AUDIT INQUIRY 質問の理論と技術

永見 尊

定価(紙 版):5,060円(税込)

発行日:2023/12/28
A5判 / 296頁
ISBN:978-4-502-48051-5

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本の紹介
本書は、財務諸表監査における監査技術の1つとされる「質問」(Inquiry)を研究対象とし、質問の歴史的展開、質問が有する機能、質問の構造などを学術的に説明する。

目次

序章 質問研究の問題意識、研究命題および論文構成
 1 本研究書が有する3つの問題意識
 2 研究命題と論文構成
第1章 財務諸表監査における質問の位置づけ
 1 本章の研究命題
 2 質問の目的およびその対象者
 3 監査技術としての質問の位置づけ
 4 口頭的証拠の信頼性
 5 質問の定義と取り組むべき研究課題
第2章 監査手続として拡張する「質問」の意義
 1 分析の視角
 2 監査草創期
 3 法定監査進展期
 4 GAAS形成期
 5 監査期待ギャップ基準発効期
 6 21世紀の財務諸表監査
 7 史的研究から明らかにされたこと
第3章 証拠法における供述証拠の評価
 1 問題意識
 2 証拠法における供述証拠の位置づけ
 3 供述の証明力の判断指標
 4 財務諸表監査に対するインプリケーション
第4章 口頭的証拠の評価指標と監査要点の立証
 1 問題意識
 2 財務諸表監査の領域における口頭的証拠の評価の議論
 3 質問に対する口頭的証拠の評価指標
 4 実証的手続における質問を用いた監査要点の立証構造
 5 おわりに
第5章 追及型質問と反証の理論
 1 問題意識
 2 追及型質問の意義
 3 追及型質問による監査要点の反証プロセス
 4 追及型質問の実施におけるテクニック
 5 おわりに
第6章 不適切な監査実務をもたらす質問のリスク要因
 1 問題意識
 2 監査人の技能と経験からもたらされるリスク
 3 監査人の認知バイアスのリスク
 4 おわりに
第7章 質問実施上の不備に関するPCAOB検査報告書の分析
 1 問題意識
 2 データの範囲と分析の視点
 3 質問の不備が指摘された監査手続の対象
 4 質問の不備をもたらした原因の分析
 5 質問と職業的懐疑心
第8章 不適切な質問手続に関するAAERの分析
 1 問題意識
 2 データの範囲と分析の視点
 3 質問の不備が指摘された監査手続の対象
 4 質問の不備をもたらした原因の分析
 5 監査の失敗と職業的懐疑心
第9章 質問の実施プロセスと職業的懐疑心
 1 問題意識
 2 質問の実施プロセスの枠組み
 3 職業的懐疑心が有する2つの側面
 4 質問の各フェーズに適用される職業的懐疑心
 5 おわりに
第10章 フェーズ1:思考のフレーミングに基づくアサーションの設定
 1 問題意識
 2 確証バイアスの意義
 3 思考のフレーミング
 4 アサーションのフレーミング転換
 5 おわりに
第11章 フェーズ2:質問の実施準備とメンタル・モデルの形成
 1 問題意識
 2 質問にあたっての情報の収集
 3 メンタル・モデルの形成
 4 質問を実施するための計画の策定
 5 おわりに
第12章 フェーズ3:多様な質問技術の活用
 1 はじめに
 2 質問の実施における環境の構築
 3 質問の展開
 4 聴くこととノートをとること
 5 おわりに
第13章 フェーズ4:回答者の言語および非言語のシグナルを読み解く
 1 人が嘘をつくこと
 2 監査においてクライアントの虚偽の説明を見抜くことの意義
 3 非言語コミュニケーションを読み解く
 4 言語コミュニケーションを読み解く
 5 嘘のシグナルから口頭的証拠の虚偽を判断すること
 6 おわりに
第14章 フェーズ5:口頭的証拠の評価と監査判断
 1 3つの種類の質問と監査判断
 2 リスク評価手続としての質問のプロセスと監査判断
 3 実証手続としての質問のプロセスと監査判断
 4 おわりに
第15章 フェーズ6:反証情報と回答の不備に基づく協議
 1 口頭的証拠の反証と追及型質問
 2 追及型質問による監査要点の反証プロセス
 3 回答者の虚偽の説明と認知的負荷
 4 追及型質問における戦略的証拠活用法の有効性
 5 おわりに
終章 研究の総括と将来の課題

著者紹介

永見 尊(ながみ たかし)