税法

組織再編税制をあらためて読み解く―立法趣旨と保護法益からの検討

定価:2,376円(税込) 送料について

発行日:2017-12-13
A5判/232頁
ISBN:978-4-502-25011-8

紹介文

複雑な条文も立法趣旨で解明すればわかる。組織再編税制は、過去の要件:5年50%超の支配関係、再編時の要件:適格要件、未来の要件:継続保有要件に区分すれば誰でも理解できる。

評価

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組織再編税制をあらためて読み解く 岩﨑政明(明治大学専門職大学院教授)さんのコメント (2018/05/01)
本書は、同じ編著者による『立法趣旨で読み解く 組織再編税制・グループ法人税制』(中央経済社、2017年2月刊)の続編に相当するが、内容としては、平成29年度税制改正による新組織再編税制に即して、一新されている。
評者は、かつて前書を組織再編税制・グループ法人税制の解説書ではなく、『解体新書』であると述べたことがある。それは、租税に関する実務専門家4名が、複雑で難解な両税制に関する条文を解剖して、その骨格と筋肉を機能的に分析し、骨の構造に対して筋肉の接合がよくないためにうまく動かない部分や本来なくてもよい(あることによってかえって害となる)贅肉(編著者は、これを「理屈」なく設けられた「決めた」だけの要件という)の存在を浮き彫りにしていたからである。その解剖の腕前は、快刀乱麻ともいうべきもので、まさしく「文は人なり」を体現するものでもあった。
その編著者が、新組織再編税制については、従前の枠組みは維持しているものの、無駄な要件を廃止して、整合性のある内容になっていると、よい評価をしている。そのうえで、新組織再編税制における税制適格要件を、過去の要件(5年50%超保有の支配要件)、再編時の要件(完全支配要件、支配要件、共同事業要件)および未来の要件(継続保有の意思)に分類したうえで、資本の縦、横、斜めへの移動における、それぞれの要件の持つ意味を明らかにし、そのうえで、新組織再編税制において導入されたスピンオフ税制およびスクイーズアウト税制の必然性や整合性をも検討している。本書は、巷において多く刊行されている、詳細ではあるものの大事なところがよくわからないという、改正法の解説とは一線を画すものとなっている。
ギリシャ彫刻のように、美しく均整のとれた造形物をみると、実際の人間の醜さが目立つようになるものである。編著者は、新組織再編税制を整理した後、グループ法人税制と資本の部税制(100%保有親子会社間における資産移動)を取り上げ、これらの立法趣旨(理屈)がみえてこないと指摘する。両制度は、租税回避に利用されることを防止するという観点からは一貫性があるが、そのために、逆に法人所得課税としては必ずしも必要でない、「決めた」だけの要件があるというのである。
単体法人の所得を主な対象とする法人税法という母屋は、増改築が繰り返されて、本来の姿が大きく変えられてしまっている。離れをきれいに作り直すと、ますます粗がみえてくる。編著者たちの次の矛先は、母屋の建て替えに向けられるのではないだろうか。
なお、本書の構成は、第1章「理屈を取り戻した組織再編税制」、第2章「多様な再編手法を取り上げてみる」、第3章「過去の要件」、第4章「再編時の要件」、第5章「未来の要件」、第6章「含み損の利用制限の解除」、第7章「グループ法人税制を位置づける」、第8章「100%親子会社間における資産移動」、巻末「8名の実務家による座談会」となっている。
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