24
A5判 / 268頁
ISBN:978-4-502-35031-3

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本の紹介
租税法の課税要件において、経理要件や帳簿要件を採用するのはなぜか? 会計処理要件の意味と重要性をひもとく。知識の整理、体系的な理解に役立つ最良のテキスト。

目次



プログレッシブ税務会計論Ⅳ
─会計処理要件(経理要件・帳簿要件)─
目次

序 章 損金経理
 1  損金経理とは
 2  損金経理を要求する事項
 3  損金経理要件の部分的崩壊
 4  近時の論点

第1部 損金経理要件
第1章 損金経理要件の意義
 1  はじめに
 2  損金経理要件概論
  1 外  観
  2 損金経理要件が問題となる場面
 3  確定申告の法的性質論
  1 意思表示説と通知行為説
  2 損金経理要件と意思表示説
 4  損金経理要件の弾力的運用
  1 損金経理要件と確定決算主義
  2 損金経理要件の弾力的対応
 5  小  括

第2章 通達上の損金経理の要請
 1  はじめに
 2  問題関心
  1 法人税基本通達9-2-28
  2 素材とする事案(退職慰労金事件)…他
 3  公正処理基準に影響を与える通達の外部性
  1 通達の外部効果─逆基準性
  2 企業会計準拠主義・三層構造 …他
 4  租税法律主義と損金経理要件を求める通達
  1 損金経理要件自体を通達が求めることの問題
  2 他の領域における類似事例 …他
 5  通達による損金経理の要請と公正処理基準形成の可能性
  1 法人税法22条4項の文理解釈
  2 租税法律主義と手続的保障
 6  小  括

第3章 収益認識基準の影響
 1  はじめに
 2  債務発生の合理的見積り
  1 引当金計上に対する制限的規範たる債務確定基準
  2 資産除去債務に関する租税法の態度
 3  租税法上の「確定」概念
  1 「確定」概念に頼る法的構造
  2 債務確定基準と権利確定主義にみる「確定」…他
 4  ポイント引当金と収益認識基準
  1 収益認識基準が法人税法に及ぼした影響
  2 キャッシュバック等の処理 …他
 5  小  括

第4章 損金経理要件と株式評価
 1  はじめに
 2  議論の前提と問題関心
  1 相続税法上における「時価」
  2 問題関心 77
 3  財産評価に影響を及ぼすべきすべての事情
  1 取引相場のない株式評価と相続税法14条
  2 類似事例の検討
 4  客観的交換価値
  1 具体的な価格決定方法
  2 想定し得る個別事情の評価への影響
 5  小  括

第2部 帳簿要件[記帳・保存]
第5章 損金経理要件と正規の簿記の原則
 1  はじめに
 2  素材とする事案
  1 事案の概要
  2 争  点 …他
 3  判決の要旨
  1 長崎地裁平成12年1月25日判決
  2 福岡高裁平成12年12月15日判決
 4  検  討
  1 重要性の原則と公正処理基準
  2 重要性の原則について論じられた事例 …他
 5  小  括
  1 法人税法内における重要性の原則の射程
  2 問題の本質

第6章 総額主義による記帳
 1  はじめに
 2  素材とする事案
  1 事案の概要
  2 事実関係 …他
 3  判決の要旨
 4  検  討
  1 検討の対象(争点1について)
  2  会計学上の総額主義 …他
 5  小括─実態に応じた契約解釈

第7章 法人税法上の「帳簿書類」と消費税法上の「帳簿」
 1  はじめに
 2  法人税法上の「帳簿書類」
  1 青色申告制度における「帳簿書類」
  2 青色申告制度にみる「保存」 …他
 3  消費税法上の「帳簿」
  1 消費税法30条8項
  2 東京地裁平成9年8月28日判決 …他
 4  小さく生んで大きく育てる式の消費税法
  1 日本版インボイス方式
  2 所得課税法をベースにした日本版インボイス方式
 5  小括─所得課税の課税資料に基づく消費税課税

