会計

会計の再生―21世紀の投資家・経営者のための対話革命

定価:3,024円(税込) 送料について

発行日:2018-04-12
A5判/336頁
ISBN:978-4-502-24051-5

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紹介文

財務諸表は投資家に対する有用性を喪失した。メディア、ガス、保険、バイオ産業等を例に「戦略的資源・帰結報告書」を提案。ニューヨーク大学バルーク・レブ教授の最新刊。

評価

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会計の再生 柳 良平(エーザイ㈱執行役)さんのコメント (2018/06/08)
原題は直訳すれば「会計の終焉」というやや過激なタイトルで、評者も昨年原書を読んだ当初は当惑したが、本書は決して会計そのものを否定しているわけではない。近年の事業の複雑性、多様な投資家の評価に鑑みて、企業価値を説明するためには財務会計の数値だけでは不十分で、価値の大宗はインタンジブルズ(広義の無形資産)が占めることを訴えている。そこから本書は、企業価値を高めて報告するための会計が進展するためには、非財務情報も取り込んだ変革が必要であると警鐘を鳴らしているのである。その意味で監訳者が「会計の再生」という邦題を選択したのは原書の本来の趣旨に照らして「言い得て妙」だろう。
本書の前半では、1950年代には市場の企業価値評価(時価総額)のうち約90%を損益計算書の利益と貸借対照表の株主資本で説明ができたが、2013年には会計数値の説明能力が50%レベルにまで低下しているというショッキングな事実が提示される。さらに、投資家の投資判断においても、アナリストの業績予想やSECにファイルされた非財務情報に財務諸表の有用性が大きく劣後すること、利益やROEを過去の会計数値から予想する場合の誤差が倍増していること、損益計算書上の純利益に占める特別損益の割合が2割近くにまで上昇していることなどが示され、会計数値が企業価値を説明する能力が著しく低下していることがわかる。
会計や財務に関わる者が感覚的には認識している「不都合な真実」が具体的証拠とともにみせつけられるのである。そして本書では、企業価値の源泉としてインタンジブルズを挙げて、会計の欠陥として研究開発費などの無形資産への投資を費用計上してしまうことを指摘している。
そして本書の後半では、こうした課題の解決策として、インタンジブルズと業種特性を加味した「戦略的資源・帰結報告書」の開示による企業と投資家のエンゲージメントを提案している。たとえば、製薬・バイオ業界では「フリーキャッシュ・フローに研究開発費等の無形資産への投資費用を足し戻し、さらに株主資本コストを控除した数字」を「真の利益」として訴えている。これは評者がエーザイ㈱のCFOとして「研究開発費控除前の営業利益」を「ファーマEBIT」として開示していたこと、「株主資本コスト控除後のROE」を「エクイティスプレッド」として啓蒙してきたことに合致しており、わが意を得た思いである。本書は、拙著『ROE経営と見えない価値』(中央経済社)や、監訳者を責任者とする経済産業省の「伊藤レポート」の趣旨とも同期するのである。
しいていえば、最近日本企業の間でも広がりつつあるESG(環境、社会、統治)や統合報告書との関連性にも踏み込んでいれば、実務への応用もより容易であったであろう。しかしながら、そうした指摘も本書の価値を少しも減じない、まさに時流に合った示唆に富んだ良書であり、会計や財務に携わる者にとって必読書といえよう。
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