消費経済学入門―サステイナブルな社会への選択

樋口 一清

定価(紙 版):2,530円(税込)

発行日:2019/05/24
A5判 / 192頁
ISBN:978-4-502-30751-5

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本の紹介
企業と消費者の関係や市場経済システムそのものの変化といった大きな潮流の中で、消費者の視点から市場や企業について捉え直し、新しい消費経済学のあり方をデッサンする。

目次


消費経済学入門
▪サステイナブルな社会への選択
目次

はじめに
序 章 怒りの葡萄
 1 豊作貧乏――市場経済システムの限界
 2 情報の非対称性――市場における情報の役割
 3 限定合理性――等身大の消費者像
 4 経済学が問われているもの
 5 消費者の視点
第1章 市場経済システムの論理と倫理
 1 アダム・スミスと自己利益の追求
 2 合理的な愚か者――アマルティア・センの主流経済学批判
 3 共感のルーツ
 4 共感とコミットメント
 5 利己心の経済から利他心の経済へ
第2章 サステイナビリティの視点
 1 サステイナビリティとは
  1.1 サステイナビリティの定義をめぐって
  1.2 ハート教授の3つの経済論
  1.3 市場経済の問題点
  1.4 電子ゴミの事例
  1.5 SDGs との関係
 2 サステイナビリティと3つのサブ経済システム
  2.1 われわれの身の回りの3つの経済の事例
  2.2 サブシステムとしての3つの経済
  2.3 対立と共生――サブシステムの調整プロセス
  2.4 経済の成長と循環
  2.5 サステイナビリティと価値判断
第3章 消費経済学の課題と方法
 1 消費経済学の課題
  1.1 消費者主権の確立
  1.2 消費者問題とこれまでの消費経済学の役割
  1.3 現代消費社会の構造変化と新たな課題
  1.4 消費経済学の役割の変化
 2 消費経済学の新たな展開
  2.1 消費経済学の基本概念
  2.2 情報の非対称性
  2.3 限定合理性
  2.4 サステイナビリティ
第4章 企業の役割
 1 企業システムと取引コスト
  1.1 限定合理性,不完全情報と取引コスト理論
  1.2 摩擦のない世界
  1.3 コースの定理と法規制の意義
  1.4 市場におけるルール(法規制)と効率性,衡平
 2 企業の社会的責任
  2.1 企業の目的は利益を上げることだろうか?
  2.2 経済的価値と社会的価値
 3 ソフトローの役割
  3.1 市場のルールとしてのソフトロー
  3.2 自律的秩序のインセンティブ構造
  3.3 ソフトローとサステイナビリティ
  3.4 ソフトローの実効性
  3.5 サプライチェーンとソフトロー
  3.6 ソフトローと取引コスト論
 4 企業システム革新への動き
  4.1 新たな企業モデルとしての社会的企業
  4.2 海外の社会的企業制度の動向
  4.3 わが国自治体のCSR 認証への取組み
第5章 消費者の心理と行動
 1 消費者の選択と行動経済学
  1.1 サンクコストの呪縛
  1.2 消費者の選択と感情や直感
  1.3 消費者の選択とリスク
  1.4 消費者の選択と時間
 2 限定合理性と消費者トラブルへの対応
  2.1 消費者は,何故,騙されてしまうのか
  2.2 トラブルにどう対処すべきなのか
 3 現代消費者の課題と消費経済学の視点
  3.1 消費者の脆弱性
  3.2 ネット社会と新たな“消費者”の出現
  3.3 企業と消費者の「価値共創」
第6章 市場の機能と消費者政策
 1 市場の機能
  1.1 市場の質
  1.2 市場機能の限界
  1.3 規範的市場メカニズムの重要性
 2 市場のルール
  2.1 市場のルールの体系
  2.2 市場を支える制度151
  2.3 消費者問題と市場のルール・制度の変遷
 3 新たな消費者政策への展望
  3.1 消費者政策と消費経済学の視点
  3.2 リバタリアン・パターナリズムとその限界
 4 プラトンの警鐘
  4.1 消費者の選択と“民意”
  4.2 学習と連携・協働
  4.3 消費者市民社会をめぐって
 おわりに “人間の顔をした市場経済”への道




著者プロフィール
樋口 一清(ひぐち かずきよ)
信州大学名誉教授,法政大学客員教授,内閣府消費者委員会委員
1950年東京生まれ。東京大学経済学部経済学科および同経営学科卒業。通商産業省消費経済課長,経済産業省九州経済産業局長,信州大学経済学部教授,同経営大学院教授,法政大学大学院教授などを歴任。明治大学大学院および中央大学法学部講師。
日本消費者政策学会会長。
消費者スマイル基金副理事長。


著者紹介

樋口 一清(ひぐち かずきよ)