第8章 電子帳簿保存法の「明瞭性」
 1  はじめに
 2  電子帳簿保存法上の「国税関係帳簿書類」
 3  e-文書法
 4  要請される明瞭性
  1 3つの明瞭性
  2 目的論的解釈の視角 …他
 5  小  括

第9章 青色申告制度のあり方
 1  はじめに
 2  青色申告制度の概要
  1 概  要
  2 青色申告の承認 …他
 3  積極的不記帳者
 4  帳簿なければ経費の証明なし
  1 申告納税制度における帳簿提示の意義
  2 消費税法における帳簿提示問題
 5  一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
  1 企業会計準拠主義
  2 営業所得と人的役務提供所得
 6  青色申告制度廃止論
 7  小  括

第10章 帳簿不備と重加算税
 1  はじめに
 2  問題点の所在
  1 記帳義務等の遵守と不遵守との比較考量
  2 国税通則法68条の「基づき」 …他
 3  2つの最高裁判決
  1 最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決
  2 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決
 4  解釈論上の試行錯誤
  1 総合関係説の検討
  2 納税者の「故意」論に対する疑問
 5  主観的要素による構成の限界
  1 確定的な意図
  2 多額の脱漏を前提とした故意認定 …他
 6  主観的要素による構成の問題点
  1 文理解釈上の不安
  2 文理解釈との整合性 …他
 7  小  括


著者プロフィール
酒井 克彦(さかい かつひこ)
 1963年2月東京都生まれ。中央大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士(中央大学)。中央大学法科大学院教授。㈳アコード租税総合研究所(At-I)所長。㈳ファルクラム代表理事。
 著書に,『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂・2015年),『租税正義と国税通則法総則』(信山社・2018年〔共編〕),『キャッチアップ デジタル情報社会の税務』(2020年〔編著〕),『キャッチアップ保険の税務』(2019年〔編著〕),『キャッチアップ外国人労働者の税務』(2019年〔編著〕),『キャッチアップ改正相続法と税務』(2019年〔編著〕),『キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2018年〔編著〕),『新しい加算税の実務』(2016年〔編著〕),『附帯税の理論と実務』(2010年)(以上,ぎょうせい),『通達のチェックポイント─相続税裁判事例精選20─』(2019年〔編著〕),『同─所得税裁判事例精選20─』(2018年〔編著〕),『同─法人税裁判事例精選20─』(2017年〔編著〕),『アクセス税務通達の読み方』(2016年)(以上,第一法規),『「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈』(2015年),『「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈』(2013年)(以上,清文社),『スタートアップ租税法〔第₄版〕』(2020年),『ステップアップ租税法の概念論』(2020年),『ステップアップ租税法と私法』(2019年),『クローズアップ事業承継税制』(2019年〔編著〕),『クローズアップ保険税務』(2017年〔編著〕),『クローズアップ租税行政法〔第2版〕』(2016年),『クローズアップ課税要件事実論〔第4版改訂増補版〕』(2017年),『所得税法の論点研究』(2011年),『ブラッシュアップ租税法』(2011年),『ステップアップ租税法』(2010年),『フォローアップ租税法』(2010年)(以上,財経詳報社),『裁判例からみる税務調査』(2020年),『裁判例からみる法人税法〔3訂版〕』(2019年),『裁判例からみる所得税法』(2016年),『裁判例からみる相続税・贈与税〔3訂版〕』(2013年〔共著〕),『行政事件訴訟法と租税争訟』(2010年)(以上,大蔵財務協会),『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕』(2018年),『プログレッシブ税務会計論Ⅱ〔第2版〕』(2018年),『プログレッシブ税務会計論Ⅲ』(2019年)(以上,中央経済社)などがある。その他,論文多
数。
 HP「㈳アコード租税総合研究所」(http://accordtax.net/),「㈳ファルクラム」(http://fulcrumtax.
net/)


著者紹介

酒井 克彦(さかい かつひこ)