国際租税法における定式所得配賦法の研究―多国籍企業への定式配賦法適用に関する考察

伊藤 公哉

定価(紙 版):4,180円(税込)

発行日:2015/04/08
A5判 / 212頁
ISBN:978-4-502-13931-4

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本の紹介
多国籍企業の法人税について、定式配賦法を用いた課税方法を米国の事例や欧州の展開をもとに検討。さらに、無形資産を定式配賦法に反映する方法について提案している。

目次


国際租税法における定式所得配賦法の研究
多国籍企業への定式配賦法適用に関する考察
目次

序章 Introduction
 1 問題の所在と研究の目的
 2 本書の構成

第1章 アメリカ合衆国州法人所得税創成期の展開
     ―ビジネス・タックスの誕生

 1 はじめに
 2 1900年代初頭の時代背景
 3 財産税と課税管轄
  ⑴ 動産の配賦
  ⑵ 企業資産の評価 ……ほか
 4 ビジネス・タックスの誕生
  ⑴ ビジネス・タックスの根拠
  ⑵ ビジネス・タックスと個人所得税の関係 ……ほか
 5 企業所得の実現と源泉
  ⑴ 企業ののれんと担税力
  ⑵ ビジネス・タックスからの資本主の分離 ……ほか
 6 定式配賦法の配賦要素と無形資産
 7 小  括

第2章 アメリカ合衆国州法人所得税統一期の展開
     ―定式配賦法の統一にむけて

 1 はじめに
 2 マサチューセッツ方式の確立
  ⑴ NTAによるマサチューセッツ州の配賦計算式への歩み寄り
  ⑵ マサチューセッツ方式での配賦計算式の統一
 3 マサチューセッツ方式に対する州政府と企業の反応
 4 国際取引と州際取引(定式配賦法と分離会計,間接費の配賦)
  ⑴ 国際取引と分離会計
  ⑵ 州際取引と定式配賦法 ……ほか
 5 各配賦要素の定義について(売上高の配賦要素)
  ⑴ NTAでの議論
  ⑵ 1951年最終報告書での折衷案(仕向地説と事業活動説)
   ……ほか
 6 労務費の配賦要素
 7 小  括

第3章 定式配賦法適用のための連結・合算範囲の検討
 1 はじめに
 2 合算の目的と機能
  ⑴ 合算の目的
  ⑵ 州法人所得税のタックス・シェルタ問題
 3 州による合算制度導入の類型
  ⑴ 合算は認められていない
  ⑵ 合算が義務づけられている ……ほか
 4 合算制度の新展開
  ⑴ 伝統的な見地
  ⑵ 新しい見地
 5 合算の範囲について
  ⑴ 合算目的とその範囲
  ⑵ ユニタリー事業の概念 ……ほか

第4章 欧州連合における定式配賦法導入に向けた挑戦
 1 はじめに
 2 定式配賦法に関するこれまでの議論の経緯
  ⑴ 配賦要素としてのマクロデータまたはミクロデータの利用
  ⑵ 定式配賦法 ……ほか
 3 欧州委員会による指令案
  ⑴ 指令案の概要
  ⑵ 定式配賦法の配賦計算式 ……ほか
 4 欧州議会での審議
  ⑴ ECON報告書
  ⑵ 欧州議会での審議
 5 分析と検討
  ⑴ 配賦計算式
  ⑵ 資産について ……ほか
 6 小  括

第5章 多国籍企業の全世界所得への定式配賦法適用の提案
 1 はじめに
 2 配賦の対象
  ⑴ CCCTBの課税ベースを配賦対象に用いる場合
  ⑵ 会計上の利益を配賦対象に用いることは可能か
 3 任意適用か強制適用か
 4 連結範囲
 5 配賦計算式の方向性
  ⑴ 配賦計算式の種類(業種ごとに用意するべきか)
  ⑵ マクロ経済データの利用は現実的か
 6  多国籍企業と無形資産(二層構造の定式配賦法の提案)
  ⑴ 通常所得の配賦計算式
  ⑵ 多国籍企業の存在理由と無形資産 ……ほか
 7 不健全な租税競争と近隣窮乏化
 8 結  論

 索  引



著者プロフィール 伊藤 公哉(いとう きみや)
博士(国際経済法学)(横浜国立大学)
大阪経済大学 経営学部・大学院経営学研究科 専任講師
大手監査法人勤務を経て,2014年4月より現職
所属学会:租税法学会,法と経済学会,International Fiscal Association(日本支部)等
第25回日税研究賞奨励賞受賞(日本税理士会連合会,㈶日本税務研究センター)




















著者紹介

伊藤 公哉(いとう きみや)

担当編集者コメント
本書では、多国籍企業における法人税の課税方法について、独立企業原則に換えて定式配賦法を用いることとした場合の基礎的な検討をしています。
これまでアメリカ合衆国では定式配賦法の豊富な実績があり、現在、EUでも定式配賦法を導入しようとする取り組みを行っています。これらの先行事例を丹念に考察したうえで、無形資産を定式配賦法に反映させる方法についても提案しています。
BEPSプロジェクトなどで大きく関心が寄せられている国際課税の枠組みについて、今後どうなるかを知る上では欠かせない1冊です。